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第97話 不穏な風ってこれのことか?

「い、痛いっ、ぶ、ぶちましたね!」

 

 瞳に涙を溜めたクラリが抗議的な視線を向けるが

 

「あぁ、ぶったぞ、安心しろ俺は男女平等の信念を持つ者なのだ、だからいざとなったらお前を盾にしても生き延びてやる」

 

「信じれません、この男言い切りましたよ…」

 

 もはや抗議する事を諦めたのか、視線を廃墟へと向ける

 

「もういいです! 私だけでもミールさんを救い出してみせます!」

 

 はて、いつからミールは捕らわれの身になったのだろうか? こいつ勝手に設定を足していやがるな…

 

「おおっ、そうかじゃあ頼むわ」

 

 これにのっからない手はない。そもそも俺はこんないつ崩れるかもわからん廃墟になんぞ入りたくもない、珍しく利害が一致したな

 

「へっ?」

 

「ん?」

 

「……私は一人でもっ」「そうか、がんばれよ」

 

 クラリが再度、信じられないモノを見る目を向ける、なんだコイツいい加減 俺も慣れてきたからそんなもん痛くも痒くもないんだが

 

「凶夜さん」

 

 スッと俺はクラリから目線を逸らす

 

「あぁぁぁああぁ、すみません、私が悪かったですからぁ、あやまりますから一緒に来てくださいよぅぉぉ…」

 

「なんだよ、なら始めっからそう言えよ、おい、ズボンを引っ張るのは止めろ、おいっ脱げるっ、脱げるからっ!」

 

 顔面を涙でぐしゃぐしゃにしたクラリが必死に俺の服を掴んで廃墟へ引きずり込もうとしてくる、なにこれ妖怪? ちょっと引くんだが

 

「おい、離せ、離せよ! 止めろ、俺はこんな廃墟になんか絶対に------」

 

 その時、廃墟の暗闇からふわっ、風が吹き

 

「へっ?」

 

「なんだ? そんな間抜けな声を出したところで俺は負けな-----」

 

 5メートル程の黒い大きな手が屋敷の正面から現れ、俺達を包み込む

 

「な、なんじゃこりゃぁぁーーー」「きょ、凶夜さぁーーーんっ」

 

 そしてそのまま、俺達は廃墟の中へと引きずり込まれたのだった…

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