43話
――草をかき分ける音が徐々に近づいてくる中、3人と1匹は緊張した面持ちでその音がする方を見つめていた
「ギン、もし相手が攻撃してくるようなら……」
アクオスがそこで言葉を区切るとギンはわかってるとでも言うように前を見据えたまま小さく一鳴きするあいだにその音はさらに近づいていて……
それから経った時間はおそらく瞬きする程度なのだろうけど彼らにとってはとても長い時間だっただろう。
誰かのごくりという唾を飲み込んだ音がその静かすぎる空間に響いたと思った時ついにその草の方から何かが飛び出してきて……
「魚とネコ……?」
「確かフライフィッシュとシーフキャットだよ」
フライフィッシュと呼ばれた空を飛ぶ魚はまるでシーフキャットと呼ばれたネコから逃げるようにセイルの背中に隠れ、シーフキャットはそんなフライフィッシュを捕まえようとセイルの足元で背を伸ばして手を伸ばしていた
「……さっきの音はこの子達が原因……?」
それだけならよかっただろう。
ギンはいまだに前を見据え、少しも警戒を緩める様子もなく、それどころか彼は唸り声をあげていて
再びガサガサという音が彼らの耳に届き、その瞬間、アクオスもまた警戒を強めた
「セイルくん、フォルトくん。その子達を保護して」
「ど、どうしたアクオス」
「何か来るの……?」
アクオスが音のする方を見つめたまま頷いたのを確認した2人はセイルが自身の後ろにいたフライフィッシュを、フォルトがセイルの足元にいたシーフキャットをそれぞれ保護というか確保をしていた。
そして、現れたのは大きく、火衣を纏う獅子、“赤獅子”と呼ばれる攻撃性の強い獣だった。
「やべぇ……赤獅子だ……」
「あ、アクオス君……っ」
赤獅子は口元から唾液を垂らし、ぐるぐると唸り声をあげ、そして何よりもその目線は……
「赤獅子は確か討伐対象……属性は火炎……」
「でもなんで赤獅子がこんなに浅い森に……?」
そう、本来赤獅子は火山や砂漠に生息する獣で、そうそうに人目につくことがないが、その攻撃性によって保護よりも討伐対象として各ギルドにて知らされていたのだ
火炎という属性もまた、火属性を極めた属性と言われており、各属性にもそういったものがあるが、それを極めたという者は獣以外に確認されたことがなく、それほどに強いのだ。彼らは
「火には水?でも強すぎる火に水は意味がないし……あ、そうか」
獣というのは、背を向けて逃げてしまえば絶対に追ってくるし、その先にあるのは捕食という現実。
ならば、3人にできることは。
「まさか、戦うのか!」
「まぁ、どのみち獣の足を考えたら逃げ切れないなら、ね」
依頼でもない実戦、場所は視界がさほどよくない森の中
勝つか負けるかは……全てはきっと彼ら次第なのだろう……
てことでセイルとフォルトの契約はまだ先です。
ちなみに、赤獅子はたてがみ部分が火で出来てます。(触れても焼かないけど燃えはする)




