友を救え
その瞬間、渾身のドロップキックがヴォルグの左脇腹にクリーンヒットし、お楽しみの時間を妨害する。
それをやったのは、あいつらの部下のスケルトン1号。さっき躊躇ってた奴だけど、あいつの意思でやったわけじゃない。私が憑依して、体を操ったの。幽霊だからできる戦法だよ。
「な!? スケルトン1号! てめぇ、相棒に何しやが……!」
「……召喚。前鬼・後鬼」
そんな悠長なことを言ってる間にコウメイの詠唱が終わり、お札から現れた赤鬼と青鬼がオーグを力任せにぶん殴る。
一方で、起き上がったヴォルグは、
「いつつ……てめぇ、俺の楽しみを邪魔しやがって……この骨がぁっ!」
って、怒鳴って、怒りのこもった殺人パンチをスケルトン1号の顔面に叩き込むけど、その頃にはとっくに別の体に乗り換えてる。
「がはっ! ヴォ、ヴォルグさん……痛いっす……」
「な!? どういうことだ? さっきのあいつとはまるで違う……いったいどうなってやがんだ!?」
混乱するヴォルグ。さて問題です。私はどこにいるでしょうか? そーれーはー……
「……ブーブーワオワオうるさいなー。ここはサファリパークか何か?」
「霞? てめぇ、まだ自分の立場がわかってねぇのか? あんまり調子に乗ってると、その首、食いちぎっぞ?」
「立場がわかってないのはあんたらの方でしょ? 私の大事な友達を、寄ってたかって袋叩きにして。覚悟はできてるんでしょうね?」
そ。正解は霞の中でしたー。この一言で頭の悪いあいつらも、ようやく状況を理解したみたい。
「て、てめぇ……いったい何者だ!?」
そう聞いてくるヴォルグに対して、私は霞に憑依したままニンマリと笑い、指をポキポキと鳴らした。
「あんたらなんかに名乗る名前なんてないよ。そういう訳だから、とりあえずぅ………くたばれ! アホ共ーっ!」
そう言った後、私とコウメイは霞の体と式神を使って、不良共を1人残らずボコボコにした。