攻撃隊発進‼︎
今迄のに比べると少し長めカモです
第一派攻撃隊
『赤城』零戦一○機
『加賀』零戦一○機、艦爆三機
『蒼龍』零戦一○機
『飛龍』零戦一○機
『翔鶴』零戦一○機、艦爆三機
『瑞鶴』零戦一○機、艦爆三機
計零戦六○機、艦爆九機となる。
南雲はこれらを午前六時に発艦させた。そして、午前六時四十五分には第二派攻撃隊を出した。
第二派攻撃隊
『赤城』零戦六機、艦爆五機、艦攻一一機
『加賀』零戦七機、艦爆一○機、艦攻八機
『蒼龍』零戦三機、艦爆一六機
『飛龍』零戦三機、艦爆一六機
『翔鶴』零戦七機、艦爆一三機、艦攻七機
『瑞鶴』零戦八機、艦爆一九機
合わせて、零戦三四機、艦爆七九機、艦攻二六機、計一三九機の艦爆主体の編成である。空中指揮を執るのは蒼龍艦爆隊隊長の江草隆繁少佐。先ずは急降下爆撃で敵空母を粉砕しよう、という魂胆であった。
そして、七時四十分。空母六隻の艦上では第三派攻撃隊の準備が整っていた。
第三派攻撃隊
『赤城』零戦六機、艦爆一二機、艦攻六機
『加賀』零戦七機、艦攻一六機
『蒼龍』零戦三機、艦攻一八機
『飛龍』零戦三機、艦攻一八機
『翔鶴』零戦八機、艦攻一四機
『瑞鶴』零戦七機、艦攻一八機
合わせて、零戦三四機、艦爆一二機、艦攻九○機、計一三六機である。空中指揮を執るのは、赤城飛行隊隊長の村田重治少佐。第三派攻撃隊は第二派と打って変わって艦攻主体の編成となっていた。此方は第二派攻撃で虫の息の敵艦に止めを刺す事を目的としていた。
江草少佐率いる第二派攻撃隊が敵空母上空付近に着いた頃には既に零戦とAI-1の戦闘はあらかた決着が付いていた。零戦は僅か五機のみの損害に止まり、未だ五五機が空戦を続けていたにも関わらず、AI-1はその数を大きく減らし、その数僅か二一機となっていた。
これは零戦とAI-1の能力差というよりは、赤軍の母艦搭乗員の練度が軒並み低かったからである。赤軍で腕の良い者は殆ど欧州の空にいた。又、彼らは零戦と戦うのが始めてという者許りであり、零戦隊は面白い様に巴戦に持ち込み、AI-1の後ろを取り、撃墜出来たのであった。
残るAI-1も零戦から逃げるのに精一杯であり、制空権は完全に日本の物であった。
急降下爆撃を仕掛ける九九式艦爆に、レーニングラード級空母『レーニングラード』『モスクワ』とその周辺に居る駆逐艦が対空射撃を開始したが、お世辞にも照準が良いとは言えず、落とされた艦爆は僅か三機に止まった。
艦爆は十機ずつ『レーニングラード』と『モスクワ』に爆撃を仕掛け、『レーニングラード』に六発、『モスクワ』に至っては八発の爆弾が命中した。
両艦の艦足は完全に止まり、即座に艦攻によって介錯された。
しかし上空には未だ攻撃を終えていない艦爆が五八機もあった。そこで彼らは急遽攻撃目標を敵戦艦に切り替え、南西に機首を向けたのだった。
赤色海軍は二隻ずつの縦陣を描いていた。つまり、二行四列で進んでいた。
ソヴィエツキー・ソユーズ級戦艦『ソヴィエツキー・ソユーズ』『ソビエツカヤ・ウクライナ』
ヴァリャーグ級戦艦『ヴァリャーグ』『カリーニン』
ガングード級戦艦『ガングード』『マラート』『ミハイル・フルンゼ』『パリジスカヤ・コムンナ』
以上が赤色海軍太平洋艦隊の戦艦群である。
赤色海軍はこの時第一列に『ソヴィエツキー・ソユーズ』『ソビエツカヤ・ウクライナ』第二列に『ヴァリャーグ』『カリーニン』第三列に『ガングード』『マラート』第四列に『ミハイル・フルンゼ』『パリジスカヤ・コムンナ』という具合に艦列を組んでいた。
