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Nostalgia world online  作者: naginagi
第五章
266/370

百鬼夜行②

 全く…面倒な役目を受けちまった。

 俺は今人間たちの街を攻撃するための前線基地を建てるため、不自然にできた森の中へとオーガの中隊長として手下の小鬼どもを連れて入っている。

 そもそも森の入り口の看板には「この先、一切の希望を捨てよ」とか書いてあったが一体どういう意味だ?

 まぁどうせ俺らを怖がらせようと思って書いたんだろうな。

 物見の偵察からこの森にはロクな戦力はいないときている。

 そこに3000を送り込む必要があるのか?

 まぁ前線基地を建てるとなれば邪魔な木を折らないといけないから多くの手はいるがな。


 にしても本当に人間の考える事はわからん。

 わざわざ木に灯りをつけて見やすくしてるし、それが森全域に広がっているようにも思えた。

 まぁこちらが松明を持つ必要が無くなるからいいけどよ。


「おい、偵察しているやつらはまだ戻らねえのか」

「ぎぎっ…それが誰一人戻ってきてなくて…」

「なにぃ?」


 いくら小鬼だからといっても誰一人戻ってこないのは少し妙だな。

 叫び声にしても鳴き声にしても何も聞こえないのはおかしい。


「『通りゃんせー通りゃんせー♪こーこはどこの細道じゃ♪天神さーまの細道じゃ♪』」


 小鬼の話を聞いて考え込んでいると、突然歌を歌っているような声が聞こえてきた。


「『ちっと通して下くだしゃんせ♪御用のないもの通しゃせぬ♪この子の七つのお祝いに♪お札を納めにまいります♪』」


 声の元はもっと先か?

 いや、反響していて正確な場所はわからない。


「『行きはよいよい帰りはこわい♪こわいながらも通りゃんせ通りゃんせ…♪』」


 歌い終わったのか、再び周りに静寂が訪れる。

 だが、俺は背中がぞわぞわとする感覚に襲われた。

 俺の本能が言っている。

 ここにいてはいけないと。


「テメェら! 今すぐこの森を出るぞ!」

「ぎぎっ、他のやつらはどうするんで?」

「んな事はどうでもいい! 今は森を出る事をっ!?」


 後ろを向いて走りだそうとした瞬間、俺の目には後方で待機していたはずの小鬼たちが首を無くして宙ぶらりんになっていた。


「なっ!?」

「ぎっ!?」


 先程まで話していた小鬼の悲鳴に似た小さな声が聞こえ、反射的に振り返ると、そこには小鬼の首を刀か何かで刎ねた本人であろう人間の女が立っていた。


「ようこそいらっしゃいました。本日はキャンプのご予定ですかぁ?」

「なっ何を言ってやがる!」


 俺は慌てて手に持っていたこん棒を振る。

 だが女は俺のこん棒を軽々と避ける。


「あぁ、キャンプのご予定ではないと! では別の場所のご案内を致しますねぇ? それでは入場料は六文銭になりまぁす♪」

「ふざけんなっ!」


 女は悪戯をするようなにやけ面をしながら右手の人差し指を口に当てる。

 俺は再びこん棒を振ろうとすると、不意に視界がずれて斜めになる。

 そして視界はぐるりと回転して次第に地面へと向かって行った。


「なっ…何…が…」

「では、三途の川への旅路をごゆるりとお楽しみくださいませぇ♪」


 女の発言の後、俺の意識は消えていった。



 ---------------------------------------------------------------



 二メートルはあるオーガが木の上から降りてきた有幻覚のアリスの一撃で首を切断され、そのまま地面に倒れる。


「さて、一部隊完了っと。ルカもありがとねー」

「だいじょぶ」

「じゃ、私消えるから気が済んだら変わってね」

「はーい」


『現象―虚構の暗殺者』で作り出したアリスが消え、あたしとルカはまた新たな獲物を探しに行く。


「やっぱりその技ずるい」

「ずるいって言われてもねぇ…」

「今みたいに瞬間的な使用ならほぼMPも消費してないし、見えないところで出されたら気付きようがない。ずるい」


 確かに今みたいにあのオーガの前に出る前にアリスを出して、木の上で合図まで動かないでもらってたらそこまで消費しないしね。

 というか【幻魔法】のレベル上がって少しだけど消費が抑えられてる感じがするのよね。


「それで、今のところ状況は?」

「今みたいな10人ちょいの小規模部隊なら割と撃破してる。ただ、百人規模で来ているのは罠とかで削ってる感じ。あと偵察で動いているのは優先的に殲滅してる」

「まぁ歌も歌ってあるし、方角がわからなくなって迷ってくれたらいいってところね」

「それなら問題ない。等間隔で灯り付けてるから木の上に登らない限り場所はわからない」

「…もしかしてあたしが歌うって読んで等間隔にしてた?」


 尋ねるとルカがぐっと親指を立てる。

 流石アリス大好きルカってところね。

 海花が聞いたら不機嫌になりそうだけどね。


「とりあえず他の報告から500は撃破済み。というか、小分けの偵察が多いからそれ狩ってるだけで結構減ってる」

「この短時間で500なら多い方かしらね」

「あっ、海花からの報告。敵が混乱起こしてる」

「…もう?」

「何か首狩り教の威圧感に負けて逃げ出した小鬼たちのせいで恐慌状態になってるっぽい。とりあえず海花たちで指揮官っぽいのを倒しつつ包囲して殲滅してるっぽい。およそ1000を」

「嘘でしょ…」


 もう敵約半数になりそうなの?

 いやまぁ確かに煽ったけどね?

 ここまでになるとは思わないでしょ?


「ってことでこのまま残り半数も殺っちゃおう」

「えーっと…戦力の半分以上はその1000の方に回しちゃってるけど?」

「だいじょぶ。こっちにはアリカとレヴィたちがいる」

「信用感高過ぎじゃない!?」

「まぁ冗談は置いといて」

「今絶対冗談じゃなかったわよね?」

「向こうの殲滅が終わり次第再度包囲殲滅するから、ポイントDに敵を集める感じで動こう。海花たちは今ポイントGで殲滅してるから、それに合わせて海花たちに何匹か逃がして混乱させよう」

「そう上手くいくかしらね?」

「追い立て役を首狩り教にさせれば問題ない」


 むしろ問題しか見当たらない気が…。

 まぁもしやられても死に戻りするし、デスペナルティのステータスダウンも正直一撃必殺ができるあたしたちなら支障はほとんど出ない。

 取ってよかった一撃必殺スキルってところね。

 さて、このままこの夜はあたしが全部役目貰うとしましょうかね。

 アリスの出番はまた明日以降ね。

あれ? どっちが悪役だっけ?(二度目

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― 新着の感想 ―
[一言] 怖い怖い怖い…(gkbr 背筋ゾワってしたし鳥肌が(ブルブル あれ?いつからモンスターへの転生物の話に変わってたの…?無理ゲーすぐる
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