第二十七章 夏休みの終わりに(3)
「ホラ、宿題終わらないよ」
珍しく夏美が二人に言うが、その夏美も大きく伸びをしながら大口を開けてアクビをしている。どう見ても、夏美に甘い経験なんてことがあるはずがないと京香が確信し、瑛子が「やっぱり、夏美だね」と上から目線だ。
こんなことを繰り返していたのでは、どう頑張っても宿題は終わらないだろう。
「ねぇ!」
何を思ったか瑛子が叫んだ。京香と夏美がビックリしたと言うように、瑛子を見る。パリジャンヌだけが、又バカな事を考えたのかと言わんばかりにアクビをして見せた。
「何よ! ビックリするじゃない!」
「今夜ってお祭りじゃなかった?」
すると京香が思い出したように言った。
「盆踊りなら終わったよ」
「そうじゃないよ! 花火大会だよ」
「あぁ、知ってる。毎年盛大だよね」
と言って京香と夏美が笑顔を向けた。
「夜店も出るよね」
「あぁ、確かに!」
そういうと、三人の妄想が繰り広げられた。
「夜店でしょぅ。浴衣でしょぅ。イケメンでしょぅ」
これは、言わずと知れた瑛子の妄想だ。
「夜店かぁ、彼氏とデートでしょぉ。花火でしょぉ。ラブラブだよねぇ」
と言ったのは、京香だ。
「うん、夜店とくれば、たこ焼きにお好み焼きに綿飴。射的も捨てがたい!」
と言うのは、相変わらず食い気一筋の夏美だ。
三人はニヤニヤと笑った。
「今夜は彼氏と花火大会に行こうよ!」
身を乗り出して瑛子が叫んだ。
「瑛子、あんたの彼氏ってどの人?」
「荒木さん?」
冷やかすように夏美が囁いた。
「違うよぉ。荒木さんは過去の人よ。大体、獄中の人とデートするほど、物好きじゃないよ」
早くも過去の人になってしまった荒木。
「過去の人といえるほどの関係だったか?」
京香が茶々を入れてくるが、動じない瑛子だ。
「あー! 分かったよ。警察のイケメン君!」
夏美が思い出したというように叫んだ。
「ブッブー。それも違うなぁ」
「じゃぁ、誰よ」
「やっぱり、長く付き合ってる方が、気心が知れてるってもんじゃない」
と胸を張る瑛子に、京香と夏美が目を合わせて噴き出した。どうやら、彼氏の言っていた通り、瑛子は【恋の旅行】をしていただけで、結局は元の場所へ戻ったということなのだろう。
三人は、今夜の花火大会に着ていく、浴衣の話で盛り上がった。結局、今年の夏休みも、宿題だけが置いてきぼりということだろうか。
高校二年の夏休みが、もう直ぐ終わろうとしていた。
end
最後までお付き合いくださり、ありがとうございました。
いかがでしたか?
作者的には、この三人が面白くて、結構好きな作品なのですが(●´ω`●)ゞエヘヘ




