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風待ち港で、君を待つ  作者: 風間 絆
第1章 高校1年生

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5/23

夏休みが始まった

新しい学校、新しい環境にも慣れ、つつがなく一学期が終わり夏休みに入った。


弓道部は8月のインターハイを最後に3年生は引退、2年生は人数が少ないこともあり、秋からの団体戦では1年生も選ばれることとなった。


「1年生の選抜メンバーは若松大珂と、小松まゆみ、森岡智之の3名。がんばってね!」

「はいっ」

新入生部員の中でも抜きん出て上達した者が選ばれた。

これには他3名も納得。

なんてったって美久に至っては未だに時折とんでもない方向に矢を飛ばす始末。

先日は壁に跳ね返り隣のプールに投げ入れてしまった。


「あれは水泳部がいない時間でよかったよねw」

みていた洋子は大笑い。

上達したいと自主練していた日曜日の朝のことだった。基本勉強の時間を設けるのと身体を休ませるために、弓道部は日曜日公式の練習はない。

その日大珂は家の手伝いがあるからと、珍しく別行動。


練習後、まゆみも呼んで学校近くのかき氷屋で、特製かき氷でクールダウンしつつ女子トークに花が咲く。

「最近どうなん?おふたりさんっ」

いちご練乳ミルクを食べながら、まゆみがスプーンをくるくるまわしながら美久に問い詰める。

「どうって⋯何も変わってないし。っていうかなんでそこまでこっちのこと気にしてくるん?」

「だって、うちはともぴー(智之)狙いやから。美久と大珂がくっついてくれたらとりもってもらえるかなーって」

「まじで!? 知らんかった⋯。ということは洋ちゃんも誰かお目当てが⋯?」

「ないない、単純に私はみてておもしろいからw だってじれったくてもどかしくて、そのへんの少女マンガよりドキドキするから楽しいやんっ」

洋子は結構な漫画好きの、夢見る夢子ちゃんだ。

抹茶あずきをほおばりニヒヒ、と笑う。

「小さい頃からおたがいの家を行き来する家族ぐるみのつきあいやからねぇ、今更恋とか愛とか彼氏彼女になるかとかって、ほんまにどうしたらいいか悩みに悩み中」

レモン練乳ミルクを崩しながらため息をつく。

「私のリサーチではあの男子3人誰も彼女いてないし、恋愛話とかないんやって。あいつら何に青春捧げとるんやろ?そこまで勉強や部活に打ちこんでる感じせえへんもんねぇ」

「まゆみの情報収集力さすがやね」

洋子が目を丸めて感心する。

「いえてる。大珂も含めてみんな遊ぶことに全力注いでる気ぃするわ。夏なら海とか花火とかバーベキューとか」

「そやね、だから3年生の先輩の送別会でのバーベキュー&花火計画、めっちゃ張り切ってるらしいね!」

お盆休み明け、弓道場で行う送別会。

学校には許可をとっており、毎年焼肉と締めの花火が定例の伝統行事らしい。

「でもなんかいいね!学校でそんなことできるなんて。めっちゃ青春してるって感じで」

洋子が人一倍わくわくしている。

自分が少女マンガの登場人物になった気分なんだろうか。



ミーンミーンミーン⋯



蝉の鳴き声が辺りを包む。

今年の夏も暑い。


「でも高校の3年間なんてあっという間なんだから、この夏大事にしないと。2年生になったら進路のこととかも考えないといけないし、高校生活思いっきり満喫できるのなんて1年生の時だけだよ。だから悩んでる時間でつぶしちゃったらもったいないよ?」

「洋子の言う通りよ、今しかないこの瞬間を楽しまなきゃ!せめてこのかき氷が溶けるまでは悩むの禁止ーっ」


サクッ


レモンの氷がいちごに奪われた。

「あっ、練乳ゾーン奪われたっ。じゃあ私ももーらいっ」

「あっ、なんで私のあずきをっ」


きゃあきゃあ


はしゃぎながらかき氷を食べる姿に、店主のおばあちゃんもにこにこ。

「若い子は暑くても元気ね」


夏が始まって、期待と、不安が高まり。

高校最初の夏休み、それぞれの恋は進展するのか?

未来はわからないけれど、ただ冷たさがじきに頭にカキーンとくるのは間違いない。



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