第2話 奇妙な世界一不安に揺れる美羽の心
美羽はリビングのテーブルに手をつき、深呼吸をした。
「……う、うう……なんでこんなことに……!」
「落ち着け、美羽。まずは状況を整理するんだ」
悠翔は冷静に窓の外を確認していた。外は、見たこともない森が広がり、木々の間を奇妙な光が走る。
「落ち着くも何も……こんな目に遭って落ち着けるわけないでしょ……!」
美羽は腕を組み、少し拗ねたように悠翔を睨む。
悠翔はキッチンへ向かい、冷蔵庫の扉を開いた。相変わらず冷蔵庫は、電気が止まっているはずなのに、普段通り動いている。
レンジの表示も点灯していた。
悠翔は真面目な顔で頷き、冷蔵庫や棚を開けて食料の残りを確認している。
「……牛乳はまだ冷えてる。卵も……大丈夫そうだ。冷凍食品も生きてるな」
「はあ? なにそのサバイバルチェック。……でも、まあ確かに助かるけど」
美羽も渋々近寄って覗き込む。
冷気が頬にあたり、彼女は小さく肩をすくめた。
「……とにかく、この家が無事ってだけで、ちょっとはマシか」
美羽はほっと息を吐きつつも、ふとポケットの重みを思い出してスマホを取り出す。
「……じゃあ、もしかして……!」
画面は普通に点く。時刻も表示される。
けれど左上には「圏外」の文字が、無情にも浮かんでいた。
「……だめだ。電波は来てない……」
美羽は机に突っ伏す。
悠翔は苦笑して肩をすくめた。
「まあ、目覚ましやメモ帳代わりにはなるだろ。完全に無駄じゃない」
「でも……友達とも話せないし……SNSもできないし……!」
美羽の声は震え、目尻がわずかに潤んでいた。




