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星空ランデヴー  作者: あいしー
第一章~出会いは宙から降ってくる~
9/29

 自分の目を疑った。何度も目をこすって確認した。

 ・・・しかし、目の前にいる人物は間違いなくディアらしい。彼は、得意げな顔で私の反応を窺っている。

「どうだ、これで文句はないかい?」

「も、文句ありまくりよ!何なのその姿!?しかもあんこの傷口舐めたし・・・!」

 言葉を失った私の代わりに、きなこちゃんがこれでもかと質問をする。もはや噛みつきかねない勢いだ。

 うわぁ、さっきまで私たちディアのことを上から見てたのに。急に目線が上からになって、凄く変な気分。

 しかしそんな私たちのことなど気にせず、ディアは悠然と説明を始めた。

「僕みたいな冥王星の者は、皆この術が使える。対象とする者の血を自分の体内に取り込むことで、体のつくりを解析し、コピーすることが出来るんだ。ちなみにこれは、性別が違っても自分の性別に直してくれる」

「それであんこの血を舐めたっていうの!?最っ低!!」

「お前が言ったんだろう?種族が同じなら、恋愛も可能だって」

「それはあくまで、あんこが好きになったらよ!!でもまぁ、まず有り得ないことなんだから」

「そんなこと分からないだろう。それとも何だ。お前には、彼女の気持ちが全てわかるとでも?」

「つくづく腹の立つ野郎ね・・・!」

 ディアもきなこちゃんも私のことを置いてきぼりで、どんどん話を進めていく。最早、私が口を挟める隙も無い。

 何でこの二人、常に喧嘩腰なんだろうか。もっと仲良くしてくれれば、話も脱線することがないのだろうに・・・。

「とにかく、あんたなんかをあんこが好きにならないわよ!」

「それは分からないだろう。僕が彼女を恋に落として見せる」

「えっと、あの」

「へぇ~、出来るもんならやってみなさいよ!」

「いいだろう、後で後悔しても知らんぞ」

 ああ、勝手に色々決まってしまったみたいだ・・・。「もう勝手にして」なんて諦めてる私も、やっぱり適応能力高いのかな?それを喜んでいいのかどうなのか、悩みどころだけど。

 そんな私の苦労など知らないディアは、私に手を差し出した。大きくて、どこからどう見ても人の手だ。


「これからよろしく」


 にっこりと笑って・・・これは握手を求めてるのかな?

 でも、ちょっと順序が違うんじゃないのかな。冥王星って、自己紹介っていう文化無いの?

 出会って初めての言葉も、プロポーズだったし。握手云々の前にすることないのかな。

 ・・・しょうがないな。

「私の名前は安田智子。いい加減、『君』とか『彼女』じゃなくて名前で呼んで?じゃないと、いつまでたってもディアを好きになることなんてないよ」

「安田智子・・・」

「そう。で、こっちが木山奈々子ちゃん。私はあんこって呼ばれてる。奈々子ちゃんのことは、きなこちゃんって呼んでるの」

「お前、なんて上から目線な呼び方止めてよね」

「じゃあきなこちゃんも、ディアのことあんたって呼べないね」

「あんこは意地悪だねぇ・・・」

 私の言葉に、きなこちゃんは苦笑した。

 私抜きでどんどん話を進めた罰だよ。そう笑ってから、ディアの方を向き直す。


「こちらこそよろしくね、ディア」

「私もいるの、忘れないでね」

 そう言って、差し出された手を握る。きなこちゃんが、横から一言付け足す。

 ディアは、心底嬉しそうな笑顔を浮かべた。


「ああ!」


 握り返された手は温かみを感じられる、本物の人の手の様だった。

 こうして私たちの日常に、ディアと言う非日常を受け入れた。


ディアは服着てますよ。裸じゃないですから!

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