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憧れの異世界で:(旧名 異世界来ちゃった)  作者: ソ土ルク、
第2章 エジマリフ魔導学園編
38/141

19.ドペルとスキル

リョウ視点です。

【スキル(槍技)を手に入れました。】


頭に聞こえる無機質な声が聞こえてきて俺は少し安心した。

模擬戦を終えた直後にくるかと思っていたのだが、エルンの話が終わっても一向に聞こえる気配がなかったので、まだ経験が足りないのかと焦っていた所だった。

この戦いで経験が足りないなら俺は剣以外の武器は使えないかもしれなかったからな。


安心してふと周りを見渡すと訓練をしていた金クラスの人達と、俺のハーレムメンバー、更には後から訓練に来たのであろうシンやアジルにカリバーン、デミアンを含む金クラスの残りのメンバーまで全員がさっきの模擬戦を見ていたようで、みんな驚きを隠せないようで、見事に固まっていた。

まあ、実際俺も勝つつもりはあったが厳しいとは思っていたから気持ちはわかるけどな。


そして、俺の視線でようやく我に返ったのか、ハーレムメンバーはエルンを除く全員が俺に近付いてくる。

逃げようと思ったが、さっきの戦闘での疲労が想像以上に残っていたようで、抵抗むなしく囲まれてしまった。

そしてそれぞれが言いたい事を話してくる。


《リョウお疲れ!、凄い戦いだったね!、模擬戦とは思えない緊張感だったよ!》


《あの技凄かったよー!、私にもあれだけ凄いのを使えるようになるかなー?》


《リョウおつかれ、同じくらいに槍を使い始めたのに、リョウの方が上達が早い、悔しい。》


《ああリョウ様!、やはりあなたは私の白馬の王子様だったのですね!、そのまま私を乗せてってください!》


《やはりさすがはリョウ殿といった感じだな、私の想像など全く追いつかない、だが私もリョウ殿に着いていくと決めたのだ、より一層訓練に力を入れなければな。》


《え、槍使うの初めてなのよね?、しかもあんな魔法の使い方も初めて見たし、杖の補助もないのにあんな強さの魔法使えるなんて、リョウってホントに規格外よね。》


『さすがは旦那様です、ああ興奮したら鼻血が。』


(並列思考)で話を一辺に聞くのは出来るが、返答は一人ずつにしかできないからな。

何とかする方法はないか考えておくか。

しかし、2名ほどぶっ壊れた奴らがいるんだが、こちらの対応の方が大変だな。

まあ、2人いれば意見の共有もできるだろうからストレスも減るだろうから1人よりは良いか。

その分周りは苦労するだろうが。


「リナありがとう、ルイだって技のイメージをしっかり持てれば出来ると思う、スートは強くなるスピードは人それぞれなんだから、強くなる最善の道を常に探していけばいい、リンダは何を言ってるかわからない、フランはもう少し余裕を持とうか、今だって訓練は十分過ぎるほどやってるんだから1度周りを見るのも重要だ、サクラも慣れれば似たような事は出来るようになると思う、マドルは頼むから時と場所を考えてくれ。」


