はじまり
大学でのほのぼのした日常と、それに紛れる不思議、そしてそんな中を生きていく登場人物たちを魅力的に描いていければいいなと思います。
遅筆な上、文章表現力が乏しいため、自己成長も兼ねて連載していきたいと思っています。
感想など頂ければ大変喜びますので、思うところがあった方はお願いします。
では、よろしければお付き合いください。
初めて彼女を見たとき、人々が言う天国とは、まさにこの世界なのではないかと思った。
俺たちは知らず知らずのうちに死んでいて、死後の世界が今人々が暮している、天国だったと。
俺は天国なんてものを信じたこともないし、それがどんなものなのかを深く考えたこともなかったが、そのときの俺は、そんなどこぞの三流小説のような、くだらないことを思いついてしてしまったのだった。
けれど仕方がないだろう。自分の周りをチョロチョロ飛び回って、身長は四センチくらいで、背中に蝶の羽を生やしている人型生物なんて、誰もが天使と勘違いしそうなものじゃないか。
「人間は、自分たちが見ているものは真実だと思い込んでる。滑稽ですね」その女、フィーネはそう言った。
「人間は視覚に頼りすぎてる。存在するものは全て目で見えると思ってる。見えなければ、それは無いもの。どんな生物よりも短絡的な生き物です」
こんなことを言われて、素直に「確かにそうですね」なんて納得する人が、世界にどれほどいるだろうか。俺に知る術はないが、常識を持っている人なら、まず納得などしないだろう。いや、普通の人間ならそんなことを言う目の前の不思議な生物など、気味が悪くて、ソレが発する言葉なんか頭に入らないかもしれない。そんな妖精みたいな生き物なんて、漫画にしか出てこないのだし。冷静でいられるほうがどうかしている。
しかしそのときの俺は、どういうわけか彼女の言葉に納得してしまった。
不思議に思う心の中で、それまで培ってきた常識を、彼女の言葉が凌駕してしまった。
今思えば、それが運命だったのかもしれない。
あのとき、彼女の言葉なんかに耳を傾けなかったら。今でもそう考えることはある。
しかしそんなことを考えるのは意味のないことだ。過ぎた時間は戻ってこないし、全ての結果が今なのだから。
まあ、そんなこんなで、俺の大学生活は始まりを向かえようとしていた。




