前へ目次 次へ PR 47/70 手をあわせる 泥まみれの莚をひらいて中の木に水をかけ、手をあわせてから親方が斧をおろすと、おどろいたことに木の芯の方は腐っていなかった。 どけた枝の下、泥に埋まるようにあった木の箱をそっともちあげたヒコイチが、堀(ほり)の上で待つ親方にわたす。 見物人たちが首をのばし、役人たちがそばによってきた。 水をかけてみれば、やはり厨子(ずし)のようで、とびらに蓮の花と雲が彫られているようだった。 親方が手をあわせるのに、見物人や役人も手をあわせる。