釣りしようぜ2
「マサさん。今、大丈夫ですか?」
『誰だ? お前?』
俺は、マサさんに連絡を取った。マサさんは俺の初めてのフレンドだ。
屋台を出すことを目指している、料理人である。
しかし、チャットをしてみた所、怪訝そうな声で返事が返って来た。
当然だ。1度会っただけで、俺は1回も連絡を取っていない。
チャットに出てくる名前だけでは、思い出して貰えないだろう。
「ケバブを貰った、ジンクです。覚えてますか?」
『ケバブ?・・・ああ! あの時の兄ちゃんか! どうした?』
「友達と釣りに来たんですけど、料理人がいなくて。お代は支払いますので、料理してもらうことできますか?」
「釣りか。良いな! 今度俺も誘えよ! それならタダでいいぞ。」
やった!料理してくれるみたいだ。
次回誘ってもいいか、ユージに確認をとる――頷いている。交渉成立だ。
「分かりました。次はお誘いしますね。どこに行けばいいですか?」
「フロンティアの西の平原で落ち合おう。薪と火を用意してもらってもいいか?」
西の平原は、前に兄さん達とBBQをした場所だ。
テルに薪を持っているか確認をとる――大丈夫だ。
火は、俺の魔法がある。
「分かりました。今から向かいますね。」
――西の平原に着くと、赤いパンダナに、緑色の前掛けをしたオッサンがいた。
マサさんである。ラーメン屋の店主みたいだ。
「お久しぶりです。マサさん。今日はよろしくお願いします。」
「おう。そっちのが友人か?」
俺はユージ達をマサさんに紹介し、挨拶を済ませた。
「釣った魚を見せてくれ。」
俺達は釣った魚をすべてマサさんに渡した。
「ブラックバスに、トラウト、おっ鮎もあるじゃないか!これ、焼くと美味いんだよな。ただの、塩焼きでいいか。フナは、まだ俺では料理できないな。すまんが、諦めてくれ。」
フナはだめだったか。しかし、焼ける魚は10匹以上もある。十分だ。
「よし! じゃぁ、焼くとするか! 薪を出して、火を付けてくれ。」
テルが指定された場所にドサドサッと薪を出す。
三角錐の形にしてから、俺がファイアーボールを唱える――うまく火が付いた!
「俺は料理の下ごしらえをするから、火を見ててくれ。」
マサさんは、木の台を取り出し、魚に塩を振って串を刺していく。
あれ?鱗落としや、内臓取りはしないのか?
「魚、捌かないんですか?」
「ああ、鱗落としたりとか、いらないんだよ。本当便利だよな。」
マサさんが串に刺さった魚を焚火の周りにセットする。
すると、すぐに焦げ目がつき始め、いい香りがしてくる。
この焚火で魚を焼くの、1回やってみたかったんだよな。
「よし、もういいだろう。どんどん焼いていくから、取っていってくれ。」
俺は、自分で釣った鮎を選ぶ。
焦げ目が黄金色に輝いて見える。
食べると、淡白で素朴な味わいがする。
自分で釣った魚だ。とても美味しい。
ユージやリコも、話もせずに自分で釣った魚を食べている。
ユージとテルの魚、本当にデカいな。串を横にして食べている姿はワイルドだ。
リコは小ぶりな魚を食べている。微笑ましい。
「釣りかー。いいよな。本当、次は俺も誘ってくれよな!」
「分かってますよ。」
料理をしてもらったお礼に、俺はマサさんに自分の焼魚を渡した。
・・・・・・
「そういえば、ジンクのポーションだけどさ。500Gで売ってるの見たよ。」
「500G!?」
魚を全部食べ終わった後、俺達は焚火をを囲んでくつろいでいた。
テルから、驚きの情報である。
1個500Gはぼったくり過ぎだろう。俺の売っている値段の倍以上だ。
「もちろん、売れてなかったけどね。」
「そりゃそーだ。それなら普通の初級ポーション改2個使った方が安い。それより、今度のアップデートでポーションの味変わるらしいぜ。」
「え?」
ポーションの味が変わる?
「今の店売りのポーション、不味いだろ。ユーザーから沢山の要望があったみたいでな。次のアップデートで、普通に飲める味になるらしい。他にも、不便なところは改善されるってさ。」
「へぇー。」
それなら、次のアップデートでポーションの販売数は減らせそうかな。
アップデートしても、ずっとポーション作り続けるだけとか、悲しすぎる。
「俺も次のアップデートでようやく屋台を出せるようになる。来てくれよな!」
「へぇー。どんな屋台を出すんですか?」
「ラーメン屋だ。」
だから、その格好なのか・・・
すごく似合ってるけどね。
「屋台が出来たら、呼んでください。行きますよ。」
「ボクも。」
リコも手を上げている。ラーメン好きなのか。
「悪い。もうそろログアウトの時間だ。」
ユージが立ち上がる。
俺も、そろそろログアウトしないといけない。
ユージ達はマサさんとフレンド交換をし、ここで解散となった。




