20.ルイと授業
リョウ視点です。
「みんな話がある。」
俺の言葉で全員の視線が俺に集まった事を確認してから話を始める。
「今日の模擬戦でエルンが俺についてもっと詳しく知りたいという事だったから、みんなにも聞いてほしいと思ってこの場を借りた、信じられないかもしれないが、俺はみんなとは違う世界の人間だ。」
「何で俺がこの世界に来たのかは、俺もわからない、誰かが召還した可能性も考えたが、俺がこの世界に来たとき、魔方陣も人も何もなかった、だからどうやって来たのかも帰る方法もわからない。」
「俺もみんなにこの話をするかは迷っていた、信じてもらえるかもわからないし、俺がこの世界の人間じゃないと知ったら、色んな問題に巻き込まれると思ったからな。」
「だけど、みんなはこんな俺に着いてくる事を決めてくれた、だからこそ俺もみんなの信頼に応えるために俺の秘密を話すことにした。」
「まあ、この世界の人間じゃないとはいえ、今は魔法や技も使えるしスキルも持っているから、もうほとんどこの世界の人族と変わらないと思う、だからみんなには今までと変わらずに俺と接してほしい。」
「もし、俺が信用出来ないというならそれでも構わない、これを話すと決めてから覚悟もできてるからな、そんな訳で俺からの話は終わりだ、何か質問とかあれば何でも聞いてくれ、まあ知らない事は答えられないけどな。」
俺が話を終えると、リナを除く全員が驚きのあまり固まっていた。
それはそうだろう、こんな話をいきなりされて驚かない方がおかしい。
もっと言えば俺の言葉に疑問を持つこともあるはずだ。
だからこそ驚きしかないこのメンバーは、俺の事をよほど信頼してくれているようで、それが嬉しかった。
『フフフ、マスター、隠すような事実はないとか言っていたが、これは十分凄い事だぞ?、そもそもこの世界に異世界人が来るのはごく稀だ、しかもそれを知るものも少ない、本当に面白いよマスターは。』
エルンが異世界人の存在を知っていたのは驚きだが、天使族で長く生きていればそういった知識があってもおかしくはないな。
《私はそれを知ったうえでリョウに着いて行くって決めたから、その思いに変わりはないよ!》
《リョウが異世界人なのは驚いたけど、だからって私が見てきたリョウなのは変わらないから、話してくれてありがとねー!》
《異世界人でもリョウに助けてもらったのに変わりはない、だからこれからも着いてく。》
《異世界から来た私の王子様!、全くどこまで私のハートを持ってくんですか!、私の想いは変わりませんよー!》
《リョウ殿が何者であっても、私を救ってくれた恩は無くならない、私は変わらず忠誠を誓っている。》
《リョウは何でも規格外だから今更って感じね、あなたを追い抜くと決めたんだから、それがその程度の事で変わることはないわ!》
『旦那様が異世界人であろうと、私は旦那様に仕えたいと思っています。』
『もちろん私もマスターが異世界人でも構わない、むしろ私の知らないものを知っているんだ、より興味が湧くというものだ!』
「みんなありがとな、受け入れてもらえてスゲー嬉しいよ、これからもよろしく頼むな!」
俺の言葉にみんなが笑顔で頷いてくれる。
俺は改めて彼女達との絆を深められた気がした。
そして、何がなんでも彼女達を守っていこうと決めた。
それがたとえどんな相手だったとしても。
《ねえリョウ、私リョウの生きてきた世界がどんなのか知りたいな!、どんなものがあって、どんな風に生活してきたのか、前に少しだけ聞いたけど、せっかくみんな集まってるしもっと知りたい!》
リナの言葉に他のメンバーも賛同している。
どうやって説明しようかと考え、デミアンにリナの映像を見せたのを思い出した。
俺は自分のいた世界の事を思い出し、それを映像に変えてみんなに見せる。
初めて見る景色に驚きと好奇心を抑えられないみたいだ。
次々と場面を変えたり、映画で見た映像を流したり、俺の知識を総動員して彼女達に俺の世界を紹介した。
結構な時間が経ってしまったようで、既に朝日は昇りかなり高い位置まできていた。
俺は時刻を確認する。
日付 4月の18日
曜日 水曜日
季節 フェル節
現在時刻 11:15.36
アラーム 4:00.00
もうすぐお昼前なんだな。
随分と長い間話してたみたいだ。
そのお陰で彼女達はとても満足そうな顔をしていた。
俺はそれを見て幸せな気分になりながらみんなに声をかける。
「さて、結構時間も過ぎた事だし、今日はこのくらいにしようか、それじゃ各自解散!」
