ネウラの里帰り①
しばらく感動に浸ったため、少し落ち着いてネウラのステータスを見ようと思う。
という事で、【鑑定士】スキルでネウラを見る。
名前:ネウラ【成体】
―ステータス―
【大地魔法Lv1】【植物魔法Lv2】【毒魔法Lv1】【吸収Lv1】【MP上昇Lv1】【INT上昇Lv1】【感知Lv1】【状態異常耐性Lv1】【誘惑Lv1】【光合成Lv1】
特殊スキル
【体形変化】
【吸収】:相手から養分を吸い取り、HPとMPを回復する。
【誘惑】:相手を誘い込む。本能に従う敵に対して効果的。
【光合成】:光と水を取り込んでHPとMPを回復する。
説明を見る限り、ネウラは遠距離魔法型のようだ。
でも一つ気になるのは【誘惑】のスキルだ。
まぁせっかくなので、ネウラに聞いてみることにした。
「ネウラ、【誘惑】スキルってどんなの?」
「えっと、こんな感じだよ」
すると、ネウラの腰を包んでいる花から何かいい香りがしてきた。
近くにいた銀翼のプレイヤーが、その香りに引き寄せられるようにネウラに近づいてきた。
そんなプレイヤーを、花から生えている蔓がそのプレイヤーを捕まえた。
「うわぁぁっ!?」
「ネウラっ!?」
「こんな風に、花の香りに釣られた相手を捕まえたりして、養分吸うの」
そう言うと、ネウラは捕まえたプレイヤーをゆっくりと地面に降ろす。
えぇ…。
何その怖い連携…。
つまり、【誘惑】→蔓で捕まえる→【吸収】→回復、っていうコンボがあるのか…。
しかもネウラから生えている蔓は、たぶん身体の一つだからMPを使わないだろう。
そうだとしても、【光合成】によって自分で回復もできる、と。
回復も攻撃も支援もできるなんて…。
ネウラ! なんて恐ろしい子!
そして更にネウラは恐ろしい事を発言する。
「あと、これで獲物を食べて養分を取り込むこともできるよ」
その瞬間、ネウラから生えている蔓の先端が口を開いた。
口にはギザギザの歯が生えており、完全にどこぞのボスモンスターかと思わせるようだった。
その様子を見た銀翼のメンバーも、顔を歪め後ろに後ずさった。
うん、気持ちはわかる。
あんな可愛い子にあんな怖い武装(?)が備わってるんだもん…。
って、あれ? ということはネウラは口で食事をしないでいいのかな?
「ううん、別にどっちでも食べれるよ。蔓の方は結局は栄養だけを取り込む感じだから、正直食べてる気はしないかも」
「へー。ってことは、蔓の場合は消化器官というよりもろ過装置みたいな感じなの?」
「お母さんの考え通りかな? 味とかはしないからそれであってると思う。味わいたいなら口からかな?」
「でもネウラ、その足だと椅子とかに座れないんじゃない?」
「そこは大丈夫だよ、お母さん」
そう言うと、ネウラの腰を包んでいる花が小さくなり、スカートのようになった。
足は以前のような根っこが捻じれたものではなく、人の足のようになっていた。
足のようにと言っても、肌の色は木の根のような茶色っぽいため、人の足を模しているのだろう。
「これも【体形変化】の影響?」
「そうだよ、お母さん」
【体形変化】も身体の大きさを変えるだけじゃなくて、ネウラのように身体の形を変えるのも含まれるんだね。
「ペットが成長して嬉しいのはわかるが、そろそろ出発してもよいだろうか?」
ネウラと話し込んでいると、気まずそうに団長さんが話しかけてきた。
私とネウラも、迷惑を掛けるわけにはいかないので一旦話を終える。
そして移動ということなので、ネウラは再度腰を花で包む体形に変化した。
他の人も、湖から上がったりして着替えている。
「そういえば、団長さんたちって誰か【植物魔法】って持っているんですか?」
「……」
団長さん、何でそこで顔背けるんですか?
もしかして…。
「私の事、当てにしてました?」
「正直に言うとな…」
「それならそうと、最初に言ってくれれば手伝いましたのに…」
「すまん…」
まぁ【植物魔法】なんてあまり取ろうとする人いないから仕方ないんだろうけど…。
でも別に相談してくれたら話聞くのにね。
「アリス~、団長をあまり叱らないであげて~?」
「リン?」
団長さんをフォローするように、リンが近づいてきた。
「ウィルの事もあったし、団長もアリスに気を使ったのよ~。別にアリスが嫌なら嫌で、このクラー湖でリフレッシュするだけだったしね~」
「って言っても、そこまで忙しかったわけじゃないし、事情を説明してくれればそれぐらいするよ?」
「そこについてはごめんね、アリス。ただ、団長の気持ちも理解してあげてね~?」
「うん」
まぁお互い気を使った故の行き違いって形だよね。
「んで、アリスはエルフの森までついてきて貰えるかしら~?」
「いいよ。ネウラも大きくなったし、里帰り的な事もしといた方がいいもんね」
「うん、ネウラもお母さんと里帰りしてみたいな」
何この子可愛い。
やっぱりうちの子ってとっても可愛い。
「アリス、ネウラが苦しそうにしてるから離してあげた方が…」
「お母さんっ苦しいっ!」
「あっごめん!」
私はいつの間にか抱きしめていたネウラを離して移動の準備をする。
レヴィはいつも通り私の肩に乗り、ネウラは私の横で一緒に歩いている。
しばらく森を進むと、また例の声が聞こえてきた。
『また』
『貴女か』
「うん、入れてもらっていいかな?」
『だが』
『他の者もいる』
やっぱり私以外に対して反応しているようだ。
「この人たちは私の知り合いなんだけど、里に入れてもらっちゃダメかな?」
『しかし』
『資格持っていない』
「なら、私が責任を持つからダメ…かな?」
シルフたちはどうするべきか、相談している。
『どうする?』
『どうする?』
『だが』
『眷族もいる』
『それに』
『善き心を持っている』
『ならば』
『信用できる』
「じゃあ!」
『だが』
『約束は守れ』
「うん、ありがと」
次の瞬間、突風が吹き荒れる。
皆急な突風に目を閉じるが、私は二度目なので目を開けたままでいられた。
そして突風が止むと、以前私が来たエルフの里が目の前に広がっていた。
「これが…エルフの里…」
「本当にあったのね~…」
銀翼の人たちはエルフの里に驚いているようだ。
そしてルカと海花も、唖然としてエルフの里を見ている。
「エルフ、弓の名手、色々教えてもらいたい」
「やっぱりファンタジーと言ったらエルフですよね!」
どうやら二人とも興奮しているようだ。
「では皆さん、アリスさんのおかげでエルフの里に来れることが出来ました。ですので、アリスさんのご迷惑にならないよう気を付けて行動してください」
気が逸る皆を静止するように、エクレールさんが注意事項を説明する。
その後、皆自由行動を取る事となった。
さて、今回は私はどこに行こうかな?




