第55話 開戦
~リドール視点~
ここが…………理想郷ユートピアの次のエリアか。
見た感じTHE普通の洞窟って感じだけど……………
向こう側に竜がいるんだよな。
それも風竜。
風竜はその名の通り、風の攻撃、魔法を扱う竜の魔物。
危険度ランクは天災級。
おそらく、あの風竜がトゥアルー迷宮のダンジョンボスだと思う。
だとしたら、あの風竜を討伐すれば、『全治の薬草』が手に入る。
そして、ご主人様を治療して廃人状態から元に戻すことができる!
そのためには、あの風竜を討伐せねばならないが、一旦、話し合いで『全治の薬草』をくれないか聞いてみるか……………
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『あ、あの!』
自分は勇気を振り絞り、《念話》を通じて風竜に話しかけた。
『なんだ?それよりも、そなたらは何者だ?
まさか……………我を討伐しようとしているのか?
そんな無駄なことをしても意味はないぞ。
これまでに我が持っている『全治の薬草』を狙いにきた者たちがいたが、全員あの世へ逝かせた。
この圧倒的な力の格差に、そなたらは絶望することになる。
わかったならさっさと立ち去れ!』
……………いや怖!
さっさと立ち去れ!って言われたんだけど!?
さすが竜……………
威圧感が半端ないな。
……………やはり、話し合いは無理か。
それに、自分たちの目的もわかってそうだし。
諦めるしかなさそうだな。
………………だが、たとえ話し合いが無理になったとしても。
『全治の薬草』だけは手に入れたい。
こうなったら、戦うしかないな。
『ならば、自分たちはお前と戦う!
そして、『全治の薬草』を手に入れる!!』
そう自分は風竜へ宣言した。
すると……………
『そうか、我と戦うのか。
いいだろう。
ただし、先程言った通り、そなたらはこの我との圧倒的な力の格差に、絶望することになる。
それでもいいのか?』
と返って来た。
ああ、いいだろう。
絶望する覚悟はできている。
風竜、お前と自分たちの力の格差はすでに知っている。
だから……………
『絶望してもいい。
だから自分たちはお前と戦う』
『ほう、そなた。
クズだな』
は?
『どういうことだ?
なぜ自分がクズなんだ?』
『そんなの決まっているだろ。
そなたは「自分たち」で戦うと言った。
つまり、そなたは他の者たちを強制的に我々の戦いに巻き込もうとしている。
だからクズだなと思ったのだ』
こいつは勘違いをしている。
リアバさん、ウリエさん、ライムさん。
この人たちは自分に協力してくれているから別にいいんだ。
……………というか、協力してくれているというよりも、自分がこの人たちに協力しているんだがな。
『この人たちは、自分の仲間なんだ。
だから、別にいいんだよ』
『……………ほう。
なるほど、そなたのいっていることは理解はした。
ならば、先程のクズという言葉は取り消そう。
そして、最後にもう一度聞く。
本当に我と戦うのだな?
そなたらは』
そんなの、当たり前だ。
戦うに決まっている。
『ああ、二言はない』
『わかった………………
戦う前に言っておきたい。
そなたの名前は?』
名前…………か。
それぐらい必要だな。
『リドール。
リドールと申す』
そう、自分の名前はリドール。
ご主人様…………改め、リカエル・ブリザース様に作ってもらった人形だ。
『リドールか…………
では、我も名前を言っておこう。
我はトゥアルー迷宮ダンジョンボス。
風竜『ヴェレオン』と申す』
風竜『ヴェレオン』……………か。
名前があるということは、かなり上位の風竜なのか。
……………てか、ダンジョンボスという時点で、かなり上位の風竜ということはわかるのだがな。
『では、始めるとするか。
我とそなたらの戦いを』
今ここに、リドールたちとダンジョンボス、風竜ヴェレオンの戦いが始まるのだ。
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『では、こちら側からいくぞ!』
よりによってヴェレオンから攻撃か!
自分たちの方から攻撃したかったが……………
しかたない!
『リアバさん!
頼みます!!』
「ああ!
了解した!!」
そういい、リアバさんはヴェレオンの方へ走っていった。
一番最初にリアバさんがヴェレオンと戦う。
タイマンだ。
もちろん、リアバさんの方が負ける確率が高い。
だが、これも作戦の内なのだ。
『今です!
ウリエさん!!』
「おーけー!」
作戦、その作戦の名は『DBK作戦(ダンジョンボス攻略作戦)』だ。
かなり安直な作戦名だが、時間があまりなかったのでこの作戦名にするしかなかった。
ってか、作戦名ってどうでもいいと思う。
そして、そのDBK作戦の内容はリアバさんが最初にダンジョンボスに近づく。
つまり、今回のヴェレオンの場合。
リアバさんが最初にヴェレオンに近づくと言う事だ。
次に、リアバさんがダンジョンボスの気を引いている内に、ダンジョンボスの背後までウリエさんが行き、ウリエさんの魔力が備わった拳を一発くらわせる。
つまり、今回のヴェレオンの場合。
ヴェレオンの背後までウリエさんが行き、ウリエさんが魔力の備わった拳を一発くらわせると言う事だ。
これがDBK作戦の内容なのだが……………
正直、成功するか分からない。
このDBK作戦を考えた時は、まだダンジョンボスの正体が風竜ということを知らなかったため、風竜特化の作戦ではない。
だから、成功しないかもしれないのだ。
だが、やるだけの価値はある。
やってみないとわからない。
ちなみに、このDBK作戦に自分は出場しないため、リアバさんとウリエさんを応援しておく。
ライムさんはもしもDBK作戦が上手くいかなかった時の最終秘密兵器とされている。
そのため、自分のように応援はしていないが、リアバさんとウリエさんを見守っている。
『頑張れ!頑張れ!!』
正直、応援をするとめっちゃ疲れる。
これを毎回毎回なにかあるごとにしている人たちはマジで凄い。
尊敬する。
そんなことを思いながらリアバとウリエを応援するリドールだった。
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