冷徹少女
私は悪役令嬢だった。……はずだった。
気がつくと天と地が逆になるような衝撃を受けていた。
「引きこ……もり?」
悪役令嬢として生まれ、悪役令嬢として教育を受け、悪役令嬢となるべくして生きて来た私は衝撃を受けた。
「JAPAN……現代、日本?」
おわかりだろうか?悪役令嬢として生きてきた私にとってそれは衝撃的なものだった。現代社会の引きこもりと言う文化を知ったアンソーネにとってそれは革命的事だった。
その前に私、アンソーネ・レンブランについて解説いたしましょう。私、アンソーネ・レンブランはとある悪役令嬢が主人公の小説の悪役令嬢。主人公なのに悪役令嬢?悪役令嬢なのに主人公?ややこしいことは置いて置きましょう。とにかく、私はこの小説『悪役令嬢アンソーネの陰謀。』の主人公だった。はずだったのですが、気がつくと主人公から外されました。何故?それは簡単。私が引きこもりになったからです。そして、私は転生者でもありませんし、剣術も体術も勉強も出来ない、魔法も使えない悪役令嬢。しかしながら得意な事があります。それは、私はネットを使えるのです。私の世界においては中世ヨーロッパ風社会のまま魔法が発展した世界です。本来なら私は魔法を極め、主人公の前に立ちはだかる事が責務でした。しかしながら、私はそうならなかった。何故か、それはある日、天から落ちて来たスマホを拾ってしまったのです。そして、そのスマホは圏外にはならずに現代日本に繋がっていました。私は使い方こそ分からないそれを触り、なんとか情報を得てしまった。その結果、私は引きこもりと言う素晴らしい仕事放棄を知ってしまったのです。それは雷が落ちて来るような衝撃でした。
では、戻りましょう。つまらない日常へ。話はスマホが落ちて来た日に戻ります。
「アンソーネ様!アンソーネ様!」
「はい。おはようございますわ。」
「おはようございます。」
使用人のハクトが部屋に入ってきた。
「アンソーネ様……」
「ハクト、着替えを渡してくださいまっ……」
「死ねっ!!」
ハクトはそういうといつものように持ってきた着替えから、ナイフを取り出してアンソーネへと振り下ろした。アンソーネはハクトに斬り殺される。かと思われたがそうはならなら無かった。
「お嬢様に何をするっ!」
そこに現れたのは使用人長のじいや、スートだった。スートはナイフをたたき落としてアンソーネの安否を確認する。
「お嬢様!ご無事ですか?!」
「ええ。」
アンソーネはいつもの事のように平然と返事を返す。そう、いつもの事なのだ。アンソーネは毎日のように命を狙われていたのだ。そんな生活故に誰も信用せず、そして、人に対して冷徹に接していた。彼女が悪役令嬢になるのはそんは背景から心が摩耗した結果だったのだ。悪役令嬢として主人公の前に立ちはだかる。それは彼女の決められた運命だったはずだった。
「じいや。もっと早く来なさい!遅いわ!」
「……申し訳ありません。」
「ふんっ!」
そうしてハクトが連れていかれるとき、
「お前を呪い殺してやる!!覚悟しろ!地獄へ堕ちろ!!」
「呪い?そんなもので私を殺せると?殺せるものなら殺して見なさい!!」
「ふんっ!その発言!高くつくぞ!」
そう捨て台詞を言ってハクトは連れていかれた。そして十字架に括り付けられたまま火あぶりの刑にされる。アンソーネはそれを平然と見ていた。すると天から何かが落ちてきた。それはアンソーネの手の中に落ちる。
「?これは?」
それこそがスマホだった。
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