⑦ エピローグ?
組長との逢瀬を楽しんだ(?)後、雪子はいつものように、❝照和❞の時間軸に戻る前に、❝昭和❞……今はもう平成だが……の時間軸の研究所に立ち寄った。
それというのも、以前から少々気になることがあったからだった。
彼女はそれを確かめるために、副所長の杉浦鷹志を地下2階の自室に呼びだした。
雪子は、鷹志がやって来ると早速本題を切り出した。
「ねえ、貴方、私に申告して無いことがあるわよね?」
「さあ?僕のプライベートなことまで、全部お知りになりたいんですか?」
「そうじゃくて、ここに来ていない月、水、金曜日の勤め先の話よ。」
「ああ、バレてましたか?」
「所員のプライベートなことまで詮索するのは、私の主義に反するけど、相手があのサン・ジェルマン伯爵だと、話が変わって来るのよね。」
「何か、マズイことでも?」
「貴方自身、そう思ったから、私に言わなかったのでしょう?」
「いや、雪子さん、訊かなかったし……。」
「そう言うと思った。」
「いいわ。貴方が向こうのスパイでも構わない。噂に聞くところによると、あの村田京子が、サン・ジェルマンの妻になったそうじゃない?」
「さすが、お耳が早い。」
「ますます商売敵の様相が高まったわねえ。」
「でも彼は慎ましく、この時間軸の中でしか活動しませんので。」
「他の時間軸の自分の同位体と、連絡を取る技術は持っているのでしょう?」
「そうですね。その通りです。」
「じゃあ、私がやってる事と大差ないじゃない?」
「むしろ彼は、自分以外のスキル……才能や頭脳を集めてますから、もっと大がかりとも言えますね。」
「貴方は何故彼の元に居るの?」
「直接彼にスカウトされたのですよ。彼のチームのスタッフとしてね。彼は雪子さんよりも早くから、僕のスキルに目をつけてくれたんですよ。」
「それはまた、失礼しましたね。」
「僕は元々彼のファンで……実在するなら関わってみたいとずっと思ってたので……まあ、夢が叶ったわけです。」
「それは……良かったわね。」
「それで……僕はクビですか?」
「いいのよ。今まで通り来てちょうだい。」
「いいんですか?」
「貴方ほどの人物は、代わりが見つからないもの。悔しいけど仕方が無いわ。」
「助かります。研究費はいくらあっても多すぎることは無いので。」
「その代わり、スパイ行為とかは無しにしてよね?」
「ええ、もちろん。アッチのことも教えませんけどね。」
「それはちょっと知りたいけど……まあ、いいわ。今後もどうぞよろしく。」
「こちらこそ。」
その後、彼はそそくさと自分の研究室に戻って行った。
よくよく振り返ってみれば、雪子の次元転移装置の完成にも、きっとサン・ジェルマンのアイデアが生かされているに違いないのである。
いくら元神童とはいえ、杉浦鷹志一人でやってのけるには、荷が重すぎる依頼ではあったのだ。
コレは私自身のミスだわ。雪子は反省した。
と、同時に、コレも何かの縁よね?とも考えたのだった。
……以下、第13巻に続く。