さて、そろそろ俺もこの環境から脱しないと要らぬ喧嘩を売られそうだ。

現に何人か羨ましそうな目を向けている。

まあ、彼らも俺の苦労が少しは伝わっているようで負の感情を持っているやつはいないようだったのがせめてもの救いか。


俺はハーレムメンバーに訓練に戻るように言った。

このまま無駄に過ごしてしまえば何のために早く起きたのかわからなくなるからな。

ただ、ルイだけは今日が自由日だからか俺にマンツーマンで教えてもらう気のようだ。

他のハーレムメンバー達は羨ましそうに目を向けているが、あれは明らかに肉食獣の目だ。

明日に早くも不安を感じた俺だった。


《じゃあリョウ!、早速強い技を使うためにどうするか教えてー?》


「わかった、それじゃ1回体感してみるのが1番だな、俺はこれしか生命力を集めないで技を放つから、防いでみてくれ。」


俺は小指の先ほどの生命力を集めた。

それを見たルイはちょっと嫌そうな顔をしていた。


《いくらリョウ相手でもそんだけしかない生命力なら負けないよー?》


「まあやってみればわかるよ。」


《どうなっても知らないからねー!》


そうして少し離れた俺たちは互いに技を発動させる。


「ハンクル!」


《フィニッシュナックル!》


ルイの技は前に戦った時よりも遥かに強くなっていた。

内包するエネルギー量も多いし、イメージの大切さも少しはわかってるみたいだ。

だけど、それだけじゃまだ未完成だ。

俺の技と拮抗するルイの技。

ルイの表情は何故か理解できないといった様子だった。

そしてそういった疑問、焦りは技への不信感に繋がっていき、それは技同士のぶつかり合いでの負けを意味する。


ルイの技を破り、俺の技がルイに直撃する。

直前にイメージを変更して弱い物に変えたからダメージはない。

負けたルイは悔しそうにしていたが、同時に好奇心もあるらしく、俺に聞いてきた。


《何でリョウの技の方が集めた生命力が少ないのに強かったの?》


「技はイメージ全てと前に説明した、そしでこのイメージに技の強さは左右される、それは技の発動後でも変わらない、おそらくルイは技のぶつかり合いの途中に何であんな生命力でこんなに強いの?とか考えただろ?、これは自分の技への疑いだ、それは今まで作っていた私の方が強いというイメージを壊すことになる、その結果が今の勝負だ。」


「エルンやマドル、デミアンのような俺たちが勝つのが難しい相手は存在するんだ、それで相手が格上なのに自分の方が強いと思い続けるのは不可能だ、なら強者との技勝負は勝てないのか?、それは違う。」


「イメージとは心の持ちようって事だ、さっきの戦いでも技の強さに疑問を持つのではなく、自分の可能性を信じてどんな技でも自分の力にする、という強いイメージがあれば根比べに持っていけたはずだ、これは現時点で負けを認めているのは変わりないが技への影響は大きく異なる。」


「初めのルイの持っていたイメージでは、自分の負けを認めたら負けるしか道はない、だが俺の言ったイメージなら現時点で負けていても、そのぶつかり合いの中で更に強くなって勝てばいいという道も生まれる、どっちが勝てるかは言うまでもないだろう。」


「だからこそ、技を強くするには明確な自分のイメージが必要なんだ、自分をよく知り強くなれると信じること、相手を観察し全てを吸収するという意志の強さ、これが技の強さを決める。」


「あとは根比べだ、上手くいけば強者ほど焦りや侮り等の雑念で技が弱くなる可能性が高い、そうすれば勝てることもあるだろうし、さっきの俺とエルンのように優劣つかずに追い込むこともできる、戦いで逆転を生み出す切り札だ、それを頭に入れておけば強い技を撃てるようになるし、強くもなるさ。」


俺の言葉を少しも聞き逃さないように聞いていたルイは、俺の言葉を自分なりに理解しようとしていた。

俺がアドバイス出来るのはこのくらいまでだ。

あとは、ルイが自分なりのイメージと強さを持っていかなければならない。

それは本人にしか出来ないだろう。


そして、俺とルイの戦いをハーレムメンバー達は気にしていたので、今の話はリンクイヤーで全員に伝えておいた。

他のメンバーもこの話を聞いて何か思うことがあったようで、色々と試そうとしているみたいだ。

さて、次は(ルサフル)を使ってスキルを覚えるための訓練をするかと思い、マジックキープリングを少しだけ使い、補充した魔力と回復した生命力を使って自分の分身を作ってみた。


だが、意識があるわけではないいわゆる人形のようなものだ。

ただ、訓練用の人形のようなイメージで作ったので、ある程度自由な動きをしてくれる。

これはドペルドールと名付けた。

俺は弓を構え、ドペルドールへと狙いを定めて撃ち抜くが、弓など使ったことはなかったため、動いていないドペルドールにかすりもしなかった。


表情は変わっていないはずなのに、何となくドペルドールから落胆と嘲笑を感じた。

イラッとする心を何とか鎮め、先ほどの撃ち方を修正し、矢の変化を体感していく。

次もドペルドールには当たらなかったが、さっきよりも精度は良くなっていた。

こうして、何本か試していた所でようやく止まっているドペルドールに当てることができた。


矢は魔力矢だが、威力をかなり弱めているためドペルドールが壊れることはない。

やろうと思えば、魔力を操って必中の状態にすることも出来るのだろうが、地力が必要な場面がどこかであるかもしれないし、魔力を操って当てるのは矢ではなくても訓練できるため、後回しにすることにした。

