① 事の始まり
「その後の酒井弓子」につながる物語です(>ω<)
真田雪子は超時空の魔女だ。
行く先々で「お前は何者だ?」と聞かれて、めんどくさいので「魔女」と名乗ったのが事の始まりだ。
彼女は幼い頃から頭脳明晰で、特に数学と物理学が得意で、ついには並行宇宙の別の時間軸への旅を実現した天才だ。
彼女はそのスキルを、「別宇宙の自分の同位体からチカラを集める」という、実に個人的な目的のために使っている。
なぜなら、もし他人にこの手段を教えようものなら、軍事目的など、ろくでもないことに利用されるであろうことが、目に見えているからである。
残念ながら、多くの時間軸で、人類は愚かな行いを続けている。
だから、なかなか外宇宙の知的生命体に、「付き合うのにふさわしい生物」として認めてもらえない。
彼女がそういう事実にうんざりしていることも確かである。
彼女はまた、念動力を持ち、後に不老不死になる。
これは後付けのチカラで、悪友のサン・ジェルマンのおかげで身に着けたものである。それゆえ、名実ともに「永遠の17歳」となり、いつまでもセーラー服が手放せなくなるのだが……。
コレは彼女がそうなってしまう、少し前の話である。
場所は、数々の並行宇宙の中でも、唯一彼女の同位体が居ない世界の、とある座標地点。この「昭和」の世界には、彼女の大切な「有る人物」が暮らしているので、時々様子を見に来ているのだ。
彼女は用事を済ませてホットと一息。
気分転換に海でも見ようかと、名護屋港の、とある埠頭にやって来たのだった。
暖かい春の潮風に吹かれて気分良くなっていると、背後のコンテナの方から、数名の男たちの野太い怒号が聞こえて来た。
「てめえら、裏切りやがったな?」
「あんたの弟の方が組を大きくできる。オレたちはそっちについて行くぜ!」
「こんなことをして、ただで済むと思うなよ!」
「あんたはここで死ぬんだよ!」
「あ~あ~ヤクザ同士の絵に描いたような修羅場だ。何で他所でやってくれないかなあ。」
雪子はつい、口に出して言ってしまった。
男たちは全員振り返って雪子を見た。
「見つかっちゃったかあ。逃げるのは簡単だけど、人を見殺しにできない性格なんだなあ、私……。」
雪子はまた呟く。
「なんだあ、このアマ。見られたからにはオマエも生かしちゃおけねえなあ。」
と、悪人A。……雑魚の名前なんか雪子には興味が無かった。
「こいつも一緒にスマキにして海に放り込んじまえ!」
と、悪人B。どいつもこいつもベタなセリフを吐くのね。と思う雪子。
「かまうものか、やっちまえ!」
と、悪人C。やっちまうのはこっちだけどね。と雪子は次の行動に移るのだった。




