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20. フレッドの新たな趣味



 ここ最近のフレッドは、昼から森に入り、色んな物を採取する事にはまっていた。採取家でも、冒険者でもないのだが、主に金になる常設依頼にあるような薬草や毒消し草なんかを中心に採取していた。


 単純に楽しかったから。それだけの理由だったのだが、どうせやるなら金になる方がいい。給金は出すと言ってくれているのだが、特に気にしていない。


 金には困ってなかったし、これと言って使う当てもないのだから。特に稼がないといけない理由もなかったが、『立場に応じて上納金を納める事』という教会の規律を忘れていたのでもない。


 その教会が町にないのだから仕方ない。それだけの事だった。



 時間も金もそれなりにある。副所長からのアドバイスで、しっかり講習を受けてからという事にはなったのだが、それも初めて聞く事ばかりで楽しく、全く苦痛にも感じずにこなして行った。



「うーん。今日も結構取れたよね」


 なんて軽く言いながら、飛び抜けてしまった身体能力を活かして森を駆け回る。中級クラスの冒険者が活動するような深い森でも容易に採取を続けていた。


 当然魔物もそれなりに強いのだが、今のフレッドの脅威になるような魔物はおらず、各種スキルも使いこなせるようになっているのだから、尚更危ない目にも遭っていなかった。



 気配遮断で存在を薄め、逆に察知で周りの様子を把握する。レベル8のスキルレベルを持つフレッドに敵う魔物がいるはずもなかった。


 ゴミ箱設置は2つまでしか出来なかったが、それでも全く問題にならなかった。一瞬で処理してしまえるのだから。更にそのうちの1つを採取物を保管する為に使っていたくらいだ。



 そして辺りが薄暗くなる前には町に戻る。これがここ最近のフレッドの日常だった。


 採取をしに行っていたはずなのだが、冒険者組合事務所の受付けに提出されるのは、講習通りに丁寧に採取された物以上の魔石だったりしていたのだが。当然フレッドは採取に行っていると思っている。



 フレッドが採取してくる物は、場所が場所だけにそれなりに物も良く、そんな所で採取活動をしている冒険者も少ないので取りたい放題。


 しかも仕事が丁寧だから物も良い。更に保管にはゴミ箱収納を活用しているのだから鮮度も良い。時間停止機能付きなのだから当然なのだが。



 だからそれなりに金になる。フレッドは気にしていないが、そこら辺の中級冒険者以上の稼ぎがある。半日くらいしか活動していないのに。


 魔石の換金額もそれなりに大きいのだからそうなるのだが、本人は気付いていない。今日もいい採取が出来て楽しかった。それくらいにしか思っていなかった。



 本人が目立たないのだから良かったし、そこは所長や副所長、職員達の迅速な処理と、場合によっては事務所の裏で換金していたから冒険者に知られる事にはならなかった。


 まさかこんな子供がそんな大金を渡されていたら。それこそ要らぬ問題が起きかねない。事務所職員の見事な処理能力と連係による成果だった。当然フレッドにはそんな事は分かっていなかったが。


 毎日綺麗に掃除をしている子供。そして採取好きな子供。そんな認識だったのだろう。冒険者達にとっては。




 そんな毎日を送っていると、フレッドに依頼が来るようになった。


 本来なら指名依頼となるのだが。そこは特別職員。採取のついでにこういう草をお願いしたい。こんな種類の実が生っていたらついでに採取して来て欲しい。なんて感じで何かと依頼されていた。


