#11【考察】-UMA視点-
数百年振りに俺を認識した人間は心底から物事を考える事が出来ない奴だ。魂が未熟とは言え、よくここまで生きて来れたとものだと感心すらする。それを良しとするかは別としてだが。
全く持って面白くない。
大体にして俺のような高尚な存在を目にして、あの人間はどうしてあぁも普通で居られるのか。崇め奉ものだろう。お前達とは明らかに違う存在だ。容姿もこの上なく端麗で高雅だろう。
今まで俺を認識出来た人間は俺を[神]や[神の化身]だと目を輝かせ賛美し、崇拝して来た。俺の存在を周りに知らしめ、自らを伝道者として人々の上に立ち、導く存在になろうとした。
その姿を、そいつらの発言を、滑稽だ、戯言だと嘲ながらも、俺は無限にある生の中のひと時の戯として相手にして来た。
だが、
あの人間は俺を認識した瞬間、あろう事か憤慨して来た。未だかつてあんな態度を取られたことはなかった。しかもその後、この俺を、この俺様をUMA(未確認生物)として位置付けた。
この失礼な人間の末路を見てやろうとここに居ることにしたが、あの人間は俺に何も求めて来ない。——新鮮だった。何も求められずに俺以外の存在と単調な日々を過ごす。今も悪くないと思っている。正直、心地良ささえ感じている。
だが、
全く持って面白くない。
まさかとは思うが、俺の存在を気にも留めていないのではないか。あいつはあまりにも普通にただ日常を過ごしているように思う。それどころか先日など、この俺にあろうことか殺虫剤を吹き掛けて来た。この俺様を虫のように扱ったのだ。
それに、
全く持って面白くない。
あんな奴に目をつけられて。どう考えても関係を断つべきだろう。それをケーキ程度であんな風に喜ぶとはな。
『はっ』
俺は短く息を吐く。
全く持って面白くない。
俺の方が気に掛けてないか?
高尚なこの俺が?あんな赤子のような魂を?
『ふっ』
俺は自嘲するように薄く笑う。
全く持って面白くない。




