7.2話 優しい滝行
下着を手に入れて風呂場の前に立つ。
そしていつも行っているように上から脱いでいく。
上半身裸になると、かなり肌寒く感じた。
全裸になるときには鳥肌が立っていて
早くお湯を浴びたい。
そんな気持ちが高まっていった。
バカンと大きな音を立てて風呂場に入る。
そこはさらに寒さに磨きがかかっていた。
いつもは電気によって照らされ、白いタイルの壁が輝きを放っているのだが、今日はちょっと違う。
太陽の光が曇りガラスを通ったことでやや薄緑の明かりになり、それが風呂場全体を照らしていたのだ。
右にある白い陶器製のバスタブを横目に冷やっとしたタイルを歩いていく。
僕はある程度ノズルから離れて右ハンドルを奥に回す。
待っていたと言うように勢いよく吹き出す光る水滴
彼らはそのまま地面にぶつかって飛び散る。
僕は少し距離を取り、シャワーがお湯になったタイミングで僕は頭から浴びる。
僕がそこに入ると、強張った全身に水滴が襲いかかる。
だが、地面にぶつかっていた音の強さを感じない、まるで羽毛の雨のような優しい温もりは肌を撫でてから排水溝に流れていく
あたまに感じるのはツボ押しマッサージのような感覚。
ほっとため息がつける余裕を持った空の上の空間。
全身を洗い終わる頃には顔が赤くほてり、周りは雲の中にいるかように白くなっていた。
「ここからか…」
僕は左のハンドルを掴み、勇気を持って奥に回す。
その時、シャワーから出る羽毛の間に物体が見えた。
それが肌に当たる事でそれを理解する。
氷のつぶてだ。
先まで天国のような楽園だったのに、そこは氷塊が落ちる危険地帯となった。
それを自分の意思で浴びているのだから、当然脳はやめなさいと言わんばかりに呼吸を早くしようとする。
僕はたまらず10秒ほど浴びると、右のハンドルを回して水を止めた。
水を浴びている時は震えて呼吸を整えるのに必死だったが、水を止めた瞬間ふっと冷たさが消え、全身が内側から温まる感覚がした。
それは外側にあった重い足かせや鎖をつけた自分の古い体を冷水が削って新しい体を作っているような感覚だった。
「何これ、すごぉ」
天国から地獄へ落ちて、這い上がってくる過程を一瞬で体感したような感覚。
「これは癖になるね」
今日は配信があるからやらないけど、毎日やろうかな。
後に朝の冷水シャワーは最高のマッサージ機能(めちゃイタ拷問器具)を持った素晴らしいものだと気づくのだった。




