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#2 公安異能特化部隊

「お疲れ様です」


「お疲れ様です!」


俺と依和は、今回の件の結果について伝えるため、部署に戻った。


扉を開けると、ダウナー系のギャルであり、諜報班のリーダーを務める綾辻 光莉(あやつじ ひかり)先輩が出迎えてくれた。


「お〜、いのっちといよりんか。おかえり〜どだった?」


夜の部署は、人が少なく、大抵は諜報班の人たちか隊長や副隊長辺りしかいない。


「今回もいい情報はなかったですね」


「まあ、私がいなかったら唯斗は怪我してましたけど!」


変なところでアピールをする依和。……自慢するところなのか?


「さっすがやな〜いよりんは。……まぁ、いのっちも異能が顕現すれば怪我はなくなるんじゃない?うちが言えたことじゃないけど」


「いや、先輩の異能はすごいですって。もはや、部隊の地盤と言ってもいいぐらいに」


「そんな盛りすぎ〜。ま、もっと褒めても〜?」


依和に続いて綾辻先輩まで……。女性の人はこういうものなのかな?


ちなみに、綾辻先輩の異能は『制御掌握(ハッキング)』。

先輩が異能を流したパソコンだけどんなサイトでも潜り込めるという便利なものだ。だから、裏サイトの情報や政府の機密情報。


……あんなものやこんなものまで。


俺と依和、先輩の三人が雑談していると冷たい声が背中をなぞる。


「……お前たち、戻ってたのか」


「黒瀬先輩!お疲れ様です!」


「……見たところ怪我は無いな。ならいい。」


振り返ると黒髪ロングで背の高い20代前半の女性─黒瀬 澪(くろせ みお)先輩が立っていた。


階級は1番上のSランク、部の副隊長を務めており、俺の憧れる人だ。


彼女が赴いた任務は完全に遂行され、他の部員たちも大きな怪我なく生還する。


「猪瀬、酒川、綾辻、もう遅いし帰れ」


「……黒瀬先輩はどうするんですか?」


黒瀬先輩の発言に自分のことを入れてないことに気づいた依和が質問する。


「少し森崎隊長と話し合いがあるんだ。だから、ここを開けて欲しいんだ。」


森崎 尚也(もりさき なおや)隊長─このイカれた部隊をまとめあげる人物。階級は黒瀬先輩と同じくSランク。実力、人格共にいい人だ。


「話し合い……それって結構大事な話なんですか?」


「大事かどうかは分からない。……まだ、私も聞かされていないからな」


「ん〜じゃあ、うちらがいてもだからじゃあないですか?いざとなれば、うち、情報集めれるんで〜」


「そうは言われてもな……明日も猪瀬と酒川は学校だろ。それに、お前だって大学があるだろ」


「うっ」


「えへへ」


「そ〜言われちゃあ、何でもきびしいっすよ〜」


黒瀬先輩に図星を突かれ、俺たちは言い淀む。黒瀬先輩は、表面上は冷たいが、その反面、誰よりも仲間想いで優しい人だ。


現に俺たちの明日のことを心配している。


「別に俺はいても構わないぞ?それに人数多い方が早く済ませれるしな!」


「うわっ?!」


完全に気まづい空気が流れている中、豪快な声が後ろから聞こえ、振り向くと巨大な男性が見下ろしていた。


「……森崎隊長。いい加減、後輩たちを驚かせるのはやめといた方がいい」


「ハッハッハ!こうもしないと後輩たちが話しかけてくれないんだ。泣いちまうよ……」


そう。現れたのは森崎隊長。性格は黒瀬先輩とは真逆で誰にでもかまってちゃんらしい。……光莉先輩曰く。


「それで森崎隊長。そこの三人の時間を取らせるのは無駄だから、早く話してくれ」


「あ、あぁ?そうだな。」


黒瀬先輩の真面目な雰囲気に呑まれた隊長は、真剣な顔つきになって話を始めた。


「最近、池袋を中心とした深夜の時間帯に誘拐事件が多発しているらしいんだ」


「池袋ですか……でも、そういう系なら渋谷や新宿が多いんじゃないですか?」


「酒川は鋭いな。でも、それは一般人による事件だ。だが、今回は複数の異能所持者が確認された」


「あ〜確かに、ここ最近、うちら情報班にも池袋の事件の詳細が流れてた気がします〜」


「そう。綾辻が言ったそれが今回の概要だ。詳しい情報が出てないけど……被害が出る前に動く」


そう告げると森崎隊長は俺と黒瀬先輩を指さした。


「今回の件はお前たち二人が適任だろう。今日から調査してほしい」


「わかりました」


「今日からですか?!」


事件の発生時間が深夜に加え、俺と依和は明日も学校がある。そんな中での調査……


「悪いな。でも徐々に規模が増している。早めに対処したいんだ」


うるうるとした瞳で見てくる隊長。別に可愛くないが、どこか否定できない雰囲気を出している。


「……わかりましたよ」


「ありがと〜!ゆいとっち〜!」


「……やっぱ、やめていいですか?」


「隊長〜うちの真似かは知らんけどぉ気持ち悪〜い」


「そんな?!」


悲しむ森崎隊長を他所に黒瀬先輩は俺の腕を掴んで歩き出した。


「池袋となると今から向かわないと間に合わない」


「了解です」


そして、俺はこの後、黒瀬先輩の強さを改めて実感することになる。

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