俺の掛け声にみんなそれぞれの予定に合わせた準備をしていた。
エルンは早速モンスター狩りに出てくれるようなので、俺のリュックを持たせて見送る。
今のところの資金源はエルンとなるだろう。
俺はどうやって自分でも稼いでいくかも考えようと思いながら、エルンとの荷物をやり取りする基盤を作ることにした。
俺は意識を集中させて、今までよりも質が高まった魔力と生命力を使い、俺のゲートと繋げる箱を用意した。
これで、エルンが取ったモンスターの素材はいつでも出し入れできるし、こちらから物資を送ることもできる。
これを部屋に置いておく。
仮に取られたとしても問題ないように俺の指定した人物しか使えないようにした。
満足していた俺の元に、ルイがやって来た。
今日はルイの日だから何をするのだろうと考えていると、ルイから今日の予定を提案される。
《リョウ、一緒に授業受けよー?、リョウと授業受ければわからないとこを聞けそう!》
「それはいいけど、俺だってまだまだ知らない事がいっぱいあるんだからあまり期待するなよ?」
《わかったー!》
そういって楽しそうに準備を始めるルイ。
ほんとにわかってるのか心配になったが、まあ楽しそうだから気にしないことにした。
準備を終えたルイと俺は授業のある教室に向かう。
「何の授業を受けるんだ?」
《中級魔法の扱い方ってやつなんだけど、先生の説明を聞いてもイマイチ理解できなくて、訓練の時もやってみようと思ったんだけど中々上手くできないんだよー。》
いや待て、俺も中級魔法は勉強していないんだが。
しかも、俺は勝手に俺のイメージで魔法を作って使っているから説明するのが難しいんだよなー。
まあ、とりあえず受けてみるか。
こうして俺とルイは教室に入ると、明らかに見下した目を向けられた。
主に俺に向いているが、ルイにも少しだけ向いていた。
俺はうんざりした気分になったが、1ヶ月の辛抱だと思いながら我慢することにした。
「おいおい、獣人族が何しにきたんだよ。」
「しかも金クラスのやつもいるじゃねーか、全くこれだから身の程しらずは困るんだよなー。」
俺らに聞こえるように騒いでいるやつらがいるが、まあ興味はない。
魔力、生命力も見たが、どちらもお話にならない程低く、相手をする価値すら感じなかった。
俺たちの態度が気に食わなかったようで、こちらへ来ようとするアホ共だったが、丁度先生が来たため、引き下がった。
入ってきた先生だが、高い身長にメガネを掛けてローブを着た若い人族の女の先生だった。
だがまあ、俺の周りには容姿の整ったメンバーが多くいるため何とも思わなかったが、他の生徒達は明らかに鼻の下を伸ばしていた。
俺はそんな人たちに呆れつつ、授業を聞いていた。
{みなさんいいですか?、魔法とはただ詠唱と効果を覚えれば良いものではありません、魔法は魔力を操れれば誰にでも使えますが、使い手によって差が生まれます、何故かわかりますか?}
{それは、魔法がイメージの強さと込める魔力の量で決まるからです、その中でもイメージが1番大切です、イメージの定まらない魔法は魔力をほとんど込められず、イメージはしっかりしてもそのイメージが弱ければ、込められる魔力も減ってしまい弱くなります。}
{例えばほのおと聞いてどんなものを想像しますか?、勢いの強い炎、全てを焼き尽くすような業火、色々とあるでしょうが、この2つをイメージして魔法を放った時、威力も込められる魔力も大きく異なります、同じ詠唱をしているにも関わらずです。}
{これが魔法の差になります、では魔法の階級とは何故存在するのかわかりますか?、元は魔法に区別は無かったのですが、それではどうしても魔法に差が出来すぎてしまったのです、それを憂いた魔法使い達は一部の強者が暴走するのを恐れ、魔法を細かく分類し、イメージを作りやすくしました。}
{その結果、魔法使い同士の差は前ほど開かなくなりました、同時に新たな魔法を生み出す人も減ってきました、魔法は本来自由なものです、だからこそ皆さんは柔軟なイメージを持って魔法に取り組んでください。}
{それでは、理解できたと思うので早速体育館で魔法を使ってみましょう、机に座って詠唱を覚えるだけでは上達しませんからね。}
そういって体育館へと向かう先生。
ためになる話を聞けたし、魔法の詳しい内容も知れたから満足だが、俺は疑問に思った。
俺は(魔力創造)があるから、イメージした自由な魔法を使えるのだと思っていたのだが、そういうわけではないのか?
