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世界に無駄な生き物なんていない

 

 なんだなんだと思ってるうちに、暴れている人にどんどん画像が寄っていて、ピントがあった。

 とうとう画像の中から人がいなくなってしまって、え?と思った。


 本当にそんなに小さい虫なのかな?

 しかし見えないが。


 イカさん先生も、目を凝らさなきゃいけなくなっただけ体が近寄ってきたように見える。


 よく見えないけど、そのうち像を結んできたものに、一瞬あっと思った。

 半透明の蚊が見える。

 画像がアップになっているにもかかわらず、こんなに見えないということは、向こうの人の目には見えていないのかもしれない。


 半透明なんだが。

 私が知っている、蚊の形をしているんだけれども黒くない。

 白いっていうのともなんだか違うんだけれども。

 姿を隠す能力でもあるのかしら。

 もしかしたら向こうの世界からこっちの世界に来て、魔力を取り込んで進化しちゃったのか?


 見えなくて刺されるって嫌だね。

 だいたい今までも、気づかないうちに刺されてたんだけどさ。




 白というのではないが、薄い灰色。

 しかも半透明。

 曇り空に透かしても見えなさそうだが、晴れの青空でも見えないだろう。

 森とか絶対無理。

 見えない。


 撮影用みたいな真っ白の背景なら少し違うかもしれないが。



 今までだってやられっぱなしだったのよ?

 これからはもうほんと、フルボッコにされるってわけね。


 私も刺されたけど大丈夫だったのかな。

 水で流しただけだったね。

 あれきっと、蚊取り線香焚いてなかったらあんな狂ったみたいになったんだ。

 ていうか蚊取り線香、効くのこれ?



 こっちの世界に蚊って結局いないのかしら。

 それとも砂漠の人間が知らないだけ?


 カコドの町周辺が砂漠かどうかは知らないけれど。

 まあ、砂漠っぽいっていう感じかな。

 水が沸いたらいるよね。蚊って。

 水が貴重だと違うのかな。


 水溜まりさえあればいい、っていうけど。



 ふと気がつくと、イカさん先生がムンクの叫びになっていた。


 え、どうしたの?


 すると、


 ひゃ~何あれー!怖いんだけど!血吸ってるんだけどー!


 と。


 ちょっと青白くなっている先生。

 落ち着いてください。


 かつてないほど、両の白い足が顔にひっついて、顔が細々(ほそっほそ)になっている。


「海には寄生生物っていないんですか?」


 向こうの海は普通にいたよね。

 だってスーパーで買った刺身に、寄生虫とかついてたりしたじゃない。

 それともこっちには寄生虫ごといないのかしら。

 私はいない方がいいけどね

 完全にいなくていいんだけどね。

 怖い。


 蚊が寄生虫なのかは知らんけど。




 へばりつく生き物もいるけど、それを食べる生き物もいるから。

 自分から襲う生き物が(少なくとも海では)姿を隠せるなんて、あまりない。




 魔力持ちで、こういう魔法が得意なのも、襲われる、補食される側らしい。


 ほうほう。

 へばりつく、が寄生生物かがよくわからんが、嫌な生き物らしい。

 この半透明蚊。


 ん~?

 ちょっと待って?

 この間、私刺されましたけど、あの人たちみたいに、ほうぼうから血流してなかったよね?

 さされまくったけど、血が垂れるほどだったのは、一、二ヵ所だった。



 蚊取り線香が効いたっていうこと?


 ……蚊取り線香を炊きながらだと、確かにさされなかったけど。

 その時は、手と顔ぐらいしか露出してなかったから、比べられない。



 じゃあさ、あのさ、まあ露出度の違いがあるかもしれないけど、あの人とかなんか腕丸出しだし。

 そういうのもあって、さされた違いがあんのかもしれないけどさ。

 ……私がこの島の蚊を養うより、あいつらが入ってきたせいで、あの強力半透明蚊が滅びることなく増えていくって可能性が高い、ってことだよね?


 ……私ここに住んでるんだけど?

 これからずーっと、ここに住むんだけど。




 何してくれてんの、あいつら!


 ほんっと余計な真似しやがって!


 蚊なんて永遠に滅びないんだよ!

 どうしちゃったって滅びないんだよ、どうしてくれんの本当に。


 しかも先生の言い方ってことは、あいつらもしかして魔力持ち?


 先生にハッとして聞いてみると、

 小さいから魔力持ちというほどではないけれども、やっぱりこの島の爆誕エネルギーを吸収しているから、マナや魔力に対しての耐性というか、そういうのは強いみたい。



 ……もし蚊を避ける魔法があっても、無意味っぽいな。

 悲しい。


 生き物としてはすごくちっちゃいけどやっぱり魔力持ちっていうことだね。

 有るか無しかでいうと魔力はあるんだけど、開放期まではいかないにしてもある程度までの力がないと魔力が使えないから、魔力持ち、と呼んだりしないそう。

 有っても少なすぎて使えない、はだいたいスルーで、自分で操れれば魔力持ちと呼ぶ、って感じかな?


 ……それ、生き残りやすい、とか統計取りづらそうだな。

 なんとなくの感覚なんだろうけど。


 魔力持ちでも0.0何レベル、みたいな、そういう感じなのかな。

 なるほどね。



 とりあえず、向こうで撤退準備を始めたように見えるからオッケー!


 グッジョブ蚊。



 あれ?

 パワーアップして魔力持ちになってるって言うことはもしかして……。

 あんな、ちっちゃい蚊だけじゃなく、鳥の声とか他の虫の声とかも聞こえるけど、その辺も全部魔力持ちなの?


 イカさん先生に聞いてみる。

 海の生き物じゃないから、そんなこと聞いてもわからないかもしれないけど。


 すると細かいのがいっぱいすぎてわからない。

 この島にはまだ、魔力が溢れてるから。


 ということだった。


 大きな魔力の生き物はいないみたいだけど、多分。

 と。


 私、鳥に襲われても負けそう。

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