↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
名前がコンプレックスの女の子を好きになってもいいですか?  作者: 宮野ひの


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/47

第27話 真実?

 「矢橋さんと一緒に帰った」と言われて、一つ思いあたることがあった。


 放課後、バスケ部が休みで一人で帰っていた時、後ろから浜崎が追いかけてきたことがあった。「なぁ、なまこー」とか「ぼっち?」とか言って、しつこかった。


 私は怖くなり、走って浜崎を巻いた。家に帰って布団にくるまり、泣いた過去がある。


 もしかして、あれを一緒に帰ったとカウントしているのだろうか……。


 あと、私は浜崎にバレンタインにチョコを渡したことなんてない。


 ……浜崎どころか、男子にチョコを渡した経験すらない。


 もしかして誰かと間違えているのだろうか。まさか、丸本くんに良い格好をしたいから、嘘をついたということだろうか。それだったら、勝手に話をねつ造されていたことに腹が立つ。


 衝撃のあまり私は何も口にできなかった。丸本くんは不安げな顔をしていた。


「もしかして、違ってた?」


「……うん」


 私は間違っている部分を訂正した。丸本くんは黙ったまま聞いてくれる。


「……そっか。俺、何も知らないまま信じていた。本当のことって、本人に聞くまでわからないところあるんだなぁ」


「……そういう私も、昔のことだから思い違いになっている部分もあるかも。……だけど私は浜崎のことを好きじゃないのは本当だから!」


 自分が一番正しいわけではない。


 過去を振り返った時に、知らず知らずのうちに、自分の都合の良い記憶にすり替えていることが、私もあるかもしれない。


「……でもさ、浜崎が矢橋さんのこと好きだったのは本当なんじゃないかな」


 ……浜崎が私を好き?


 ひどいあだ名で呼び続けていたのに?


 ……。


 でも、好きな子に意地悪をする心理があるというのは聞いたことがある。


 もし、私をからかった理由が、好きだからであるなら、矛盾した行動にも説明がつく。


 だけど、私はからかわれて悲しかった。浜崎と吉井の悪意が、いつクラスの女子たちにも伝わるか気が気ではなかった。


 人から好かれることは、きっと嬉しいことだろう。


 だけど、私は浜崎から好かれていたという事実を受け入れたくはなかった。


 今さら『好きだった』と言われても、何も救われない。私が泣いていたことも、苦しんでいたことも、浜崎は知らないまま。ただの"良い思い出"にしたのだろう。


 他の生徒が教室の方に向かって歩いて行く。そろそろ掃除の時間も終わるのだと思った。


「……また何かあったら、いつでも話しかけてよ」


 丸本くんは、キリが良さそうなところで去っていった。


 私も自分の掃除の持ち場に戻ろうとした。廊下を歩く時、頭の中は中学時代のことでいっぱいだった。


 そういえば、社会のノートに「なまこ❤︎」と書かれていたことがある。


 あれは浜崎が書いたものではないか。


 わざわざハートマークが添えられてあったのは、私に好意的な気持ちを伝えるためではないか。……考えすぎかな。


 丸本くんを通じて、新たな事実を知った時、違った見方で過去を振り返ることができた。


 救われた気持ちになった……とは思わないけど、浜崎の行動に"理由めいたもの"が見つかったので、前よりも1ミリだけ呼吸がしやすくなったように思う。


 とぼとぼと階段の踊り場に戻ったら、なんとララが待っていた。


 仁王立ちをしていて、目が合ったら「どこ行っていたの」と、そっぽを向かれて言われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。