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7.学校内のヒエラルキー

お金持ちの子どもたちが通う学校であるこの『堅実学園』では、ヒエラルキーが明確に存在します。

なんでこんなものがあるのかと疑問に思ったのですが、お金持ちでも自分の家が持つ義務や責任を理解できない馬鹿が稀にいるので、これはこれで助かっているのでしょう。

私はヒエラルキーの頂点です。

これまでしてきた、実績に反映した結果ですね。

攻略対象者たち(現時点では弟以外)は、普通の女性向け恋愛ゲームや乙女ゲームなら生徒会であり、ヒエラルキーの頂点ですがこのゲームではヒエラルキーの最下層です。

やはりこれも、これまで彼ら個人がした実績に反映した結果です。

ちなみに、外部入学してきた一般庶民の生徒はヒエラルキー最下層にはなりえません。

それは一般庶民がこの学校に外部入学する場合、成績だけではなく個人に関する事柄も徹底的に調べられるからです。

これは前世で読んだ小説サイト内にあった乙女ゲーム転生小説の電波少女的言動を過去にした一般庶民の女生徒がいたからです。

それも、分からなくはない。

自称・女性向け恋愛ゲームの世界なだけあって、学校に通う生徒たちは顔面偏差値が高いです。

いわゆる、モブキャラ的な人たちも。

でも、現実とゲームの世界を混同するのはいけないですよね。


「リサリサ、おっはよー」

教室の扉を開けた時にそう言って飛びかかってこようとするのは、学年一の才女佐々木みのりさん。

私は彼女を受け止めず、教室の扉の横に移動しました。

そして、彼女は廊下の壁に激突した。

これは、痛そうです。

「リサリサ、ヒドイよー」

「あの勢いだと、廊下とみのりさんの間で潰されそうだと思ったので」

「いや、潰れないから。それよりも、今日は駅前のスーパーより郵便局前のスーパーの方がトイレットペーパーが安いのよ!」

「マジで!?」

「しかも、ダブル巻きでエンボス加工よ」

「前回は、シングル巻きでしたからね」

「私としては、公衆トイレや店舗向けの芯なしタイプが好みだわ」

「あれは、使用後にトイレに流すだけでいいですからね。何時からです?」

「午後四時から、先着二百名様限りよ」

「おい、桜ノ宮と佐々木。今から、HR始めるから静かにしろよ」

そう言ってきたのは、来年からロリコン教師となるクラス担任の桜小路和彦。

彼は、私の従兄です。

ちなみに彼も、ヒロインを騙して物にして家を建て直そうとするクズの一人。

社会人で働いているにもかかわらず、金銭感覚が私の両親と弟と同様な残念な人。

桜小路和彦の両親は、彼の金遣いの荒さをたびたび諌めているのですが、全く改めようとしません。

その結果、彼の家は現在火の車状態。

お金はどこからか湧いてくると思っているのでしょうか?

他の攻略対象たちの親と違って、桜小路和彦の両親はヒロインを騙して落とせとは絶対に言いません。

すでに会社を乗っ取った実績のある私の保護下にあることを知っているからです。

桜小路和彦の両親は、常識のある人なのでヒロインを騙して物にする方法で自分の借金を帳消しにするのを止めろと、彼に再三注意するのですが馬鹿な彼は聞き入れません。

それどころか彼は、常識知らずの子娘一人くらい自分の好きにできると意味不明な言葉を言ったそうです。

桜小路の伯父さんと伯母さんは、桜小路和彦がした借金で桜小路家が没落するのは自分の教育に問題ありと受け止めれる人たちなのです。

そして、桜小路和彦がヒロインが土岐家の者と知った原因は私の両親です。

一緒に飲んでいて、機嫌の良くなった両親と叔父がバラしてしまったという訳です。

この時に自分たちの血を分けた甥なのだから、自分たちと同類だと思わなかったのでしょうか?疑問です。

桜小路和彦の両親を見ていたら、想像がつかなかったかもしれませんが。

でも、自分たちの親族なのですよ。

これはきっと、自分たちの都合のいいことしか理解したくないという気持ちの表れなのですね?


「あの先生、気持ち悪いよねー。いっつも、こっち見てくるんだよー」

「大丈夫ですよ、みのりさん。来年、入学してくる私の天使を騙して物にするロリコン教師へと進化しますから」

「それ、退化だから。でも、それってリサリサと敵対するってこと?馬鹿なの、あの教師」

「あのロリコン教師(予定)の他にもいますよ。ヒエラルキー最下層のアレらと今年の四月から私の弟です」

「最悪ー」

「なので、校長とその他の先生方に宣言しておきました。『弟がロリコン教師(予定)のように学校内の私の権力を笠に着ても、それは無意味なことで禁止事項だ』と」

「ヒエラルキー最下層になる予定だと、奴らと同類だしリサリサの権力を利用しようとするかもねー」

「そう言うと、奴に送る入学案内書に別紙で『姉の権力は使うことができない』と書いて送るっていってましたよ」

「別紙で、デカデカと書いてそうー」

教室で私たちの会話に聞き耳立てている人たちも大きく頷いています。

現に、ロリコン教師(予定)は私の従兄だという立場を利用しようとしましたし。

「俺に逆らうと、アイツが怒るぞ」と言う風に。無意味でしたけど。

そのことで授業中にもかかわらず、私の権力が使えないことに文句を言いに来て、駆けつけた警備員に連行されていました。

そして、ロリコン教師(予定)は教師初の『一ヶ月の謹慎処分』を校長から言い渡されました。



放課後になると、私とみのりさんは郵便局前のスーパーまでトイレットペーパーを買いに行くのに、急いで行ったことは言うまでもありません。

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