31話
――場所は変わって敷地のすぐ外にある入学式の日などに親達が利用していた食事処
そこでアクオスとレクルトは一番奥まった席で向かい合わせに座っていた。
「あの……」
「さて、アクオス君。単刀直入に言おう、俺と友達になってくれないか」
レクルトはアクオスの言葉を遮るように言い放ったのはそんな単純な言葉だった。
その言葉にアクオスは思わずと反射的に答えていた
「え、無理です」
否定の言葉を。
あっさりと帰ってきた否定の言葉に一瞬首をかしげてから言われた言葉の意味を理解したようにどこかショックを受けたような表情をしていた
「こ、考慮する余地もないのか……」
「えっと、申し訳ないですけどどうしてもボクはあなたを王子としか見れません」
だから友達という関係になるのは難しい。
アクオスは視線を反らすことなくただただまっすぐレクルトの目を見ていうのだから言われた方は友達になれないという言葉を撤回させるすべをなくした。
「そうか、それでは話を変えよう。君は卒業をしてからの進路は決めているのか?」
「あ、はい。ギルドで仕事を受けながら家の方の手伝いができたらいいなと」
「君は本当に家が好きなんだな」
「はい……」
それから2人は当たり障りのないごく普通の会話をした。
傍から聞けば王子と魔法使いの会話には聞こえない会話を。
食事処を出てすぐ、そこにはレクルトの護衛達が肩で息をしながら立っていた。
「レクルト様、そろそろお戻り願います……」
「あぁうん。もう帰るよ、それじゃあアクオス君またね」
レクルトはやっぱり綺麗な笑顔を浮かべ手を振りまだ体力を回復しきれていない護衛達を連れてあっさりと帰って行った。
「……え、今またねって言った……?」
1人置いてきぼり状態のアクオスがその言葉に気づいた頃にはすでにレクルトの姿形は視界の届く範囲にはなく……
少しだけ考え、アクオスはまぁいいかとまた学校の敷地の中へと戻っていくのだった。
――……それから数日の間に日を置かずにレクルトがアクオスに会いに来るようになるまではそう時間はかからなかった……――
そして、アクオスの方に家からある連絡が入ったのもそんな穏やかではあるが世話しない日々の隙間のことだった。
「兄様が結婚……」
ふと思い出すのはあの時の彼女のこととその出来事。
チリリと胸の奥底が軋んだ気がしたが、アクオスは次の兄嫁がまともな人であればいいと願いつつ寮の監理人に外出の許可を貰いに向かっていった
どんなに女性が怖くとも相手がどんな人なのかを知らなければいけないということを彼は自覚しているから
……そして、久しぶりの実家で対面したその人と目があった瞬間、アクオスが感じたのは……
まぁ、そう簡単に王子と友達にはしませんよ?
そして次は兄嫁再び!(違う人)




