新たな友、そして真実
二話目です!!
今日から俺の新しい生活が始まった。
綺麗な寮での一日目。
昨日のうちに整理はしてあるのでなかなか整っている。
生活スキルは俺は唯一兄貴に勝てるものだった。
と言っても兄貴の入る寮は俺の住むところよりもずっと豪華で掃除や洗濯、飯の準備まで業者の人がしてくれるというお坊ちゃま学校レベルと聞いている。
つまり、生活スキルは全く必要ない訳で、俺と兄貴を比べる事もできない。
まぁ、兄貴は某有名高校に進学した訳だから、俺には全く関係のない事なんだけど。
「おはよう」
挨拶をして談話室の方に入って行っても、誰も俺の言葉に返してはくれない。
俺は誤算をしていたのだ。
それは、俺の進んだ学校にもとの中学の生徒がいたという事。
つまり、そいつから俺の噂は広まり、もう収拾がつかないほどになっていた。
俺はため息をついて共用キッチンに入って行く。
冷蔵庫から俺の名前の書いてある袋を取り出して料理をはじめた。
とにかく、何か食べておかないと身が持たない。
きっと噂は学校にまで伝わっているはずだから。
飯を作って一人で食べているとなんだか視線が気になった。
ぱっと周りを見渡すと何人かと目が合ったがすぐに逸らされてしまった。
気落ちして食べ続けていると。
「うわぁ、おいしそうだね〜。少し分けてくれないか?」
後ろから聞こえた声に俺が振り向くと、そこに立っていたのは、
「えっと、確か隣の部屋の・・・」
「そう、昨日ぶりまして。源君。昨日挨拶に来てくれたよね? 改めて、僕は友永真治。君の隣人さ」
のんびりマイペースなしゃべり方は独特で面白そうなやつだった。
「よろしく。で? 飯が食いたいんだっけ? 材料用意してくれたらいつでも作るよ? 俺家事だけは自慢できるんだ」
なんだか褒められているみたいで嬉しくてニコニコしながら言う。
「本当かい? ボクは料理が苦手でね。作ってくれると助かるよ。幸いお金だけは掃いて捨てるほどたくさんあるんだ!」
出て来たのはゴールドカード。
そんなものはそこいらのスーパーじゃ使えないだろう。
「ああ、ちゃんと通帳もあるから心配ないよ」
きっと自慢したかったんだろうな。
と思ってスルーしてやる。
「じゃあ、早速お願いできるかな? 材料はとりあえず一日分あるから」
材料の入った袋を受け取ってキッチンに入って行く。
簡単なものを作って、そういえば一日分と言っていたっけ、と思い出し残りは弁当に回す。
使い捨てのトレーを出してその中に弁当をつめた。
「ありがとう! お弁当まで作ってくれるなんて思わなかったよ!!」
俺と真治が朝食をとっている間も視線は絶えなかった。
「源君ってさ」
朝食を食べ終わって学校に向っていると、真治が何かを思い出したように言う。
「今日の新入生代表の言葉言う人とおんなじ名字だよね〜」
「へぇ、そうなのか」
「うん。確かここの特進科の生徒で入試はオール満点だったらしいよ? それで、ここの成績優秀者専用の寮に住んでるんだって」
「・・・へぇ。もしかしてその成績優秀者専用の寮ってサービスがお坊ちゃま学校レベルだったりする?」
「えっと、確かそんな事も聞いた気がするよ」
俺はつくずく馬鹿だったらしい。
兄貴はずっと有名高校に行くと思っていたが・・・
「まあ、ここの特進科もお坊ちゃま学校みたいなものだしね。結構有名だし」
講堂に入って、席に着く。
「新入生代表の挨拶。新入生代表 源 奏」
「はい」
ステージの上に立ったのは正真正銘俺の兄貴だった。
温かい目で見守ってあげてください。