↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/30

14. フレッドのゴミ処理スキル



 全てを見せたのでも、説明したのでもない。


 便利収納保管箱でもあるゴミ箱部屋を設置し、そこから魔石を入れていた木箱を取り出した。


 別に珍しい事ではない。アイテムボックス持ちはそれなりに存在するし、その能力も使い方も様々なのだから。詳しく聞かなければ、どんな特性があるのかなんて分からないのだ。


 何度も見てきた光景なだけに、それくらいでは驚きはしなかった。収納できる容量も、機能も、制限なんかも様々なのだから。


 制限数のあるタイプならば、こうして大きな入れ物に1つにして収納してしまうというやり方も決して珍しいものではなかったのだから。



 だが、やはり便利なスキルではあるので、フレッドが隠しておきたいというのも理解できるのだが。フレッドは特に隠す素振りもなく、そのスキルを『ゴミ処理』と言ったのだ。


 別に尋ねたのでもなかったのに、フレッド自らが教えてくれたのだ。これはゴミ処理スキルの1つなんですと。正確には、ゴミ処理スキルのゴミ箱の1つなのだが。



 最初は意味が分からなかった。この町の冒険者組合事務所の所長ではあったのだが、そんなスキル名は聞いた事がないし、それを事も無げに告げるフレッドにも疑問を抱いてしまったのだが。


 あれだけ話し難そうにしていたのに、こんなにあっさり自分のスキルについて話して来るとは思わなかったのだ。その2つの意味で驚きだったのだが、フレッドの顔を見て理解した。


 私は信用されたのだと。ここまでの短い遣り取りの中でも、私の誠意が伝わり、心を開いてくれたのだと。そう思わせる程の笑顔があったのだ。今のフレッドには。


 これまでの流れからするに、これにやられない役職者はいないだろう。庇護欲の塊のような存在なのだから。フレッドの人柄、醸し出す雰囲気も。



 当人は全くそんな風には思ってないし、演じているのでもない。素直で純粋な気持ちに従って行動しているだけだ。元からの性格もあるが、生い立ちと環境が更にそうさせただけ。そうなってしまっただけなのだが。


 これがフレッド持つ最大のスキルなのかもしれないが、当然分かってないし、だからこそ有用な効果を発揮してくれているのだが。相応のひと握りの人種には。



 フレッドは、漸くこの場の臭いにも慣れてきたところで、見慣れたゴミ箱部屋を設置してほっとしたというのもあったのだが。


 それに、確認の為に『ゴミ処理』でこの独特な血の臭いというか、生臭くもあり、生暖かくまとまり付いてくるような空気を処理出来たから。


 それが処理困難ゴミに当たるのか、それとも有害ゴミに当たるのか、そんな事は最早どうでも良かったが、出来た事が嬉しかったのだ。どんな所でも色んな確認は出来るんだ。この時のフレッドの素直な感想だった。




 何から続ければいいのか、一瞬戸惑ってしまったくらいだ。この所長にして、初めて聞くスキルの事も気になるし、本人の希望を優先させ、魔石の換金をするべきかと。


 魔石の確認は、ここでは出来ない事もないが、場所を移動する方がいいだろう。量もそれなりにあるし、算定にも時間が掛かりそうだから。


 かと言って物を本人と確認しながら見て行く必要もあるので、更に時間も掛かる事になるだろう。勿論、全て自分が立ち会うつもりではいたが。



 ならば、やはり先ずはスキルの事、どうしても気になる言葉があったので聞いてしまったのだ。本来ならこんな詮索すら御法度なのだが。立場上、未知のものには最低限の確認を。


 そんな建前を言い訳にして、沸き上がる好奇心には勝てなかったのだ。本音では。


 言ってみれば所長も冒険者。元なんて付けようものなら物理的に何かが飛ぶ事になる。だから誰も何も言わないし言えないし。当然フレッドに何か言えるでもなく、所長の話が始まるのだった。



