第80話:不戦のデバッグと、一括回収
「……カイトさん。敵軍による包囲から三日が経過。……放たれた矢は累計三万本、投石は八百個。……すべて障壁により無効化されています。……敵陣営では食料の枯渇と、長期戦による士気の低下という重大なバグが発生。……現在、彼らから放たれるのは殺意ではなく、逃亡を望む『焦燥』です」
リアの報告通り、障壁の外では五千の軍勢が、何一つ成果を上げられないまま疲弊しきっていた。
カイトはジャージの「常時自動洗浄」機能で清潔さを保ったまま、門の上から敵の陣営を見下ろした。
「……限界だな。……リア。……これ以上の包囲は、私の街の物流を微かに停滞させるノイズだ。……一括でデバッグ(排除)する。……ただし、殺すのではない。……彼らの装備と、彼ら自身の『身体』というリソースを、そのまま我が街へ回収する」
カイトは空間庫から、ガラムと共同開発した「広域捕獲網」を取り出した。
「……事象復元。……蓄積された悪意ポイントを触媒に、この障壁の磁場を反転。……範囲内の金属鎧を身に着けた全対象を、強制的にこの門の前へと引き寄せろ」
【悪意消費:300,000 evil ―― 広域磁気牽引】
ドォォォォォォォン!!
轟音と共に、街を囲んでいた五千の兵士たちが、着ている鎧ごと強烈な磁力で引きずり回された。
「うわあああ!? 身体が勝手に門の方へ吸い寄せられる!」
「鎧が脱げない! 助けてくれ!」
カイトが磁力をリペアし、座標を一点に集中させた結果、五千の兵士たちは団子状になって門の前に「山積み」にされた。
「……バルカ、シルヴィア。……仕分けの準備だ。……まずは彼らの武器と鎧を没収しろ。……その後、彼らにこの障壁を維持するための『人力発電』の役割を与える。……攻めてきた罪の対価だ、たっぷりと働いてもらうぞ」
「……へっ、これまた大量の『資材』が入荷したな。……おい、お前ら! 死ぬよりマシな仕事を用意してやったぞ!」
カイトはジャージのポケットに手を突っ込み、積み上がった「五千の負債」を冷徹に眺めた。
一滴の血も流さず、ただ物理法則を効率的に運用した結果、街は一気に五千人の労働力と膨大な金属資源を獲得した。
「……これで外壁のノイズは一掃された。……リア。……次は、この五千人を組み込んだ『第二居住区』の拡張工事をリペア(再定義)する」
管理者の論理によって、侵略者は再び「街の一部」へと書き換えられた。
(第80話 完)
【現在蓄積リソース:714,682 pt(感謝) / 540,490 evil(悪意)】
【所持金:金貨 200枚】
【状況:周辺三ヵ国軍五千名を無力化し捕縛。資源および労働力として回収完了】
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カイトさんは今、集まってきた「悪意」をどうやって「ポイント」に変えようか、とっても怖い顔で計算しています……。
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