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「時空の魔女の道草」(セーラー服と雪女 第12巻)  作者: サナダムシオ


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② 派手な手品

 雪子は全体を見渡す。

 …うん、10名様ね。

 チカラ半分使う感じでいいかしら?と一瞬で敵を値踏みする。


 雪子を取り囲んだ男たちが、ナイフを片手に次々に走り寄って来た。

 彼女は、まるで楽しむかのようにそれらをギリギリで躱すと、チカラを使ってその場で垂直に舞い上がった。


 男たちが思わず空を見上げる。

 その瞬間、彼らの誰もがナイフを持つ手を緩めてしまった。

 彼女はその隙を見逃さない。


 チカラを使って全てのナイフを奪い取ると、空中でそれらの向きを変えて、それぞれの持ち主に急降下させた。

 ナイフは正確に、元の持ち主たちの手の甲を貫いた。

「ギャア~!」

 可愛くない悲鳴が方々で上がる。


 次に彼女は、叫んでいる彼らを、チカラを使って次から次へと持ち上げて、容赦なく海に放り込んだ。

「春の海よ。寒くて即死ってこともないでしょ?」

 彼女は海でバチャバチャもがいている男どもに声をかけた。


「このアマ、変な手品を使いやがって!」

 ああ、一人見逃してたのね。私としたことがツメが甘いわあ。と思った彼女が、すぐに声のする方を見ると、そいつは銃を構えていた。


「いたいけな女子高生に向かって、そんな飛び道具を使うのかしら?」

「やかましい!これでも食らえ!」

 拳銃から弾丸が発射される。

 しかしそれは、男と雪子の真ん中辺りの空中で、ピタリと止められてしまったのだ。もちろん、彼女のチカラである。


「さて、この弾をどうしようかしらねえ?」

 彼女は銃を持った男を睨みつけた。

「くそ!」

 男は更に銃を連射したが、全ての弾が空中で止められてしまったのだった。


すると、それまで黙っていた、囲まれていた方の男が、初めて声をあげた。

「殺さないでやってくれ。」


 何度も修羅場を潜って来たであろう彼は、彼女の殺気を感じたのだろう。

「そんなヤツらでも、元はと言えばオレの子分なんだ。」


 雪子は少し考えた後、銃弾を全てその場にバラバラと落とした。

 そしてチカラで拳銃男を持ち上げると、他の男たち同様に、海に放り込んだ。


「あなた、命拾いしたわね?」

 雪子は海の中に声をかける。

 くだんの男は、ブクブク言うばかりだった。


 雪子がようやく地上に降りると、先程の男が声をかけた。

「あんた、大したものだな。名前は?」

「まず自分から名乗るのが、人としての礼儀では?」

「ああ、これは済まない。オレは吉川正義。吉川組の若頭をやらせてもらっている。」


「私は⋯魔女よ。」

「ああ、確かに凄い手品だったよ。本名は名乗ってくれねえのかい?」

「そうね。後々役に立ちそうだし、あなたには名乗っておこうかしら。」

「何てえんだい?」


「真田雪子よ。真田十勇士の真田に、空から降る雪に子どもの子。」

「雪子さんかい。覚えておくぜ。」

「若頭さん、コレは貸しイチよ。」

「ああ、良く覚えておくぜ。」


「今後、この私が困ることがあるとは思えないけど、困った時はよろしくね?」

「心得た。必ず恩は返す。」


「じゃあ、またね。せいぜい背中に気をつけて。」

「分かったよ。あんたも達者でな。」

 そこでちょうど時間となった雪子は、その場で煙のように消え去った。 


 残された若頭は、目を白黒させるばかりであった。


挿絵(By みてみん)

 このエピソードが直接、「その後の酒井弓子」につながります(>ω<)

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