52/70
信じる価(あたい)
今度の『おほりの浚い』はしっかりと隅まで終えられ、いつも白壁を汚すなと文句をつけていた家の壁には、かなりの泥がとんでよごれていたが、今度ばかりは文句はでなかったとセイベイが『梅の花』にくろもじをいれて、わらう。
「 ―― こんどの騒ぎがいい方へ動いたのは、一条のボンばかりじゃなくて、ダイキチさんがからんでた、っていうのが、信じる価になったんだねえ」
「年の功っていうのが、ようやくここで役にたちました」
「なにをおっしゃいます。それなら功徳でしょうな」
年寄りたちはなにがおかしいのか声をあげてわらう。
黒猫だけがつまらなさそうに尻尾をふった。




