38話
――その日は警護手伝いのバイトの日だったが、そのバイトへの移動までに時間があるからとアクオスは火属性専攻専用フィールド設備に来ていた。
「あぁ、来たかヒセント」
「はい、今日のバイトまでまだ時間があったので」
「結界の検証はどこまでやってたか覚えているか?」
「前回は確か防御結界を何重まで張れるかと何枚まで貫通されるのかの検証でした」
そこには担当のガウスがいたのでアクオスはさっそくとでも言うようにようやく行えるようになった無属性魔法の検証の話をするのだった
というか、彼以外の教師が検証を手伝ってはくれなかったというのもあったのだが……
「あぁ、あれって結局魔力の残量の問題で20……ってそれだけでも多いよな……」
「よく考えたら防御結界だけ張るなんてことないんですよねぇ……」
「そもそもあの強度で20以上重ねる必要もないと思うけどな」
ガウスが思いだしながら言うのは数日前に行ったその検証のときのことで。
その時アクオスは3度守りに特化されている防御結界をその都度20近く重ねて張り、その場にいた複数の属性持ちの魔法使い達に攻撃してもらい、文字通りに検証していた。
ただ、その3度目の検証で、ガウスが少しだけ強めの魔法を放った時に貫通したのが6枚目の結界までだった時点でその結界1枚1枚の強度はかなりのものだという検証にもなったのは言うまでもなかった。
「とりあえず今日も検証していくのか?」
「じゃあ軽く属性結界の方を。一応バイトのために魔力は残しておかないといけないので」
「……行くまでのあいだにおまえなら回復してそうだけどな……」
すでに慣れているガウスだからこそそう言うのだが、それを聞いていたその場にいた他の火属性の魔法使い達は慣れきれていなかった為に挙動不審のようになっていた
それから数時間のあいだ、属性を持った結界を張って検証を行った結果
水の属性結界を張ればほとんどの火魔法は消え、強力な火魔法だと結界の方が蒸発していた。
それから風の属性結界を張ると火魔法の火が煽られて強くなっていたのは言うまでもなく、最後に同じ火の属性結界を張ってみると放たれた火魔法を飲みこんで結界が強くなっていたのだった。
「うん、思ってた通りだった」
「しかし蒸発するとは思わなかったな……」
「あれはちょっとあぶなかったですよ……さすがに吸収結界を張りましたもん」
「……本当にヒセントは咄嗟の行動が早いな」
そう、結果について話し合っているうちに遠くの方からセイル達の姿が見えてきてそろそろ移動時間なのだとアクオスは否応なしにも理解した
「……そういえばガウス先生、この派遣の警護対象って誰か知ってますか?」
「あー? あー……知らない方がいいこともあると思うぞ」
ガウス曰く、教師陣は一応派遣依頼の方は全員一度目を通している為にどの派遣がどういうものなのか少なからず理解しているらしい。
もちろんアクオス達が受けた依頼も
「とりあえずヒセント、その対象については多分こちらよりもお前の方がよく知るだろうな」
「んん?」
ガウスはそういうとほらさっさと行かないと送れるぞとセイル達の方を指さしていた。
アクオスはと言えば、その態度になんとも言えない感覚を持ちながらも時間なので仕方なくガウスに一礼をして走ってきているセイル達の方に向かっていくのだった。
あ、バイトのとこまで行かなかった。
魔法の検証って大事ですよね!?