 つい先程、『安心しな。スキルについての詮索は一切しないし、話したくない事を話す必要はないよ』なんて言っていたのだが。


「スキルについての詮索は一切しないなんて言っておいて申し訳ないが、話したくない事は本当に話す必要はないからね。でも、出来る範囲でいいから教えておくれ。これはお互いの為にもなるかもしれない事だからね」


 しっかり謝罪のような言葉は入れつつ、それでも半ば強制のような雰囲気で迫る所長。これを断れる冒険者が居るのだろうか。恐らく居ないだろう。ここには。だからこそ存在していられるのだ。この地に。


 それは言い過ぎだが、冒険者でもなく子供のフレッドにとって、こう言われて反抗しようなどと考えられる男の子は、勇者と呼ばれるだろう。


 フレッドには当然そんな気概はないし、危害はないと判断しているからこそ、ここに居るのだ。お互いに。



 何も悪い事ではない。所長の言ったように、お互いの為になる事も多い。スキル次第では何か力を貸してやれるかもしれない。そういう思いもあり、所長は聞いたのだ。半分以上は好奇心だと思うが。



 教会員の生活規範には、『スキルについての詮索をしない事』は書かれてあっても、話してはいけないとは書かれていなかった。教会員同士の狭い範囲内での規範だったのだから仕方なかったのだが。その本音の目的も違ったのだから。



 だからと言って、全てを見せたのでも、説明したのでもない。説明下手と言うのもあるが、言葉が途切れるフレッドに気を使って、所長が言葉を補足し、ある程度は自分で納得できるくらいにまで落とし込めた。


 要は、アイテムボックスの1部レア機能にもあるのだが、収納したアイテムの消却。これが出来るスキルなのだと。収納してからではなく、その場で消却する事にのみ特化したスキルだと。ゴミ処理なだけに。



 強ち間違ってもいないのだが、アイテムボックスのスキル自体を知らないフレッドにとっては比較のしようもなかったし、その意味すら分からなかったのだが。


 これで所長が納得して質問が終わるのならそれでいい。フレッドの思いはこの1つだった。



 だが、当然これで終わるはずがなかった。フレッドにとっては良い意味で。直ぐに1人になりたいという気持ち的には良くない意味で。


「試しに1度やって見せてもらおうか。坊やのスキルの実力とやらを」


 狙ったのではない。そういう事になったのだ。特に深い意味はない。言葉も微妙に違うのだから。その証拠に、


「なあに、心配は要らないよ。ここでの事は口外禁止は徹底させる。それに、これからの事もあるだろう。もしかしたらお前にとっても、こちらにとっても良い話になるかもしれないからね」


 といった追加説明も入ったりもしたのだから。



 ここは冒険者組合解体所。それなりの大きさもあるし、沢山の人も働いている。この国で4番目に大きな町なだけに、それなりの量の様々な物(ブツ)が持ち込まれ、その解体作業もある。


 という事は、当然大量のゴミも出るし溜まって行く。だからこその臭いもあり、独特の環境にもなっていたのだが。



 実際の所、解体の際に出る『ゴミ』は多い。それはそれは、またしても食事中の方々には申し訳なくなるような状況になるのだから当然に。


 流石のフレッドでも気分を害するくらいの別格な環境なのだから、細かく話すのは省略させていただくが。


 そんな環境の施設なだけに、他にもその一角は、専用のゴミ置き場として使われていたりした。


 その他の処分予定物や不要物なんかは当然として、冒険者が持ち込んだ、冒険者の為に一応屑値で買い取ってはいる魔物がドロップした武器や防具、壊れてしまった物も含めてかなりの量が山積みになっていた。



 中には手直しして使える物もあるし、再利用もしているのだが。どうしようもない物等は、潰してしまって、ある程度溜まってから鍛冶屋に持って行くか山に廃棄に行くか。そういう処理方法を取っていたのだ。


 その労力を考えれば、毎回割に合わない作業だった為、それがなくなるなら有り難い。それがフレッドのスキルで簡単に処理できればだが。



読んで頂きありがとうございます。

13日目にして、『62』PV。

まさかの増加。これも意外でした。

まあ、たまたまという事もありますからね。

私は動じません。

ですが、本日はもう1話更新予定です。

動じたからではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。