死んだって友達
しばらくして、気絶した不良達で山を作った私は、霞の体から出て、一息ついた。
「ごめんね。訳も言わずに取り憑いちゃって。あぁでもしないと、あいつらをボコボコにできなくって」
「それはいいんだけど……岸川さんって、幽霊だったんだね……」
「うん。まぁね」
「そっか……」
そう言って納得する霞に、私は向き合い、
「その……それも含めて、ごめん霞! 同じいっぺん死んだ者同士なのに、あんな態度とって……」
「僕もごめん。君の気も知らないで」
と、コウメイと一緒に頭を下げて謝った。
「いいよ。もう、慣れてるから……」
「敷村さん……」
「もしかして、そのことやオーグ君達とのことを、ずっと気にかけてくれてたの?」
「うん。だって友達でしょ? 困ったことがあったら助けて、悪いことをしたら謝らないと」
そう言うと、私から出た『友達』というワードが予想外だったみたいで、霞は驚きと戸惑いが混ざったような顔をした。
「友達……私が?」
「あれ? 嫌だった?」
「ううん。その逆。すごく光栄だよ。でも、2人はいいの? ゾンビで死臭がする私なんかが、友達になって」
そう聞かれて、私達は迷わず頷いた。
「もっちろん。てか、気にしすぎ。ここは異種族だらけの学校だよ? そんなんで差別するなんて、バカのすることだよ」
「僕らが言えたことじゃないけどね」
そりゃまぁそうなんだけど、いいところなんだから話の腰を折らないでよ。コウメイ。
「それに、臭いのことなら平気だよ。私は幽霊だからね。その手の臭いは全然感じないんだ」
「本当?」
「うん。ちっとも」
霞が疑問に思うのはわかるけど、実際そうだよ。幽霊になった影響で、私の鼻は食べ物と線香の臭いぐらいしか感じない。
「だからさ。これからは私達を頼りにしてよ。相談にものるし、またいじめられたら、今日みたいに助けるから」
「友達として?」
「うん」
「安倍君も?」
「もちろん」
私達がそう答えると、霞は今日1番の笑顔を見せてくれた。友達ができてよっぽど嬉しかったんだ。
にしても、こんな明るい表情ができるとはね。もしかしたら、これが本当の霞の素顔なのかも。そう思うとホッとして、もっと幸せな気持ちになれる。これだから青春もセカンドライフもやめられない。
その後、オーグとヴォルグ達不良集団は、静観していた先生や龍じぃ達から退学処分を下され、学校からいなくなった。まぁ、やったことが殺人未遂だから当然だよね。
私とコウメイも停学ぐらいは覚悟してたけど、霞を救ったことが評価されてお咎め無しとなり、今回の件は無事終わった。先生からは『流石にやりすぎだ』って、ちょっぴり叱られたけどね。
もっとも、これで霞の一生が安泰だなんて、思ってない。ゾンビっていう弱い立場である以上、いつまた、オーグ達みたいな連中が現れるかわからない。
けど、大丈夫! そうなったら、私とコウメイが体を張って、霞を守ってみせる! 友達として………………って私、体、無いんだった!




