第50話 部屋
~リドール視点~
「では、お客様の部屋番号は105室ですので、ご案内しますね」
女性のスタッフがリドールたちを今回の部屋番号である105室にまで案内をした。
辺りを見渡すと、そこにはエレベーター、スカレーターがある。
さすが、理想郷だ。
そしてリドールたちはエレベーターに乗り、105号室へ向かった。
「ここが、105号室でございます」
このホテルは10階建て。
そして、リドールたちの部屋は105室。
105室は6階にある。
6階は部屋が連なっていて、100号室、101号室、102号室、103号室、104号室。
そして105号室となっている。
「では、私はこれで」
そう言い残し、女性スタッフは再びエレベーターに乗り、1階へ戻った。
「じゃあ、入るか」
リアバは105号室のドアノブを動かし、中へ入った。
「おお!」
105号室の中は素晴らしいものだった。
窓を透ける大都市の光景。
キッチンには包丁、まな板など、調理器具が全て整っていた。
そして、リドール、リアバ、ウリエ、ライムがそれぞれ寝れる4つの清潔なベッド。
机の上に置いてある、最高級レベルのディナー。
この素晴らしい部屋に不満を持った者はいない。
そして、このホテル…………というよりも、理想郷ユートピアの全てのホテル、全てのマンション、全ての家は無料なのだ。
これが、さらに素晴らしい点となる。
「さて、早速ディナーを食べるか!」
リドールたちはこれまでの疲れを全て癒した。
最高級のホテルで、最高級の部屋で。
くつろいだり、遊んだり、食事をしたり。
とにかく疲れを癒した。
そして、そんなことをしていると、いつの間にか就寝時間になっていた。
「ふぁあ………じゃあ、みんな。
もう就寝時間だから、ベッドに行こう」
就寝時間となり、リアバが全員にベッドへ行くようにいった。
だが…………
「なんだこれ!?
このモフモフとした触感…………癖になる!」
「ああ、それはマクラっていうらしいよ」
「へー。
あ、いいこと思いついちゃった!」
リアバはベッドに行ったが、マクラというものが気になり、寝るどころじゃなくなってしまった。
そして、なにか妙案を思いついたようだが……………
「このマクラを投げ合ったら面白いんじゃない?」
その妙案とは、リョウマの二ホンで俗にいう「枕投げ」というものだった。
『…………………!
面白そうですね!』
リアバのマクラを使った遊びに興味を持ったリドールは、枕投げをすることに賛成をした。
「じゃあ、やろうかリドール!」
『はい!』
「ウリエとライムはやらないの?」
「ああ、俺たちはもう疲れたんだ。
ゆっくり休ませてくれ」
「そんなウリエとライムにはマクラを投げてあげましょう!」
「…………………!
おまっ、やめろ!」
ウリエとライムは枕投げをするよりも、疲れを癒したく、枕投げには参加はしなかったが、リアバの悪戯でマクラを投げられた。
「くっ、こうなったら俺たちも投げてやるよ!」
そして、復讐として、ウリエは自分のベッドのマクラをリアバに投げた。
「痛っ!
…………ふっふっふっ。
はっはっはっ!
この私を痛めつけたこと、後悔させてやるよウリエ!」
「それはこっちのセリフだ、リアバ!」
「まじか、これは面倒なことになったな。
リドール、たぶんお前と私もこいつらの戦いに巻き込まれるぞ」
『へ?』
ライムの警告の意味はこの時のリドールにはわからなかった。
だが、その後すぐに理解することになる。
「おらおらおら!」
「負けてたまるかよ!!」
リアバとウリエ、両者の枕投げの戦いは2時間もの間、繰り広げられた。
そして、投げられたマクラは、たまにリドールとライムの方へ飛んできて、当たることがあった。
そう、これがライムの言っていた「巻き込まれるぞ」の意味である。
『痛っ!』
「リドール、今のでお前がマクラに当たった回数は30回を超えたぞ」
『どうりで体中めっちゃ痛いわけですか……………』
リアバとウリエの枕投げの戦いは3時間………4時間と長くなっていき、最終的に5時間続いた。
勝敗は同点。
リアバとウリエのどちらも寝落ちしてしまったのだ。
『つ……疲れた』
「リドール、お前マクラに当たった回数余裕で100回は超えていたぞ」
『まじすか!?』
「ま、私はもう寝るから、お前も寝ろよ」
『………………はい』
そして、リドールはベッドで横になり、目を瞑った。
振り返ってみれば、これまでいろんなことがあったなぁー。
霊園教の問題、ご主人様の廃人状態の問題。
オルトロスとの戦い。
そして、トゥアルー迷宮の攻略。
……………自分はあれから強くなったか?
いや、何も強くなっていない。
Lvも1のまま。
HPもMPも何も変わっていない。
スキルも《火耐性》や《火魔法》くらいしか増えていない。
これまでいろんなことがあったけど、自分は全て人任せだった。
だから強くならないんじゃないのか?
自分で戦わないから。
ずっと逃げいているから。
だから強くならないんじゃないのか?
そんなことを考えながら、リドールは眠りに落ちた。
確かに、リドールはあれから強くなっていない。
だが、何も強くなっていないわけではない。
着実に強くなっているものもある。
ヴィリアの死を、ヴィリアニームの死を体感してさらに強くなったものがある。
それは……………
心の成長、人としての成長のことである。
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