こうしてしばらくドペルドールと訓練していると、頭に無機質な声が聞こえてきた。


【スキル(弓技)を手に入れました。】


俺はドペルドールことドペルとハイタッチをした。

まあ、俺がそういう風に動かしただけなのだが。

何となく訓練しているうちに愛着がわいてきたので、ドペルと呼ぶことにした。

少ない魔力と生命力で作ったため、それほど強くはないし、しゃべることもできないが、俺はこれからも一緒に訓練しようと思った。

ドペルの見た目も全て変えて、俺の理想の男に改造した。

うん、満足。


次は両手斧(アノスブレイル)を使って訓練する。

(レイワロン)を使っても良いのだが、杖で物理戦闘をするつもりはないし、魔力のない今でなくても良いだろう。

ドペルには俺の(トライゴルク)を渡して、模擬戦を行う。

ただ、技や魔法は使わず、地力を鍛えるためのものであり、身体能力も合わせるため強化の類いも使わない。


こうして、ドペルと俺の戦いを始めた。

知らない内に俺の動きの癖なども掴んでいたようで、実にやりづらい。

しかも、両手斧と槍であるため近づくのも難しいし、槍と両手斧を当ててもその時は勝てるが、結局立て直すのも槍の方が早いのであまり効果はなかった。

こうして色々と試しながら戦っているのだが、俺がアノスブレイルの扱いに慣れてくると、ドペルもトライゴルクの扱いに慣れてきたようで差が縮まらない。


それからしばらく戦っていると、頭に無機質な声が聞こえてきた。


【スキル(斧技)を手に入れました、スキル(剣技)(槍技)(弓技)(斧技)が合わさり、スキル(ウエポニック)を手に入れました。】


何か色々と起きたが、スキル(ウエポニック)を覚えると、武器の扱い方がより理解でき、足運びなどの必要な技術も自然と頭に入ってくる。

そのお陰で先ほどまで苦労していたドペルとの勝負に勝つことができた。

俺はドペルを労い、スキルの確認のためステータスを開いた。


ステータス


天神 凌 (てんじん りょう)


HP4000/16500

MP1000/30000


装備 (エジマリフ魔導学園制服) (靴) (カリバーン) (アノスブレイル) (リフールリング) (ブラッドリング) (マジックキープリング) (リンクイヤー)


スキル (並列思考) (浄化) (登り降り) (拳技) (精神耐性) (異世界言語理解) (意識共有) (魔力創造) (グロウサポート) (ウエポニック)


スキル(ウエポニック):あらゆる武器の扱い方や動き方などが理解でき、技を使うことができる、武器を身体に同化させることで、武器との繋がりを高め自由自在に扱うことができる。


何か見るだけで凄いスキルなのがわかるんだが、武器を身体に同化ってどうやるんだ?

