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Nostalgia world online  作者: naginagi
第四章
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吸血鬼イベント④

 二人一緒の部屋に泊まれる宿を見つけた私とルカは、ベッドの上で軽くゴロゴロしながら予定を話す。


「えーっと、今が午後二時頃だから、五時ぐらいまでは私が街中かな?」

「ん。三時間交代ぐらいでいいと思う」

「じゃあ夜八時には宿に合流しよっか」

「わかった」


 さて、お互いの行動時間も決まった事だし早速行動に移ろう。


 ルカと分かれた私は、まず日中あまり出歩かないような人がいるかの聞き込みをしてみた。

 吸血鬼だとすると、日中での活動はあまりしないのではという考えの元だ。

 流石に街の人全員を鑑定してたらいくら時間があっても足りない。


 だが、聞き込みを続けてもそう言った怪しい人物についての情報が全く上がってこない。

 普通ならスラム街やそう言った黒い部分があるものなのだが、この国は善政を敷いているのか、そう言ったのがないようだ。

 まったくもって感心する。

 しかしそうなると、潜伏している吸血鬼を探すのが困難となってしまう。


 そこで次に歳をとっても容姿があまり変わらないような人がいないかどうかを尋ねてみた。

 潜伏して住んでるにしても、十数年前から顔も変えずにいたら誰かしら不審に思うはずだ。

 だが、それならそれで先程の聞き込みで情報が出てくるはずなのだが…。

 まぁ結果からして何も情報は得られなかったわけである。

 仕方なく、すれ違う人たちを片っ端から【鑑定】してみているが、全くと言っていいほど怪しい部分がない。


「流石に森とかに潜まれてたらどうしようもないんだけどなぁ…」


 とはいえ、女王様のあの口振りからすると城下にはいると思うんだけどなぁ…。

 いや、ある程度怪しまれずに行動できる職業がある。

 商人や吟遊詩人などならある程度の自由は保障されてるし、商人に至っては発行書みたいなのがあれば国の中に自由に入れる。

 となれば、そういう発行履歴とかが女王様のところにあるかもしれない。

 善は急げということで、私はもう一度お城へと向かった。


「ん? どうした。何か忘れ物か?」


 お城に着くと、私を案内した兵士が声を掛けてきた。


「いえ、女王様にちょっと他から来た商人とかの履歴が見れるようなものがないかなーって…」

「履歴…? ちょっと待ってろ。どうするか聞いて来る」

「あっありがとうございます」


 そう言って兵士は城内へと入っていった。

 十数分後、先程の兵士が戻ってきた。


「流石に人伝で見せられるような物ではないので、直接女王様にお話してみろ。話はできるように通してある」

「わかりました。ありがとうございます」


 私はお礼を言って、城内に入る。

 道は先程来たばかりというのもあるので覚えているため、迷わずに謁見の間に辿り着けた。

 途中他のプレイヤーに出会ったが、お互い特に話しかける事はなく、そのまま進んだ。

 そこで部屋の前の近衛兵に声を掛けられる。


「話は既に伺っている。入れ」

「はっはい! 失礼します!」


 私は言われたまま謁見の間に入った。

 先程会った時と同様に、女王様は玉座に座っていた。

 私は先程と同様の距離まで近づいて頭を下げて跪いた。


「顔を上げなさい」

「はい」

「それで話は兵士から聞きましたが、商人の入国履歴が見たいと?」

「えぇそうです」

「理由を聞かせてもらってもいいかしら?」

「はい。先程まで聞き込みを続けてましたが、特に怪しい人物についての情報は得られませんでした」

「そうね。もしいたら私たちが先に目を付けてますもの」

「はい。そう思って別の観点から考えてみました」

「別の観点?」

「はい。もしかすると吸血鬼は襲撃前にこの国に入っているんじゃないかなと思いまして」

「それで商人が怪しい…ということね」

「はい。商人ならば、商売許可証などがあれば国に入る事は可能じゃないかなと思ったので、その入国履歴が見たいと思いまして再度こちらに伺いました」

「なるほど。面白い考えね」


 そう言うと女王様は少し考え、話を続けた。


「いいわ。閲覧を許可しましょう」

「ありがとうございます」

「それと、どの日を基準とすればよいかわからないだろうし、王族の死亡日を記載した物を特別に見せてあげましょう」

