71話
――何事も起こらなくても年月は確実に過ぎていく……
子供は大人に、大人は老人に、それがごく当たり前のこと……の、はずだった
アクオス達が学校を卒業してからもう何年経ったことか。
フォルトもセイルも一目見ただけでも大人になったが、その隣に立つアクオスは……
その日、アクオスは実家へ帰る準備をしていた
「あれ、アクオス君おでかけ?」
「うん、兄のとこに子供が生まれたからね。顔見に行ってくるの」
「そっかぁ……楽しみだね」
うん、と頷くアクオスはフォルト達が出会った頃と何ひとつ姿が変わっておらず、そのことを不思議に思いながらもアクオスだからとフォルトもまた気にしていなかった
「明日には帰ってくるけど……」
「台所は任せて」
「お願いね、フォルトくん」
アクオスはギンを抱きかかえるとシウと一緒に空間を移動していった
移動先はもちろん彼の実家で……
「ただいま戻りました」
「おかえりなさい、アクオス」
「はい、お久しぶりです母様」
久しぶりに帰ってきた次男のアクオスを見た母親のラティアはその姿の変わらなさを見てもなお気にしたそぶりも見せずにただ嬉しそうにその小さな身体を抱き寄せた
「さ、早くウィント達に顔を見せてあげなさい?」
「はい!」
母親の案内でウィントとハルカ、それから彼らの子がいる部屋へと来ると中からはとても楽しそうな兄とかつての兄である義姉の声が扉越しに聞こえてきた
「ウィント、ハルカさん。アクオスが来ましたよ」
「おかえりアクオス」
「おかえりなさいアクオス君」
「ただいまです。兄様、義姉様」
久しぶりの対面を済ませた後、母親はそのまま部屋を出て行ったが、アクオスは兄達の子の顔を見る為にベビーベッドを覗き込んでいた
「兄様と同じ髪色ですね」
「そうだね。瞳の色はハルカと同じだよ」
その子はとても気持ちよさそうに眠っていて、その両の瞳は瞼の裏に隠れていた
「ボクも叔父になるんですね……なんか不思議な感じがします……」
「そのうち慣れると思うよ? 俺も初めてこの子を抱き上げたときは怖かったんだよ」
兄達もその姿が変わらないアクオスに何かを言うことはなかった。
だって、そこにいるのは誰でもない、自分達の可愛い弟なのだから
「父様達も初めての孫が男の子で喜んだでしょ?」
「父様達なら女の子でも喜んだと思うけどね」
「そういえばアクオス君、義父様に顔を見せたのかしら?」
「あ、まだです。兄様、父様はどこに」
「父様なら多分執務室にいると思うよ」
「わかりました。それじゃあまたあとでハルカさん、兄様」
2人と別れたアクオスは父親がいるであろう部屋に足を向ける
その時にメイド達とすれ違っても誰も彼のその姿について聞くこともなく……
そろそろ本題部分に触れつつ……
とりあえずアクオス達が学校を卒業して5,6年くらい経ってます(ウィントのとこに子供が出来るのが遅かったのは忙しかったからってことで……)