俺は手に持っているアノスブレイルに意識を向ける。

すると、アノスブレイルが俺の身体と同化し跡形も無くなった。

一瞬焦ったが、身体の中に新たな力を持つオーブのようなものが増えた事がわかり、これがアノスブレイルであることもわかるという不思議な感覚だった。

俺はイメージをきちんと持つためこれをオーブと呼ぶことにした。


そのあとも俺はドペルからトライゴルクを受け取り、残った俺の武器であるレイワロン、ルサフル、カリバーン、ブラークも同様に試していく。

すると、カリバーンを除いた全ての武器が身体に同化していき、新たなオーブがその分増えた。

カリバーンは同化しようとすると、別の意識に弾かれたような感覚を受けたため諦めた。


おそらく、カリバーンという意識が今まで入っていたこの剣はカリバーンを主としているのだろう。

だからこそ、忠誠のようなものを別の人物には変えられないのだ。

ただ、何となくだが俺がこの剣に嫌われていないのもわかる。

なら何も問題はないため、カリバーンはそのまま同化させずに持つことにした。


他の武器をどう取り出そうかと思っていると、俺の感覚が伝えてくれた。

何となく武器達が教えてくれたような気もするが、カリバーンのように会話ができたりするわけではないため、気にしないことにした。

そして俺は感じた取り出し方をそのまま実行する。


「我が槍、顕現せよ、トライゴルク!」


そして俺の手にトライゴルクが現れる。

何となく前よりも手に馴染む気がする。

武器の取り出しも出来たので俺はトライゴルクを俺の身体に戻す。

相変わらず不思議な感覚だが心地いい。

この不思議な感覚に満足していると、ドペルが近づいてきた。

そして俺の手を両手で握ってきた。

すると、先ほど武器を同化させたときと同じ感覚が身体を走る。


俺は驚いてドペルを見ると、ほんの少しだけ口元が笑ったように見えた。

だが、それも一瞬で、次の瞬間には俺の身体と同化してオーブになっていた。

俺は何故ドペルがオーブになったかわからず、呼び出そうとしてみたが、さっきの武器達の時と違い、呼び出せない。

呼び掛けが聞こえているのだが、ドペルが応じないといった感覚だ。

ただ、俺が嫌で応じないわけではなく、何か理由がある事もわかり、他の武器達もドペルの自由にさせたいというのが伝わってくる。


どういう原理なのかまったくわからないが、俺に悪影響はないようなので、このままにした。

それに、魔力の流れや生命力も今までよりも扱いやすく、質も高まっているのがわかる。

ドペルが同化する前は感じなかったので、おそらくドペルのおかげなのだろう。

俺は心の中で感謝しながらまたドペルに会える日を楽しみに待つことにした。


だがまあ、嬉しいことなのかわからないが、俺の行動をハーレムメンバー達はよく見ているようで説明を求めていた。

訓練も続けたいらしく、主に目で訴えてきた。

それを感じてか、近くにいたルイが俺に説明を求めてきた。


《リョウって次から次へと私たちの知らない事をやるよねー、凄いよー、それでさっきの現象に説明を求めまーす!》


「俺もよくわかってないんだけど、新しいスキルを覚えて、その効果を試した結果だ。」


俺がよくわからないと言っていることもあり、みんなとりあえずは納得してくれたみたいだ。

そうして訓練を続けている皆を見ながら俺は回復に全力を注いだ。

すると、リナとマドルがリンクイヤーで話しかけてきた。


[リョウ、私はご飯作りに部屋に戻るね!]


[旦那様、リナ奥さまのお手伝いをしてきます!]


[2人ともわざわざ連絡ありがとう!、楽しみに待ってるよ、出来るころにまた連絡してくれ。]


[[了解!]]


2人でハモりながら話して、リナとマドルは体育館をあとにした。

それから皆が訓練を続けていると、リナから連絡がきた。


[みんなー、ご飯出来るから戻ってきてー!]


[わかった!、今から戻る!]


こうして体育館で訓練をしていた俺たちも部屋に戻る。

俺たちの部屋に戻ると、9人分の料理が広いテーブルに並んでいて、朝から贅沢な気分を味わえた。

まあ、俺の隣に誰が来るかで争っていたのだが、俺がよく城などで偉い人の座る1人席に座ったため、無事終結した。

ただ、どれだけ近くに座るかで再び争い始めた。


結果、自由日の人は無条件で近くに、それ以外はジャンケンで勝った順と決めていた。

ただ、人数が多いのでジャンケンに時間がかかる。

せっかくの料理が冷めてしまうのはもったいないと思い、俺はくじ引きとあみだくじを教えた。

これを教えた時のみんなの喜びようは半端ではなかった。

こうして俺たちの色んな取り決めにはジャンケンの他にこの2つが使われるようになった。

朝ご飯を食べ終えると、エルンとの約束もあったため、俺の事を話すことにした。








次回更新は5/16です。


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