建国神話
昔々、世界は五人の神々によって治められていました。
神々は仲の良い兄弟でした。
一の君は太陽神。
二の君は月の神。
三の君は闇の神。
四の君は風と火の神。
五の君は大地と水の神。
原初、大帝の手によって太陽と月が創られました。
昼を太陽が、夜を月が照らし、光ある傍らで闇が生まれました。
生きとし生ける者に深い安らぎを与えた闇の懐で、風と火が芽吹きました。
そして、地上を三日三晩焼きつくした業火によって、清涼な水に恵まれた新しい大地が生を受けたのです。
太陽と月は、闇の奥ゆかしさと優しさを慈しみ、ことさら闇を愛しました。
風と火も、大地と水も、その温かな安らぎゆえ、誰よりも闇を愛しました。
やがて神々の三の君に対する愛は狂おしいほどに深くなり、彼らは三の君を誰の目にも触れぬよう隠すことに決めたのです。
そうして闇の神は、人々の記憶から抹消されてしまいました。
彼女は嘆きました。
兄弟たちの狂気に怯え。
彼女は哀しみました。
兄弟たちの愛を憐れみ。
閉じ込められ、存在を消されても、彼らの想いを突き放すことができず、優しい彼女はただ静かに涙を流しました。
やがて幾星霜もの時が過ぎ、彼女は次第に衰弱し、最期には眠るように息を引き取りました。彼女が息絶えたと同時に、彼女の身体は跡形もなく消えてしまいました。
死ぬはずのなかった神の存在が失われ、残った神々は驚愕しました。
最愛の三の君を失って初めて、自分たちの行いの非道さを悔いました。
けれど、すべては遅すぎたのです。
それ以降、世界に闇の神が降り立つことはありませんでした。
この世界のどこにも、愛しい者の姿を見つけることはできませんでした。
嘆き悲しみ、心を入れ替えた神々に、世界のすべての理を統べる大帝は寛大なご慈悲を与えます。兄弟殺しとして神の地位を剥奪され幽閉される運命だった神々を、地上にお遣わしになったのです。
神々はそれぞれ、人間となって王国を築きました。
一の君エリュ―シオンは太陽の国エリュ―シャを。
二の君セスティリアスは月の国セティリアを。
四の君ヒルシウスは火の国ヒルシアを。
五の君ユークレシオンは水の国ユーレシオを。
それが今に繋がる四大国建国の物語なのです。




