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第4話 緑の侵入者、溶ける日常

「な、なにこれ……!」


それは突如とした出来事であった。謎の緑色の物体が家の中に侵入してきた。透明感のある緑色の体がゆらゆら揺れ、床を伝ってソファへ迫る。これはいわゆるスライムというものだろう。


「ぎゃっ……!」


スライムは美羽のスカートの裾に触れ、ぬるぬると布を溶かし始める。触れた部分は透けて肌がちらりと見え、冷たい感触が背中に走った。思わず美羽は跳ねのけようと後ずさる。


「や、やめ……いやぁっ!」


慌てて手で押さえるが、物理攻撃はまったく効かず、スライムはしつこく絡みつく。


「くっ……どうすれば……!」


美羽は焦りながらも、ふとキッチンに目を向ける。冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロ――家電が揃っている。


「……美羽!!これでなんとか……!」


悠翔はまず冷蔵庫の製氷皿を掴み、スライムめがけて投げる。氷がぶつかり、美羽に張り付いたはずのぬるぬるの体が一瞬固まり、動きが鈍った。


「わっ……効いた……!」


さらにガスコンロの炎でスライムを追い詰める。熱で溶けた布が焦げる匂いとともに、スライムは怒ったように膨らむ。美羽は背中でソファの角に手をつき、体を引きながら悠翔のように冷蔵庫の氷を投げ応戦する。


「いやぁっ……や、やめて……!」


触れた部分の布が完全に溶けて、肌にぴったりと張り付く。美羽は思わず胸元を押さえ、赤面した。ぬるりとした感触が服越しに伝わるたび、心臓の鼓動が早くなる。


悠翔は固まった美羽を横目にコンロの炎と電子レンジの光を組み合わせると、スライムは溶けていき小さな塊に分かれて床に残るだけになった。美羽は息を切らし、額の汗を拭った。


「はぁ…はぁ…」


「美羽、大丈夫か?」


「うん、大丈夫……でも、あのスライム……服にかけてきたの……!」


溶けたスカートを押さえ、頬を赤くした美羽。膝に抱えたリンゴをかじりながら、少しだけ安堵する。


「……あたし、これからどうなっちゃうの……!」


背後の窓からは森の光が不気味に揺れ、異世界での生活の試練が静かに待っていた。

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