イベント前には何をする?
翌日ログインすると運営からの通知が一件着ていた。
やはりというか予想通りということだが、イベント開催の告知だった。
開始は次の週の土曜日で、集合場所はいつも通りにエアストであった。
運営から告知が着たということは、それに合わせてアイテム補充に来るお客さんが増えるということだ。
とはいえ、私のお店で今取り扱っている物はポーションとレッドポーションだけだ。
材料としては他の物作ろうと思えば作れるんだけど、今はどれぐらい売れるかわからない物よりも確実に売れる物を作っておきたい。
とりあえず借金がなくなるまでは他の調合で作れる物は保留だね…。
さて、私はイベントまでどうしようかな?
一応私が使用する分を確保できるぐらいのレッドポーションは作ってある。
でもそのせいで最近まったく戦闘系のスキルレベルが上がってない…。
少なくても【火魔法】と【水魔法】を派生にしておきたい。
ということで。
「今日の夜ご飯は熊肉か羊肉か兎肉のどれがいい?」
「ご主人様は俺らが選んだやつをどうするんだ?」
「一狩り…いや十狩りぐらいしてこようかなって」
「そんな軽く行けるもんなのかっていうのが異邦人ってところだよなぁ…」
うーん…。
この世界の住人であるサイにそう言われてしまうと、プレイヤーである私たちがどれだけ違うのかを理解させられる。
でもこれぐらい出来なきゃいざという時に街の人たちを守れないし、力があって困ることはないしね。
まぁでも羊肉の方が良さそうだよね。
ということで行ってきます。
久々にエアストの北の街道に来たけど、あんまり人は見かけないね。
とはいえ時期も時期だし、スキル上げならもう少し強いところの敵の方がいいもんね。
とりあえず子羊が見つかるまで見つかったモンスターを魔法で倒してよう。
【火魔法】を使うと素材が回収できないのは…この際スキルのためだ、仕方ない。
「ハートの女王、タルトつくった♪ 夏の日、一日中かけて♪ ハートのジャック、タルト盗んだ♪ タルトを全部もってった♪ Off with his head(この者の首を刎ねろ)♪ Off with his head(この者の首を刎ねろ)♪」
つい暇で歌ってしまったが、仕方ないよね。モンスターが見つからないんだから。
でもこれ程見つからないものなのだろうか?
うーん…他のプレイヤーが狩りつくしてしまったのだろうかな?
でもそうすると森に入って熊狩りしないといけないしなぁ…。
早く見つかってほしいものだ。
街道から外れて北東へ向かい少し走って一時間後、ようやくモンスターをぽつぽつと見つけることができた。
やっぱり街道から外れるとあまり狩られてはいないようだね。
それに周りに他のプレイヤーも見られないためスキルを好きに使えそうだ。
ということで…ヒャッハー! 久々の狩りじゃー!
私は意気揚々とモンスターの群れに飛び込んで狩りを始めた。
日も暮れ始めたのでそろそろ切り上げようと考え、死体が五体無事でなおかつ損傷が少ない物を回収する。
さすがにヒャッハーしすぎたと少し反省。
辺りは血の池状態となっており、切断された四肢や首がそこら中に散らばってしまった。
というか、久々の狩りということでネウラとその護衛にレヴィも出した結果が更に凄惨な風景を生み出してしまった。
ネウラが【植物魔法】で兎を絞め殺し、レヴィが巨大化して子羊以外を絞め殺したりなどと色々としてしまったのだ。
私とレヴィは久々の狩りでついテンションが上がってしまったこともあるが、まさかネウラまでとは予想していなかった。
ペットは飼い主に似るというやつなのだろうか?
とまぁ、それぐらいはっちゃけた甲斐もあって【火魔法】と【水魔法】のスキルレベルが30Lvになったのでスキルを派生させる。
―INFO―
【紅蓮魔法】【紺碧魔法】スキルを取得したため【霧魔法】スキルが取得可能になりました。
【紅蓮魔法】【大地魔法】スキルを取得したため【溶魔法】スキルが取得可能になりました。
【紺碧魔法】【大地魔法】スキルを取得したため【植物魔法】スキルが取得可能になりました。
おっおぅ…。
一気に取得可能になった…。
とりあえず【霧魔法】と【植物魔法】はいいとして、【溶魔法】って…言葉の意味から考えると溶岩とか溶かす系の魔法だよね…?
まぁ火と土だからたぶん溶岩なんだろうけど…。
また森にとって危ない魔法が取得可能になってしまったけど、どうせSP余ってるし取ってしまおう。
―INFO―
【漆黒魔法】【霧魔法】スキルを取得したため【幻魔法】スキルが取得可能になりました。
……。
どうしてこうなった。
一度に四つも新しい魔法手に入るって何の嫌がらせ?
どうスキルレベルを上げろと?
でも幻って幻覚だよね?
漫画とかだと幻覚を使う人ってイメージが大事って言うけどさ、NWOだとどうなんだろう? 今度試してみよう。
っと、早く帰らないとサイとリアが心配するから急がないと。
私はレヴィとネウラを召喚石に戻して家に向かった。
「ただいまー」
「お帰りなさいご主人様ー!」
「お帰り、ご主人様」
「二人ともお留守番どうだった?」
「えっと! 今日の売り上げはレッドポーション二百十個でした!」
まぁ平日だからそこまで客は多くないよね。
「在庫はどれぐらい?」
「今日と同じぐらいの売れ行きならあと四日程は平気です! でも大体三日に一度に来る形なのでまだ大丈夫です!」
「じゃあ明日も無理しない程度に追加の作製お願いね」
「はいっ!」
「サイの方はどうだった?」
「明日には追加の薬草が収穫できるし、野菜もそろそろ収穫できるのがあるぐらい」
「そっか。いつもありがとね、サイ」
私は二人の頭を撫でてあげる。
リアは撫でられて嬉しそうにするが、サイはやっぱりまだ照れくさそうに頬を赤く染めている。
とまぁ二人もお腹を空かせているだろしさっさと準備をしてしまおう。
イベントが始まる迄の一週間もあっという間に過ぎていき、私は鈍くなっていた感覚を少しでも戻すために結構派手な戦闘をし続けた。
おかげで一日前には勘を取り戻せるようにはなった。
やっぱりある程度は戦闘しないとダメだなぁとは思ったので、今後は注意するつもりだ。
まぁ派手な戦闘と言ってもモンスターだけではない。
私がお願いして銀翼の人たちに模擬戦をお願いしたのだ。
さすがに新しく手に入れたばかりの魔法は悪手に繋がると思ったので、今までのスキルで戦った。
しかし、流石のトップギルドというべきか。
勘を取り戻せていなかった私は初日から二日ほどはボコボコにされていた。
やはり戦闘というものは武術と一緒みたいなもので、やり続けていないとどうしても鈍ってしまうものなのだろう。
でも銀翼の人と模擬戦が出来たのは幸いだった。
おかげで勘だけじゃなくて、戦闘に対する少し緩んでた気持ちも引き締めることができた。
ということで今私はショーゴたちとPTを組んで、イベント会場に転送されるのを待っている。
さて、今回はどんなイベントかな?
時間になったのか前回と同様にアナウンスが鳴り、地面が光り始めた。
そして光りが強くなり、ポータルを使った時のふわっとした感覚が私を襲った。
※皆さんお忘れかもしれませんがアリスの得意なフィールドは森などの障害物ステージです。
次回更新は10/21の08時予定です。