赤軍戦艦群を見るや否や、凡そ六十機の九九式艦爆が『ミハイル・フルンゼ』『パリジスカヤ・コンムナ』目掛けて急降下を仕掛けて行った。この時、戦艦や周囲の護衛艦の対空砲撃によって九九式艦爆が七機堕とされたが、お返しと許りに『ミハイル・フルンゼ』に二五番爆弾二三発、『パリジスカヤ・コンムナ』には一九発を命中させた。
この攻撃により、『ミハイル・フルンゼ』『パリジスカヤ・コンムナ』共に大破の損害を出した。両艦は最早この後の砲戦に参加出来なくなってしまった。
しかし太平洋艦隊の受難はこれで終わりでは無かった。南雲機動部隊の出した第三派攻撃隊がひたひたと近づいていたのだった。
ネーバは『ソヴィエツキー・ソユーズ』艦上で送られた情報にただならぬ衝撃を受けた。日本軍の航空攻撃で太平洋艦隊の空母二隻、戦艦二隻が撃破されたのだ。
しかし、彼は此処で引き返すことが出来ないでいた。ここで引き返したら、臆病者と一生後ろ指を指されて暮らすことになる。いや、下手をすれば、粛清されることに成るかもしれなかった。どんなことが有ろうと、引き返すという選択は、彼の中には無かった。
「各艦に連絡。これより針路このまま、速力二三ノット」
ビスナーはネーバの言葉に思わず反論した。
「待って下さい。『ミハイル・フルンゼ』と『パリジスカヤ・コンムナ』を見捨てる気ですか?」
「そうしなければ、太平洋艦隊は敵艦と戦う前に全滅する」
「それもそうですが……」
ビスナーはそれ以上何も言えなかった。ネーバも苦渋の決断なのだろう。結局彼は頷く事しか出来なかった。
第三派攻撃隊を指揮する村田少佐は第二派攻撃隊に滅多打ちにされ、北進し逃げゆく二隻の戦艦を見るや、さて、どうした物か、と迷った。敵艦隊の動向を予想すると、これらの二隻を残し、北進し、逃げゆくか、これらの二隻を逃がし、そのまま南西に進むかの二択であった。
彼は少しの間迷った。しかし、日本海軍は持ちうる全ての索敵機を使い、太平洋艦隊の動向を監視している筈で、もし敵艦隊が針路を変えたりしたならば知られてくるだろう。と思い直した。そこで彼は二隻の戦艦に止めを刺す為艦攻十機を攻撃に向かわせ、自らは残りの航空機を率いて南西に進んだ。
眼下に六隻の戦艦を有する大艦隊を取られた第三派攻撃隊はその艦隊の前後に位置する四隻の戦艦-『ソヴィエツキー・ソユーズ』『ソビエツカヤ・ウクライナ』『ガングード』『マラート』-に狙いを定めた。
挟み撃ちにすることで、敵艦に混乱をもたらす作戦である。
最早敵戦闘機の影は無く、其処は日本軍機の独壇場であった。
敵艦隊も必死で、対空砲撃によって、日本軍機に十機もの被害を出させた。しかし、残った攻撃機は怯まず、爆弾を投下し、魚雷を放った。
二五番爆弾六発、航空魚雷一○発を喰らった『マラート』は瞬く間に轟沈した。『ガングード』は『マラート』が図らずも盾に成った為、爆弾と魚雷を其々一発ずつの被害に止まった。
『ソヴィエツキー・ソユーズ』は魚雷を七発喰らったが、同艦は非常に運が良いのか、内三発はかする様に当たった為爆発せず、真面に喰らった四発だけで有った。それも左右に二発ずつであった為、『ソヴィエツキー・ソユーズ』は一旦一五ノットの速力に落ちたものの、二時間後には二○ノット以上に回復戻る見通しであった。
しかし、『ソビエツカヤ・ウクライナ』は爆弾三発魚雷八発を受け、左舷に大きく傾いていた。これは一○ノット出すのがやっとという有様であったが、未だ戦闘能力は有していた。
日本軍機による空襲はこれで終わったが、太平洋艦隊は尚も針路を変えず進み続けた。連合艦隊も勿論引く訳が無く、二時間後には両者が砲を交え合う運命に有った。
誤字、脱字、ココがおかしいという所有りましたら教えてくれると嬉しいです。