合流
冒険者ギルドに到着すると同時に、エクスが襲い掛かる勢いで話しかけてきた。
「待ってたぞ!」
「うおっ! び、ビックリした。」
「とりあえず此処だとアレだから外に行くぞ!」
「ちょ、ちょっと待て! お、落ち着けって!!」
「うるせー!」
エクスは俺の首根っこを掴むと、有無を言わせずに冒険者ギルドの外へと無理やり連れ出されるのだった。
人気のない場所に到着すると、エクスはようやく手を放してくれた。
「いったい何なんだよ!」
「ケインは、中央にある屋敷って入ったのか?」
「話を聞けよ! まぁ、入ったけどさ。」
「やっぱりそうか……ちなみにどうやって入ったんだ?」
「はぁ~教えても良いが、俺も聞きたいことが有るんだが?」
「もちろん手伝う。他の奴らに先を越されたく無いんだ、まずは教えてくれ!!」
「仕方ないな。」
俺は黒猫が怪我しているのを見つけてからの経緯をエクスに教えるのだった。
「なるほどな。ちなみにその猫がいた場所って何処になるんだ?」
「ここからだと少し歩くが構わないか?」
「もちろんだ。」
「こっちだ。」
俺は黒猫を見つけた場所までケインを案内することにした。
歩きながら気になったことが有ったのでエクスに聞いてみることにした。
「さっき先を越されたくないって言ってたがどういうことだ? 黒猫は俺が助けたからもう居ないぞ?」
「まぁ普通ならそうなんだろうが、この世界はゲームだ。何度も同じクエストが発生することは有りえるからな。」
「ふ~ん?」
今一つ良く分からないのだが、エクスがそう言うんだし、そう言うものなのだろう。
そして目的の場所までやってきた。
「此処にうずくまってたんだが、やっぱり居ないよな。」
「おかしいなぁ……特殊クエストだからか? それとも何か条件が有るとか?」
エクスが何かブツブツと言っているが、とりあえず案内は済んだってことで良いんだよな?
「なあ、案内したんだから俺のクエスト手伝って貰えるか?」
「ん? あ、あぁ、そうだな。今のところ発生条件が分からないからな。構わないぞ。
それで何が聞きたいんだ?」
「……まぁ良いか。黒猫が怪我をした原因を調べなきゃいけないんだが、血痕の先の屋敷が怪しいと思ってるんだが、どうすれば良いのか分からなくてな。」
「ふむ……まずはその屋敷に案内出来るか?」
「おう、こっちだ。」
俺はエクスを例の屋敷まで案内することにした。
「ほら、此処から先に血痕が続いているだろ? だからこの先が怪しいと睨んでるんだ。」
「なるほど、この屋敷か。確か此処ってホーンラビットを生け捕りにするクエストで来たことが有ったな。」
「そんなクエストが有るのか。ならそれを受ければ中に入れるのかな?」
「多分な。そーいや、そのクエストも特殊クエストだったな。」
「それで、そのクエストはどうやって受けるんだ?」
「確か……すまん、忘れたわ。」
ガクッ……
俺は思わず崩れ落ちた。
「エクス、お前なぁ~」
「まぁ待て、ましろに聞くからちょっと少し待ってくれや。」
「お、おう。」
そう言ってエクスが動かなくなったので、メッセを送っているのだろう。大人しく待つことにした。
何度かメッセのやり取りをして完結したらしく、ようやく動きを見せた。
「分かったぞ。」
「それで、どうするんだ?」
「ホーンラビットを1000匹倒すと依頼されるんだよ。」
「依頼って指名依頼か。凄いな。」
「いや、この屋敷の執事に草原で声を掛けられるんだ。そこで受けると次に倒したホーンラビットが生け捕り判定になるから、この屋敷に持ってくると依頼完了になるって訳だ。」
「なるほど。」
「ただな、1000匹毎に毎回依頼してくるから面倒でな。たいていの人は断るんだ。」
「何でだ? 報酬も貰えるんだし受ければ良いじゃん。」
「報酬が銅貨1枚しか貰えないんだぞ? 検証として何度も受けた奴が居たらしいが、全て同じ結果だったらしい。普通に狩ってる方が儲かるし、そりゃ誰も受けなくなるわな。
だが、このケインが受けている依頼と連動していると考えると、成程なって納得したよ。」
「そうか。じゃあ俺もそのクエストを受けるためにもホーンラビットを狩りに行くとするかな。」
「おう、頑張れや。」
「手伝てくれないのか?」
「手伝うも何も、そのクエストはあくまで個人で1000匹倒す必要があるからな。俺がホーンラビットを狩っても意味は無いぞ?」
「そうなのか。」
「だからそのクエストを受けてどうなったのかを後で教えてくれや。」
「わかった。」
薄情な奴って思ったが、そういう理由なら仕方が無いな。それにホーンラビットを狩らなくちゃいけないって条件を教えてくれたんだし、感謝はしておこう。
「じゃあ、行ってくるわ。」
「おう、またな。」
エクスと別れた俺は、街を出て草原へと繰り出すのだった。




