S1,そのころのあいつ
「くそ!くそ! なんであいつが…」
今日は面接があった。しかも大手の会社だった。
俺は中学、高校ともに学年一位の天才だった。
だから今日の面接は採用枠が1つしかなかったが、絶対に通ると思ってた。
だが…
『君、もう来なくていいよ。やる気のある彼の方が、優秀でなくとも君よりも何倍もいい。』
一瞬耳を疑った。学歴よりもやる気をとる会社がふつうあるか?
無いだろ......
しかもあいつ今までに一度も内定決まったことがないんだぞ?
そのことをいくら言っても意味がなかった。
ああ、くそ…もうどうでもいい......あいつを殺さないと気が済まない。
彼は気が動転していた。己の考えに何一つ疑問を抱かなった。
あの居眠りをしているトラックの運転手からトラックを奪おう。
それで突撃してやる......
......いた。のこのこスキップなんかしてやがる...
もういい、ひき殺して終わりだ…
アクセルを思いっきり踏み込み、あいつに向かって猛スピードで進んでいく。
…ぐちゃ
轢いた音とともにフロントガラスに血が飛び散る
「殺してやったぞ! これで俺が採用だあははは、あひゃひゃひゃひゃ!」
そのまま、運悪く…世間的に見ればこれ以上の被害者が出てこなくていい点からいえば
運がいいのだが、その先にガソリンスタンドがあり見事に突っ込んでいった。
しかし、当の本人は…
「あひゃひゃひゃひゃ! 殺してやったんだぁ! あひゃひゃひゃひゃひゃぁ!」
そしてそのまま突っ込んで行き…
見事に爆散、こうして彼も死んでいった。
***
彼は真っ暗で蒸し暑い空間にいた。
「あつい…どこだ、何処なんだここは…」
『フン、コレハメズラシイヤツガキタナ。コノイジョウナジンカクノユガミ…オモシロイ』
何処からかノイズのかかった声が聞こえた
「だ、誰だお前は! 人格のゆがみ?何変なことを言ってるんだ。僕がゆがんでる?ふざけるな! 冗談もたいがいにしろ!」
決して冗談ではないのだがそんなの彼には分らない
『ジョウダンデハナイノダガ…マア、オサケノヨイミタイニジブンデハワカラナイノダロウ』
何を言ってるのかわからないが、1つだけ分かったことがある
それは…こいつにどんなに歯向かっても絶対にかなわないということだ
少しだけややこしくなってしまった(笑)