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36頁


担任の立花先生が保健室にやって来たのは俺達が落ち着き始めてから2時間以上が過ぎた11時頃だった。


立花先生が言うには、転入直後に怪我をして入院していた件で生活指導の教員に素行不良の生徒として目をつけられていたらしい。


それを踏まえて今回の件で校長や、やたらと口を挟む生活指導の教員に、本来なら被害者側である俺がお互い様として停学として処理されそうだった。


そもそも、怪我をした理由は登校中の不運な交通事故と報告していたから素行不良を疑われる心配性は皆無だ。


あることない事を喚き散らす生活指導の教員が言うことを信じた上が教員の言うことを信じた結果、俺は知らず知らずのうちに不良のレッテルを貼られていたようだ。


勿論、この学校に転入してからの俺を見てきた立花先生は俺を庇おうと舌戦で応戦したみたいだが、本人が教師として素行不良の立花先生に味方をしてくれたのは同期で赴任した保健医のみだった。


多勢に無勢、万事休すかと思われたその時、理事長が現れて加勢し、校長や生活指導指導の教員から出た1つの条件を出すと共にその場を取りまとめてくれた。


その条件とは夏休みの補講を増やすこと、1年の間何があってもこれから休まないこと、トラブルを起こさない。

1つでも破れば停学なしの退学、中々に理不尽な条件だ。

その上で今日は出席扱いにした上で早退が認められることになったらしいと立花先生から聞かされた。



心身共に憔悴仕切った俺は、常人ならとてもじゃないけど受け入れられないその理不尽な提案を飲むことにした。


俺、麗奈は揃って家に帰されることとなった。

麗奈は何もしていないが、自主的に早退を名乗り出て今俺と一緒に姉ちゃんが迎えに来るのを立花先生と共に保健室で待っている。


「すまない……俺にもっと発言力があれば……」

立花先生がボサボサの頭を俺に向け下げた、顔は真剣そのものだけど、二日酔いの影響に心労も重なって少しやつれている。


「気にすんなよ。前回も今回も、先生には助けて貰ってる。寧ろ俺が先生に謝りてえよ。職員室、居心地悪いだろ?」


「謝らなくて大丈夫よ。立花先生は元から居心地悪いから」

デスクに足を組んで座っている保健医の小笠原真理子(おがさわらまりこ)先生が言った。

二日酔いで学校に出勤してくる先生なんて周りの教師からよく思われてなくて当然だもんな。

そう言った意味でもこの人はずっとアウェイだ。


「ねえねえ立花先生、あの件も元不良だって事も学校側には報告してないのになんで悠くんは目をつけられてるの?」


「それが分からないんだ……あいつらまるで悠太のプライベートを知ってるような口ぶりだったな」


「誰がリークしてるか知らないけど、春日君この学校で恨み買うような事した?」


昨日のあいつしか出てこない。だけどあいつ一人が俺の事を嗅ぎ回ったとして俺の情報をそこまで引き出してくるとは思えない。

他に誰かリーク者がいる……?麗奈と俺を引き離す為にそこまでやるか?


「一つだけ身に覚えはあるけど……」


だが校長とあいつ、リーク者が繋がってる証拠が無い。

立花先生は信用に足る人間だけど小笠原先生のことが分からないこの状況で打ち明けていいものか……もし小笠原先生があのクソ野郎と繋がっていたら?


「私相手に疑心暗鬼になる必要はないわ。知り合ったばかりの私からいきなり味方って言われても信用は出来ないでしょうけど……もし私が居ると話しづらいなら席を外すわよ?」

小笠原先生は悲しげに眉を寄せると、両手の手のひらをこちらに向けて言った。

懐疑的な俺の雰囲気を読まれたな。


「味方になってくれる理由……聞かせて貰ってもいいすか?」


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