 勿論、相応の対価と引き換えになるし、その都度色んな情報もくれるのだから、フレッドにとっても有り難い話だった。



 絶対ではなくてついででいい。あったらでいい。期限もないし違約金もない。


 見付け易い場所や環境、採取方法、保存方法、注意すべき事や周辺の魔物情報なんかも一緒に丁寧に説明してくれたので、はいはい元気に返事をしながらこなして行った。


 勿論、所長も副所長も了承済みだった。



『採取屋フレッド』


 事務所関係者による2つ目の二つ名だった。


 正確には、『掃除屋フレッド』の前にも『ゴミ野郎』(ゴミ処理係、ゴミ担当、おい、ゴミ等)もあるのだから、2つ目ではないのだが。



 そのお陰で、フレッドは冒険者ではないのだが、採取に関してはそれなりの実力者になって行った。ならされて行った。他にやりたがる冒険者が居なかったのだから仕方ない。


 フレッドも楽しかったし、もっと次を求めていたのも事実だったのだから。それで良かったのだろう。誰も嫌な思いはしていなかったのだから。



 そんなある日、フレッドは驚愕の事実を知る事となった。副所長による質問で。


「フレッド君。前から思っていたのですが、倒した魔物の素材はどうしているのですか? いつも魔石だけのようですが。もしかしたら、……。その場でゴミとして処分してしまっているのですか?」


「……、えっ!?」


 衝撃だった。体中に電流を流されたくらいの衝撃だっただろう。そんな経験はなかったはすだが、それ程の衝撃がフレッドの体を、頭を通り抜けて行った。暫くは動けない程に。


 そこからがまた楽しい日々が始まる事になった。


 採取だけでなく、魔物の素材、解体について学ぶ日々が始まった。これも興味があったのだろう。ただ金になるからではなく、可食部もある。このひと言がフレッドを動かした。今まで以上に。



 食堂があるのだから食べる事に困ってはいなかったが、やはりそこはフレッド。これまでの貧しすぎた暮らしを思い返せば仕方ない。食べられる物を粗末にしていたなんて。


 そんな思いがフレッドを動かした。そこからは勉強の毎日だった。解体所に行けばそれは叶う。仕事として皆がその作業をやっているのだから当然に。


 それに、組合事務所の資料室にも関連の資料は沢山あった。これも冒険者の為に集められた物や講習でも使う物。それも仕事なのだから当然に。



 清掃を終わらせてからは解体所で午前を過ごし、午後からは外での採取や魔物狩り。そして夕食後は資料と向き合う日々が続いた。


 皆優しかったし、それなりに協力もしてくれた。これもフレッド為だけでなく、自分達の為にもなるのだから当然に。



 解体所では、ぴー やら ぴー やらの処理が(はかど)ったし、フレッドが居ればその場でさくっと処理してしまえるから。しかも臭いまで。


 それを拒否できる作業員など居ようはずがなかった。熱心に知識を吸収しようとする少年の姿勢も大人の心を動かした。


 自分達も負けていられないと。もっと早く、効率良く、出来るだけ周りを汚さないように。道具に負担を掛けないように。


 こうして解体作業員のスキルはぐんぐん上がって行った。結果としてそうなった。勿論、フレッドが狙った事ではなかったのだが。



 そして、それは事務所の職員にしてもそうだった。フレッドからの質問に的確に、しっかり理解してもらえるようにする為にも再度知識を補完した。


 忘れていた事や気付いてなかった事も多かったのだが、そこはそこ。大人としての対応で乗り切った。フレッドと一緒に学ぶという形を取って。


 しかも資料室の整理にもなったりして、更に使いやすくなって行くのだった。これもフレッドが狙った事ではなかったのだが。



 結果として事務所職員のレベルも上がった。説明力や対応の丁寧さが加わったのだから、立派なレベルアップと言えるだろう。純粋な子供の及ぼす力は大きかった。


 実際に戦う事になれば、今のフレッドに勝てる者など数える程しか居ないのだが。それを知っている職員は少なかった。そんな事など特に気にするはずもなく対応していた者も多かったのだが。



 肝腎の魔物の魔石や素材などの換金作業は、所長と副所長から指名された数名の者しか行っていなかった事もあったのだが。


 それでも所長と副所長もにっこにこ。この町の冒険者組合事務所は、更に評判が良くなって行った。それも結果として。勿論、フレッドが狙った事ではなかったのだが。



読んで頂きありがとうございます。

16日目にして、『48』PV。

順調というのか低調というのか、

なんともならない感じでしょうか。

勿論、私は負けませんけど。

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