「いいんですか?」

「問題を解決するためには何だって利用するつもりよ。勿論異邦人さえもね。…軽蔑したかしら?」

「いえ…。私も経験ありますから…」


 私は自分の胸に手を当てて少し目を瞑る。


「そう…。では保管庫の案内を付けるわ」


 女王様は近くにいた近衛兵に、私の案内をするように指示をする。

 指示を受けた近衛兵が私の側に近づいてきて、保管庫へ案内する。


 保管庫に案内されて中に入ると、そこには司書さんらしき人がおり、近衛兵が目的の資料を出すように指示をする。

 指示を受けた司書さんが私の目的である商人の入国履歴の資料と、王族の死亡日を記載した物を持ってきた。

 この情報を悪用しないかを、近衛兵と司書さんが私を見張っている。

 おそらく紙とかの記録媒体などに残させないようにするのだろう。

 少し見られて緊張するが、気合を入れて資料に目を通す。


「えーっとまずは王族の死亡日からっと…」


 見る場所は女王様が言っていた祖母とお母さんの死亡日だ。

 吸血鬼に殺されたということなので、その日を基準として考えるべきだろう。

 えーっと、この最後の記録が女王様のお母さんだから…これとこれか。


「ふむふむ…」


 年と日はわかったから、今度は商人の方の情報と照らし合わせる。

 照らし合わせてみたところ、女王様のお母さんと祖母の死亡日と商人の入国日が近い人が何人かいた。

 でも、女王様のお母さんも祖母も結構若い頃に殺されてるんだなぁ…。

 二人とも三十台前半で鬼籍に入ってるしなぁ…。

 そういえば女王様も三十台っぽかったけど、何かこの年齢に関係があるのかな…?


「っと、危ない危ない」


 脱線しそうになったため、改めて資料を見る。

 えーっと、祖母の方で被ってるのはこれで、お母さんの方はこれ…と。

 それで両方に被ってる名前は…この人か。


「あの、容疑者…とまでは言えないんですけど、怪しいかもっていう商人の名前を書いて女王様に見せたいんですけど、紙とか書くものって…もらえたりは…」


 近くで見張っている司書さんに声を掛けて、紙とか書くものがあるかを聞いてみる。

 司書さんは近衛兵に相談し、許可が出たため紙と筆を持ってきてもらった。

 その持ってきてもらった紙に、先程挙げられた名前と情報を書き連ねる。



「ということで、候補みたいなのを挙げてみました。参考になれば…と…」


 私は名前を書き連ねた紙を近衛兵を通じて女王様に渡した。

 それを女王様はじっと見つめている。


「ふむ。短時間でよくまとめられている。それで、貴方の考えでは誰が怪しいと思っているのかしら?」

「やはりどちらにも名前がある商人ではないかなと思いますが、調べた限りでは一定の期間毎に来ているのでなんとも言えません。ですが、そこに書かれた商人を調べるのはありじゃないかなとは思います」

「そうね。一方的に疑うのも良くないわ。参考にさせていただくわ」


 そう言って女王様は見ていた紙を近衛兵に一度渡して私に返す。

 私は返された紙を手に持ってぽかーんとしてしまった。


「内容はもう覚えたからいらないわ。あとは貴女が使いなさい」

「はっはい!」

「これで調べたい事は全部かしら?」

「はい。でももしまた別の事で気づいた点があったら伺ってもよろしいですか?」

「構わないわ。でも内容によっては許可できない事もあるのは承知なさい」

「それはもちろんです」


 流石に国宝を貸してくれとかそんな事は無理だしね。


「では私からも一ついいかしら」

「えっえぇ…」

「貴女って腕は立つのかしら?」

「腕ですか…?」


 んー…腕が立つの基準がどの程度のものなのかがわからないから何とも言えないけど…。


「そこそこ立つんじゃないかなとは思いますが…」

「なら明日お城の方に来なさい。模擬戦で判断しますから。よろしいですね?」

「はっはい…」


 さすがに近衛兵に囲まれているこの状況でNoとは言えず、私は止むを得ず了承した。


 私がお城から出た時には、既にルカとの交換時間を過ぎて寄る八時を超えており、ルカが心配してPT情報の座標を元にお城まで迎えに来ていた。

 ルカも私の事で城に入るわけにもいかなかったようで、じっと城門の横で体育座りをして待っていた。

 ルカと一緒に宿に戻った私は、少し不貞腐れたルカをなだめて一日目を超すこととなった。

きっ気分転換作品投稿しててとかで遅くなったとかそんな事ないんですからね!(震え声

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