ぶぶ漬け出したいが会うのは遠慮したいし、自分が食べたい
海賊じゃなさそう(一応)アンド、(多分)本格的上陸を諦めそう、な様子に安心したら、お腹がへってきた。
とりあえず水を飲む。
今はコレしかないから。
寝床におやつ置いておくと、図書館もあいまって起き上がらなくなるからね。
イカさん先生には悪いけれども自分だけで水を一口飲む。
おもてなしにお水出すのって、なんか帰れって言ってるみたいだしね。
水っておもてなしか?
ていうか、海水汲む必要もないだろうからね。
真水、水道水を飲んでも困るだろうしね。
駄目なんだよね?
海水魚とか、飼ったことないからわかんないの。
まあそういうわけで、自分だけで失礼。
ふぅ。落ち着いた。
で。
画面確認。
森を恐れて波打ち際の方に、みんなギリギリまで寄っている。
船から着々と降りる準備をしていた人たちは、一旦ストップしているみたいだ。
あれ、そういえば。
白服どこにいる?
白いの何人かいると、今度は逆にわからない。
今まではわりと目立ってた。
あれー?と思った時に、私がそう考えたせいか、先生が気付いた。
すると、ずずっと画面が白服個人に寄った。
なんか腰まで海水に浸かりながら立ってる。
え?何してんの、こいつ。
水を切ってるのか何なのか知らないけど、手をぶらぶら前に出して揺らしている。
何してんの?
それ、「お昼の体操の時間です」とかで「ブラブラ手首の運動~」とかやるやつだよ。
それか子供が「おばけだぞ~」って言ってやるやつだよ。
何してんのお前。
そりゃあ犬みたいに、全身震わせて水きることもできないだろうけど。
そもそも、もう浸かりきってるけどね、と思ったら、りゅるるる、と突然巻き戻った。
どうも、何人かと小舟に乗って陸に近寄ったのに、ある程度進んだところで突然パーンと白服だけ飛んで海に落ちていた。
1人だけ宙を飛んだ。
っていうか、狙撃かなんかされたみたいな感じの落ち方だった。
周囲も、えっ?て顔している。
まあ揺れて、それどころじゃなかったんだろうけど。
いや、私なら船が揺れたら、もっと騒ぐな。
落ち着いてんな、あの人たち。
1人飛んで落ちた白服は、頭というか上半身から突っ込んだが、なんとか体制を立て直した。
と、いうよりあまりパニックにならず、あっさり立った。
海の中で、立って驚いた顔をしている。
イカさん先生が言った。
壁は魔力持ちを弾いてるみたいだね。
そうなんだ?
攻撃されたら弾く、じゃないんだ。
魔力持ち以外は脅威にならないって意味なのかな?どうなんだろうか。
貝王様やイカさん先生にはそうかもしれないが、私には別なんだけどな。
どういう意味だ?
それとも私も、そこまで複雑じゃない魔力の使い方で、敵を退けられるのかしら。
どこからが敵なのかが難しいんだよな、人間は。
海の中なら、食うか食われるかだが、人間は人間を食べ……まあ食べたりもするけれども。
甦る引きこもった理由、その1。
忘れよう。うん。
ん?
「壁の中だから安全、って話でしたよね?壁の種類はそんなにあるんですか?」
まさか、どんな壁がかけられてるかわからなくて、そんなこと言わないよね?
二重に張ってるから安全、みたいな。
ここにいれば大丈夫、みたいな言い方だったもんね?
するとイカさん先生は、横目で私のことを見ていたが、反対側にクリッと目線が動いた。
あれ?イカさん先生、そっちは海ですよ?
何もいませんよ。
忌見子さんも、今確認に見たけど浮いてませんよ。
どうしたの?
何で目をそらすの?
まさか、どんな壁が張られてるかもわかんなかった、ってことないですよね?
壁ってまさか「これうちの島です」っていう、表札かマーキングみたいなものなだけ?もしかして。
うちです、避けて通ってね、みたいな?
それ、魔力持ち以外に意味ないよね?
私なんて意味も知らなかったんだし。
普通に人類、上陸しちゃってるし。
何かあれば、の何かって、こんな簡単に呼び出してオッケー的なことなの?まだホンの数日よ?
私が疑問でいっぱいになってると、イカさん先生も、頭を傾げていた。
あれれ~?と疑問の渦に巻き込まれていると、先ほど巻き戻した映像は、早送りになって現在に追いついたみたいだった。自動?
少し早めだったものが、時間がゆっくりになる。
そうすると、白服にアップで寄っているせいで、中途半端な位置で落ちた白服が上陸しようと、ズンズン砂浜に近寄る姿がスローになる。
時間の流れ方が変わるのと寄ったので、迫力が出て、まるでゴジラのようだった。
なんかこう、波から徐々に現れていく全身、みたいな。
上陸すんのかよ。
みんな怖がって船に戻りたそうにしてるだろう?空気読め?
と思うが全然怖がってる様子がなく、どんどん進んでいく。
……あいつ、足頑丈だな。
海の中は歩きづらいだろうに。
マントみたいなものも、羽織ってるままなのに。
あの服は絶対、ベッタベタに体にひっついてるはずだ。
スゲエな。
あの足が私にあったら、島内をもう何週もグルグル散策しているだろうに。
まぁ行こうとすらしなかったから、ズボラかどうかの問題なんだけどね。
本当はわかっちゃあいる。
しかし陸にいる人間たちは、そんな白服を見つめているだけで誰も準備を再開しようとはしない。
むしろテントはそのままだけれど、持ち込んでなんやかんやしようとしていた荷物を波打ち際に寄せ始めている。
というかもう寄せて立っている。
できるだけ森に近寄りたくない、と言わんばかりに。
主さんの方は、船の中にとどまって状況を確認しているようだ。
あまり諦める様子がない。
あの人、表情に出ないけど。
まさかと思うけど、あんなに金がある(多分)人が、上陸しなきゃ水も食料もありません、なんて状態で来ないだろうけれども。
ないと思うけど、一度上陸した人たちがすぐに戻ろうとできないのは、しないのかはわからないけれども、伝染病とかを疑ってるんだろうか?
そんな即効性のある病気ってないだろうけどね。
でもあの蚊は、アップして初めて見えるくらいだからね。
いや昔の人の方が目がいいって言うけど、どうなんだろう?
実はもう見えてんのかな?
感覚が鋭敏な人は、蚊とかに触られる、とか腕にとまられると気づく、って人もいるみたいだけどね。




