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月姫様は僕じゃない  作者: 月詠藍果
2/2

第二話「否定」

「僕、ですか」


初めに出たのは、そんな震えた、か細い声だった。

そんな声が出たことに僕自身が一番びっくりした。


「はい。月姫様」


僕の同様なんかにも構わず、彼は話しかけてくる。

正直、知らない人にわけわからないことを言われてキャパオーバー感も否めないのだけど。

ただ、彼に悪意は全くなくて、純粋な気持ちだけが感じられた。

それでも、


「僕は、月姫様…じゃ、ないです」

そう言うしか、なかった。

まともに彼の顔を見ていられなくなって、俯いた。彼は何も言わない。ただじっと、僕の方を見つめているのが視線でわかった。


長く訪れた沈黙の後、不意に彼が声を上げた。

「俺は狗烏宙(いぬがらすそら)。月詠のお屋敷で待ってるから、いつでも来てくれ」

驚いて顔をあげれば、彼…宙は、笑顔を浮かべていた。僕を安心させようとしてくれているのだろうか。

「ありがとうございます」と返せば、「大丈夫だぞ?」と微笑む。

黒いパーカー姿の、青い瞳の使者はこうして僕と出会うことになったのだ。




「戻ったぞ」

そう声をかければ元々声が響きやすい場所だ、すぐに返事が返ってきた。

「月姫様の、お迎えは?」

かすれた声が俺の耳に届く。何度も聞いた、友人の声。けれどこれ程かすれてはいなかったはずで、辺りを見渡しても姿も見えなかった。


俺はそれには何も返さず、扉から中央へと歩を進める。そこに本来いるはずの人物は、長い間いない。そしてその方は、俺が先程あってきた人物の席だった。

「おい、天狗」

かすれた声が再び響く。俺の声と同じくらい低い。

その呼び方に少し苛立ちを覚え、ムキになって返す。

「何だ、九尾」

いつもよりワントーン低く、不機嫌さをにじませていることは俺にもわかる声だった。

しかしその声にも臆さず、俺が九尾と呼んだ彼は声をかけてくる。


「お前、まさかこの屋敷を訪れるように言ったのか?」

それはどこか不安を孕んだ声で、俺も不安を煽られた。

恐らく九尾は俺を純粋に心配してけれているのだろう。しかしそんなことよりその思わせぶりな態度が気にかかった。何か知らぬ間にやらかしてしまったのだろうか。

「…そうだと言ったら、どうするんだ?まさか不都合でもあるのか?」


そういうと彼は()()()()()()()()()()

ここは物理法則を無視した空間だから今更それくらいで驚いたりはしないが、目の前スレスレに着地されると肝が冷えた。当たったらどうしてくれる。

「お前、ここの場所教えたのか!?あとここ結界も貼ってあったよな、一般人は辿り着けないぞ!?」

顔を青ざめさせながらいう九尾。紫の唐衣がとても良く似合っていて、さすが神格を得ただけはあるなと思った。

神格は長生きしている妖怪ならだいたい手に知れるけど。


「あ、忘れてた」

俺もようやっと事の重大さに気づいた。このままでは、月姫様が訪ねてきてくださっても追い返される。


まずい、お迎えに行かないと。

投稿したと思ったらしてなかったという…。ごめんなさい…

リアルに3話と4話はありますがいつデータ化されるのかな!多分時間がかかるでしょう。放置してるわけじゃないんだ信じてください…

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