表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/95

第三章 召喚獣のさんざんな冒険。〈4〉

挿絵(By みてみん)


 虫除けスプレーごときでプテラノドラキュラ自体が溶けるとも思えなかったが、ドラキュラタンを溶かされたプテラノドラキュラは虫除けスプレーの軌道を大きく避けた。


()った!」


 今のまりるにはその一瞬の(すき)で充分だった。


 プテラノドラキュラの死角となる真下から打ち上げ花火よろしくとび上がると、長いかぎ爪でプテラノドラキュラを3たびバッテンに斬り裂いた。


 夜空へ明滅するあざやかな花火をバックに最後のプテラノドラキュラが戦闘不能(リタイア)した。まりるの影がしなやかに着地する。


「カオルありがとるる~! また助けてくれたるる~!」


 すっかり浴衣(ゆかた)の乱れたまりるが白いふともももあらわにオレへとびついた。


「だ~っ! 暑いっ! ひっつくな、まりる! ……て云うか、また?」


 照れかくしにもがくオレとまりるの眼前を一条の白い光が(はし)った。四阿(あずまや)に立つ瑞希(みずき)が強力なビームライトで暗い林の中を照らしていた。手のひらサイズの懐中電灯だが軍用レベルの光量である。おそらくは瑞希(みずき)の発明品だ。


 瑞希(みずき)のビームライトが木々の隙間(すきま)に不審人物をうかび上がらせた。


 中肉中背の男であるらしい。このクソ暑い夜にアヤしげなマントを身にまとい、あまたの装飾品でキラキラと乱反射する手元で顔をおおいかくしていた。


「まりる。いてこませ」


 瑞希(みずき)の言葉にまりるが駆けだすと、ビームライトに照らしだされた不審人物がおたおたと周章狼狽(しゅうしょうろうばい)した。


「……!?」


 花火の炸裂音とかなりの距離とでまったく聞きとれなかったが、なにかさけんだ不審人物は身をひるがえすと闇の中へ走り去った。


「ちょっと待て。あれって……」


 あのあからさまに見おぼえのある不審人物は、


「「「「……グラゴダダン?」」」」


 異口同音にひとりごちたオレたちはたがいの言葉に耳を疑い、思わず顔を見あわせた。いつの間にか2本腕にもどっていたまりるの元へ小走りで向かい、はだけかけた浴衣(ゆかた)をなおしながら朱音(あかね)さんが提案した。


「とりあえず場所かえよっか?」


 だれにも異存はなかった。



     3



 てなわけで、うちのリビングである。


 朱音(あかね)さんと菜々美ちゃんが、(せん)の軽い戦闘でビーチサンダルをなくして浴衣(ゆかた)を汚したまりるの足を洗って着替えさせている間に、オレは買ってきた屋台メシの焼きそば、お好み焼き、たこ焼きを皿に移しかえてリビングのローテーブルへならべた。気づけばぜんぶ粉もんソース味である。


「冷凍餃子でも焼こうか?」


 一応、瑞希(みずき)へたずねてみたが、あれから沈思黙考をつづける瑞希(みずき)に返事はない。


 洗面所からピンクの半そで短パンに着がえてでてきたまりるがあかるい声で云った。


「まりる、お腹すいたるる~!」


「そうだね。菜々美もちょっとお腹すいたかも」


 まりるに少しおくれて菜々美ちゃんと朱音(あかね)さんもやってきた。


 こんな時になんだが、あかるいところで見る菜々美ちゃんの浴衣(ゆかた)姿もカワイイ。あとで一緒に写真とか撮ってもらえないもんかな?


「いっただっきま~す!」


 菜々美ちゃんとならんで腰かけたまりるがお好み焼きにかぶりついた。菜々美ちゃんもお好み焼きを(はし)でとりわける。


「……で、どっから話をはじめればよいのかな?」


 パックの納豆を(はし)でかきまわしながら朱音(あかね)さんも席についた。そのまま納豆を焼きそばへオンする。今夜は納豆焼きそばか。まさか、お好み焼きやたこ焼きまで納豆まみれにしないだろうな?


 うちへ帰ってくる間、花火大会の喧噪(けんそう)でほとんど口をきかなかったオレたちは、みんなそれぞれ考えていたはずだ。


 そして、それぞれ自分でも信じがたい結論を導きだしているにちがいない。


「……菜々美たち全員PCゲーム『フェアモン・バトル』のプレイヤーってことですよね?」


 それだけなら別段めずらしいこともあるまいが、ただのプレイヤーがグラゴダダンの姿や名前を知るはずもない。


「惑星アルマーレのリアルな召喚獣戦闘(フェアモン・バトル)人間(アース)召喚獣(フェアモン)として参加してるってことでよいんだよね?」


 より正確を期した朱音(あかね)さんの言葉にまりるをのぞく4人が緊張の面もちで小さくうなづいた。すなわち、オレ、朱音(あかね)さん、瑞希(みずき)、菜々美ちゃんである。


 こんな身近に〈リア(じゅう)〉が3人もいたことにオレは心底おどろいた。


 アカネさんのノリなら召喚獣(フェアモン)のスカウトに応じてもふしぎではないが、菜々美ちゃんや瑞希(みずき)までもがうさんくさいスカウトに応じていたとは。


 しかも、オレは瑞希(みずき)がPCゲーム『フェアモン・バトル』をしていることすら知らなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