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001 太古とギルド
もっとも古くからあるギルドはなにか、彼の娘はそんなことを疑問に思った。
彼はその質問に答えられる知識はあったが、教えることに躊躇いを覚えた。
「まず、最新のギルドは何かな?」
「うーん、なんだろう」
娘が頭を悩ませる顔を見ながら、彼はヒントを出す。
「最古のギルドと最新のギルドは共通点があるんだよ」
「えー? 何かなぁ」
「一応先に言うけど、古くからあるギルドを自由研究のテーマにしちゃダメだよ」
「どうして?」
「それを言ってしまうと答えになっちゃうから、言わないけど、調べるのはまだ早い」
娘は反発していたが、彼はそれを教えるわけにいかなかった。
「ヒント、ヒント」
あまりしつこかったので、嘘にならない程度に答える。
「どちらも親がなってほしくはないギルドだよ」
娘は言われ、一人頷いていた。
「たしかに殺し屋はなっちゃダメだよね、ウン、自由研究のテーマにしないよ、パパ」
一人合点し娘は自分の部屋に帰っていった。
だが、答えが違う。
最新のギルドはネットゲームのギルド、最古のギルドは――
「娼婦、なんだよなぁ」




