14話 探検
僕は震えた。
この震えは選抜の内容がこんな血で血を争うことをするなんて思ってもいなかったということも多少含まれているが、一番は僕がグロいのが苦手と言うことだ。
推理小説や医療系のドラマのようなグロシーン
ああいったものを想像して貰えば分かると思う。
かつて友達にオススメされた医療系のドラマは、職場の人間関係が良いよと言われたのだが、そこにたどり着くことなく1話切りしてしまった。
理科室に飾ってあった白いカエル
あれすら見ることの出来ない僕が、もし目の前で人の残酷な遺体を見るだなんて出来るのか
おそらく、いや、1000パーセント無理だろう。
吐きそうになる心を落ち着かせる為に深呼吸をする。
ここでひよっていても仕方ないな
臥薪嘗胆 推しを、春ちゃんを勝ち取るためだ
大太鼓を叩くように脈動している胸を叩き、気合いを入れる。
「マッチメイキング中
マッチしました。 ステージに移動します。」
すると体が泡のようになって、分散し始めた。
もちろん痛みや恐怖感はないので、目を瞑って待つことにした。
「これより、No246 VS No168 の試合を始めます。」
ガイドプログラムの声がしゃべり出した。
「制限時間は30分 先に戦闘不能状態になった者が負けとなります。
道具の使用はすべてあり
本気でヤりあう5秒前
4,3,2,1, スタート」
空砲の合図で学校の昇降口に転送され、動けるようになる。
今、この瞬間知らない誰かと闘うことが確定したわけだ。
やらなきゃ死ぬ
僕は恐怖に震えながらも少しでも気を紛らすために辺りを見回す。
木で出来た下駄箱、正面に見えるのはななみんの書いた連絡黒板
去年の夏に行われた文化祭イベントの跡が所々にある学校。
ワックスのかけられた床を走る。
右側に残り29分と表記があるからギリ仮想空間なんだと理解できるが、走る疲労感や風を受ける感覚が当たり前のようにあるため、現実なのかもと感じる。
ちょっと不思議な感じだ。
図工室
図工室は昇降口から左に曲がるとすぐ見えてきた。
図工室はさっきも言った文化祭イベントのPVで飾りだったりをライバー達がノコギリやトンカチで作っている描写があったので、ある程度内装も理解している。
工具を置いておく棚を物色し、ケース付きのこぎりとトンカチを数本を作業腰袋にしまう。
そのほかの部屋にはペンキだったり、板材が置いてある部屋があった。
また使うかもしれないから覚えておこう。
図工室を出て、廊下を左に行くと職員室があった。
職員室と言っても成人済みライバーのデスクが並んでいる感じで、職員と言えばメリット教授位しかいない。
各デスクにはライバーの好きな物やフィギュアが置いてある。
ちょ、これ限定フィギュアじゃないですか
これ抽選当たらなかったんだよね
うわ、これコラボポテトチップス?
これは、卒業したライバーのグッズ
3年前のホラゲ企画の限定パッケージまで!
あーこれはファンにとっては幸せ過ぎる空間だろ
戦闘中じゃなかったら6時間位観光してぇ…
とりあえずあめ玉を5,6個ポッケに入れてあとにした。
続いて家庭科室に入ったとき、僕は肝を冷やした。
ヒュン
空を切る何かが僕の肌をかすめて向かいの窓ガラスを割った。
「チッ…失敗」
そこにいたのは包丁とフライパンを持った20代前半の小太り男性
ピンクのエプロン姿でこちらを睨んでくる。
「いきなり危なっかしいあいさつだね。」
「うるせぇ、お前みたいなガキに何か言われる筋はねぇわ」
窓の外の包丁に映る僕の顔
残り26分
戦闘が始まる。




