32話
兄嫁(真)登場!
――その声、その顔、その姿はまったく知らないもののはずなのに、彼はどうしてか彼女を見たときに感じたのは何故か泣きたくなるほどに懐かしくも温かく優しいすでにない昔にも感じたものと同じものだった……――
「初めまして、ハルカ・ナヴィです」
「は、じめまして……アクオスです……」
場所はヒセント家の食堂、そこでアクオスは初めてその人との対面を果たした。
だが、アクオスは彼女、ハルカを見ても恐怖心が湧いて出てくる感じもなく、ただただ彼はハルカに対して出てくる感情は……
「……やっと、会えた……」
ぽつりとハルカから呟かれた言葉、それはアクオスだけに届き
浮かべられた笑みにアクオスはそれに似た笑顔を思い出していた
けどその思いだした笑顔の相手はもう見ることができないはずの人で、だからこそアクオスはわかりずらくも混乱していた。
思わずその名を呼びそうになったがアクオスはそれを耐えた
もし、本当に彼女があの人なら……
アクオスはそう、思わずにはいられなく……
「ねぇ、アクオス君。あなたのことを聞かせてくれる?」
[なぁ、茜。今日はどんなことがあったか教えてくれるか?]
その、懐かしくも優しくて温かい声にアクオスの涙線は緩みそうになるが彼はまだ確信を持てなかった。
ハルカが自分の知るあの人と同じなのか違うのかが……
それからアクオスとハルカはウィントを交えてたくさん話をした。
それこそとりとめのないものばかりだったが、その中で一番話したのはやはりシウ達のことと学校のことで、ハルカとウィントはアクオスが話すことをとても嬉しそうに聞いていた
ふと、話の合間でウィントはお茶を頼みに少し席をはずしたその瞬間、ハルカは小さくその名を呼んだ
まっすぐアクオスを見て“茜”と
そしてすぐにハルカは人差し指を唇にあてて内緒だよ、とでも言うように笑みを浮かべて
「大きくなったね、茜」
「っ……にいちゃ……」
「茜、またあとで」
ハルカがそう言い終わったのとほぼ同時にウィントが戻ってきて、もう少しでお茶の用意ができることを告げた。
それからまた3人での話が始まったが、今度はハルカとウィントの出会いについてアクオスが尋ねてみたりとその対面は成功とも言えた。
「アクオスが受けて入れてくれてよかった」
「ハルカさんならボクも平気みたいです。兄様、ハルカさん。結婚おめでとうございます」
その一言は心の底からの祝福だった。
アクオスからの祝福にウィントもハルカも嬉しそうに笑みを浮かべ、2人は声をそろえるように礼を返した。
「「ありがとう、愛しい弟よ……なんてね」」
同じ言葉を同じタイミングで言う2人にアクオスが思ったことはやはりハルカがウィントの結婚相手でよかったということだろう……
――その数日後、ウィントとハルカの結婚式がヒセント領であまり派手ではなかったがにぎやかに執り行われ、ハルカは名実ともにヒセント家の一員となり、アクオスの義姉となったのだった……――
ぶっちゃけてしまえば、兄嫁がアクオスの前世に関係してるのは決めてたんですけど
書き始めるまで前世の母の生まれ変わりにしようと思ってたのはここだけの話。
……よく考えたら兄妹揃って逆の性別に転生してるということになるのか……ありかな?
あ、次回前世の話(実質プロローグの続き)になります!
とはいえ、語り手はハルカ(前世兄)ですけど。