まあ、上級者向けの授業だなこれは。
というか、どこが中級魔法の授業だよ!?
普通に魔法の真理に近づいてないか?
ルイがわからないのも無理はないな。
ただでさえ、魔法を使えなかったルイなのに、いきなりイメージで魔法が自由に使えますとか言われても、今までの教わった事と違うから理解に苦しむのは当たり前だ。
ただまあ、何か似たような話を朝にした気がするな。
「なあルイ、さっきの先生が言ってたことで何か気付いた事はあるか?」
《うーんと、今日リョウに教わった技と似ているような気がするよー!》
「それで合ってると思う、あとは言われた通り試してみるしかないな、ただ、技は発動してからも変化させられるが、魔法ではそれができないし、相性は技以上の差がないと引っくり返せないから気をつけろよ。」
《わかったー!、やっぱリョウと一緒に来てよかったよー!》
笑顔のルイと一緒に体育館へと向かう俺たち。
俺たちが体育館に着くと、早速魔法の訓練をしている生徒達とそれを見る先生。
だが、予想通りと言うべきか先生の教えがきちんと理解できている人はいなかった。
まあそうだろうな、そんだけ優秀な生徒なら中級魔法を今更受けないだろう。
「ルイ、詠唱は自由にしていい、その代わり使いたい魔法のイメージはしっかり持つこと、それと魔力はイメージ次第で変わるだろうから自分で探していくしかないから頑張れ、そんじゃやろーか!」
《りょーかいだよー!、やーるぞー!》
そうしてルイは詠唱を自己流にアレンジしながら魔力を操っていた。
というか、結構強そうな魔法使おうとしてるな。
属性は火か。
俺はどんな魔法を使うのか楽しみになった。
少し時間はかかっているが、初めてやるオリジナルだし発動できればいいと思いながら見ていた。
そしていよいよ完成に近付くと俺の方に向き直って笑顔を向けていた。
《私の想い、熱情よ伝われー、ファート!》
そうして完成した魔法はかなりの熱量と魔力が込められている。
まあ、俺の事を好きでいてくれるのは嬉しいし、サクラのようにリベンジに燃えてるのはわかるんだが、、、
何やってんだよ!?
これかなり危ないだろ!?
しかも放つ前に笑顔でこっち向いてたから制御できないわけではない。
単純に俺に自分の想いを魔法で作ったんだろう。
気持ちはほんとに嬉しい、ただ、一言言わせて貰いたい。
「もう少し威力を考えろよー!、ハグアクータ!」
俺はすかさず水属性の魔法を作り、ルイのファートをハグアクータで包み込んで相殺する。
まあ、ちょっと強引な気もするがこれは告白みたいなものだからな。
正面からぶっ壊す訳にもいかないし、こうして包み込むように相殺した。
もうルイだって俺の大切な相手だし、守るべき対象でもある。
俺はルイに近づいて優しく抱き締めた。
ルイはとても嬉しそうに、そして幸せそうに抱き締め返してくる。
「全く、やるなら言ってくれよ、気持ちは嬉しいけど焦っただろ。」
《リョウならどんな想いでも受け止めてくれると思ったからねー!、じゃあ改めて、リョウ、私はリョウが好きです、同時に目標です、これからも私を側に置いてください!》
「俺もルイの事は好きだ、だけど俺にとってリナが1番なのは変わらない、だが大切にするつもりだ、それでも良いなら俺に着いて来い。」
《リョウありがとう!、どこまでも着いていくからねー!!》
俺は意気込むルイの頭を撫でながら嬉しそうにしているルイを見て幸せな気持ちになった。
こうして、俺とルイはより関係を深める事ができた。
だが、ここで俺たちは水を差される。
「おいおい、ちょっと魔法が使えるからって調子に乗るんじゃねーぞ!」
「金クラスの分際ででしゃばりやがってよ!」
「うわ、しかもこんな良い女とイチャイチャしてんのかよ、おいそこの女、そんな金クラスなんかにいる奴なんか捨てて俺のとこに来いよ、大切にしてやるからさ!」
そういってグルであろう3人組は、下衆い笑みを浮かべながらルイに触れようとする。
俺はそんなルイを俺の後ろに下がらせて3人組と向かい合う。
そんな俺が気にくわないのか、胸ぐらを掴んできた。
まあ、大した力も掛かっていないし、拘束力などないのだが。
「あ?、てめぇでしゃばんなつったよな?、金クラスの屑は引っ込んでろよ!」
「それともまさか俺たちに勝てるとか思ってんの?、最高だね!、女の前でカッコつけたいだけの馬鹿が身の程わきまえろよ!」
「そんなにやられてーならお望み通りボコボコにしてやるよ!、なーに女はちょっと借りてくだけだから安心しろよ!、まあ返さねーけどな!」
そうして俺の胸ぐらを掴んだ奴が殴りかかってくる。
はぁー、しかしこいつらの動き遅すぎ。
しかも力もないし、何か話す気も失せるな。
とりあえず、殴りかかってきた馬鹿の拳を受け止めて握り潰し、胸ぐらから手が離れたとこで仲間の元に投げ飛ばす。
まあ、本気でやったら流石に死ぬかもしれないから一応手を抜いて投げた。
慌てる2人と痛みで悶える1人。
「手がーー、手がーーー!」
「おい大丈夫か!?、てめぇ俺らが大人しくしてたら卑怯な手使いやがって!」
「もう容赦しねぇからな!、これでくたばりやがれ!」
そうして魔法の詠唱を始める2人組。
おいおい、3人で1人を襲うのは卑怯じゃねーのかよ。
しかもクッソ遅せー詠唱のうえに大した威力もないゴミみてーな魔法使おうとしやがって。
しかも、両方とも火属性とかこいつら馬鹿なんじゃねーの?
