背負
やべ。一人の子だけ見てたら怪しまれる。
咄嗟に目線を反らす。
「レオンさんは何できたんですか!?」
「ここが大変だって聞いてね。何か手伝えることはないかと思ったんだ。」
正に映画や漫画で見るようなドラゴンが持つ翼をそのまま小さくしたみたいな感じだ。
「知ってる知ってる!ボウケンシャってやつでしょ!」
「よく知ってるな。よろしくな。」
ドラゴンがいてもおかしくはないかなと思っていたけど、まさかその特徴を持つ子に会うとは思わなかったな。
「じゃあ、挨拶もしたことだし、早速働いてもらおうかな。」
「わかりました。」
廊下を歩いている。
何処に向かっているかはわからない。
「ところで、何も話を聞いてないんですけど何をすればいいんですか?色んなことをしてもらうと聞いたんですけど。」
「本当に何でもしてもらうからね。例えば子供達の面倒を見てもらったり、食糧調達してもらったりとかかな。働きによって給料も変えさせてもらうけど、悪いようにはしないから。」
「期待しています。ところで…。」
何と言えばいいのだろうか。
「レオンさん気づいていましたよね。どう思いました?」
ばれてましたか。
「どう、と言われましても。初めて見ました。実は俺も獣人じゃないんですよ。だからこそ凄いなって。」
「そうですか。ならよかった。」
「いや、俺も驚いてますよ?」
「異常に怖がることもなく、敵対心を持つこともないみたいですね。これはあなたを紹介してくれた人に感謝しないといけませんね。」
あんなやつにしなくていいとおもうけどね。
「お願いです。少しでもいいので彼女と親しくしてあげてください。」
「努力しますけど一週間しかないんですよ?それでどうやって仲良くなれって言うんですか?」
「なれるはずですよ。貴方は今までここに手伝いに来てくださった人とは違いますから。」
「ところで今日寝泊まりする場所はありますか?」
「一応ありますけど…。泊まらせていただけるんですか?」
「はい。今まで手伝いに来てくださった方の中には寝る場所がないから泊まらせてくれって人もいたんですよ。」
「じゃあ、俺もお願いしていいですか?」
短い間だし、自分の力で寝る場所を確保したいと思ったからさ。
「じゃあ、給料から天引きさせてもらいますね。」
やだこの人にんまりしてるよ…。
「じゃあ、早速。最初の仕事は荷物の搬入です。」
いくつかある段ボールのような箱に毛布や服、ランプなんかが入っている。
「色んなひとに支えてもらってここまでやれてるんですよ。殆どがお下がりですし、ランプも寄付してもらいました。本当に感謝ですね。それのお陰で私も生きてこれましたから。」
「そうみたいですね。じゃあ、やっちゃいましょうか。」
「早いですね。失礼なことを言いますけど、外見からはこんなに力持ちだとはおもいませんでした。」
「俺自身驚いてますよ。」
いや、本当に驚いてる。
一度に百キロくらい持ち上げれたんじゃないか?
中身をチラッと見たら異常に穴が空いてるやつがある。
「これ使えるんですか?」
取り出してみると背中?の部分に大きな穴が空いてるようだ。
「ああ、それはトライアちゃんの分です。あの背中に翼を持つ子。」
トライアって言うのか。
そう言えば服を着ていたのに翼が見えたな。
穴が空いていたから直視出来たのか。
彼女もいろいろ大変だろうな。
多くのものを背負ったままだと。
何かを背負うのは大変ですよね。
責任や劣等感ってのは重いものです。
…
オチが無理矢理だったかな?
読んでいただき有り難うございました!
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