さっきのルイの魔法止めたの見てなかったのかよ。
俺はうんざりしながら、魔法の発動まで待ってやった。
「「我は求める、燃えさかる火炎、ラ.ファイア!」」
飛んでくる火属性の球体を見て俺は心底ガッカリした。
この魔法ファイアの威力が出てるかも怪しい。
イメージも弱いし、魔力もほとんど込められていない。
よくこんなんで喧嘩売ってこられるよな。
やっぱ馬鹿の相手はほんとに疲れる。
俺は水属性すら選択しなかった。
圧倒的な敗北感を与える必要があったからな。
「ウインド!」
それは下級の風魔法であり、火と相性は最悪でそれを見た相手も勝利を確信したようで強気にくる。
「馬鹿かてめぇ、火属性に風属性使ってどうすんだよ!、やっぱ金クラスは雑魚ばっかだな!」
「しかも下級とか雑魚過ぎだわ!、せめて中級とか使ってこないと話にもならねーよ!、まあ金クラスじゃ使えるわけねーか!」
そういってゲラゲラ笑う馬鹿共。
こいつらほんとに馬鹿だな。
つーか、都合の悪いことは忘れるのな。
そして俺の魔法と2人組の魔法がぶつかり、、、合う事もなく、俺の魔法にかきけされ霧散するラ.ファイア。
だが、俺の魔法は弱まることはなく2人組へと向かっていく。
自分の魔法が破られ、呆然とする2人に俺の魔法が当たり、衝撃と細かな傷が刻まれていく。
壁にぶつかっても俺の魔法は中々消えず、体育館とはいえ、かなりの傷が刻まれる。
泣き叫んで許しを乞う2人組だが、魔法が止まることはなく2人を傷つけ続ける。
しばらくすると、ようやく魔法が消えて2人組は地面に倒れる。
既に意識はないようで、ピクリとも動かない。
ただ、死んでいる訳ではないし、命に別状はないだろう。
さて、余った1人に近付くと恐怖で身体をガタガタと震わせていた。
「お前らの喧嘩売った相手がどんな相手か理解できたか?、本校舎のやつら全員に伝えとけ、俺は金クラスのリョウ=テンジン、俺のクラスのやつに突っかかるやつは潰す、喧嘩はいつでも買ってやるからかかってこいよ雑魚共ってな。」
そうして殺気を込めた俺に腰を抜かし気絶した余りもの。
あとは、この馬鹿たちが本校舎全土に触れ回ってくれることを祈るとしようか。
そうすりゃ、俺に全ての矛先が来るし、まあ金クラスのみんなが他のクラスと仲良くできる機会は減っちまうが、少なくても今までみたいな視線を向けてくるやつは減るだろう。
1ヶ月後の予選もあるしな。
そうして幸せな気分から一気に落とされた俺だったが、宣戦布告してスッキリしたのでルイと共に体育館をあとにしようとすると、先生に呼び止められた。
{ちょっと待って!}
俺は面倒くさいなと思いつつ先生と話すはめになった。
次回更新は5/17です。
これからも「憧れの異世界で」をよろしくお願いします!!
引き続き、評価、レビュー、感想、ブックマークをお待ちしております!




